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たいてい「いい質問ですね」でうまくいく

プレジデントオンライン / 2018年9月16日 11時15分

ジェイ・ハインリックス氏

■3000年前に古代ギリシャ人が生みだした説得の技術

上司を説得したい、生意気な部下を動かしたい、不機嫌な妻を笑顔にしたい。そんなときに武器になるのが、「レトリック」だ。本書を執筆したジェイ・ハインリックス氏によると、レトリックとは、3000年前に古代ギリシャ人が生みだした説得の技術であり、古代ローマのジュリアス・シーザーやキケロ、そしてリンカーンやオバマは、この技法で自身の演説に磨きをかけ、聴衆の心をつかんだという。

口下手でもすぐに実践できることはあるのだろうか。ハインリックス氏によれば、「相手の目を見ること」も説得をするうえで効果があるという。

「相手とコミュニケーションをとりやすくなります。古代ギリシャの偉大な哲学者で、ソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師であるプラトンはこう言いました。『目は心の窓である』。目の周りの小さな筋肉は、疑念、不信感、好意、微笑みなど、さまざまな感情を表すことができます。あなたが心に抱いている感情も、目で伝えることができます」

「私は人と話すとき、自分にこう言いきかせています。『愛情光線を目から出すんだ!』。馬鹿馬鹿しいとお思いかもしれませんが、そうすることで愛情を持って相手に接することができるようになり、絆を結ぶことができるのです」

■「いい質問ですね」という返しには、3つの意味がある

また、何かを質問されたときに「いい質問ですね!」と返すのも有効だという。

「語り手であるあなたの『エートス(人柄)』を高めて、『あなたは信頼に値する、好感の持てる人物だ』と聞き手に思わせる方法が3つあります。まず、あなたがその事柄に精通しており、持っている知識を使って、いま起こっている問題に対処できる、と思わせること。『いい質問ですね』と返せば、質問に対して、あなたがこれから的確な返答をしようとしている、という印象を与えます。

■相手をほめると、たいていのことはうまくいく

2つ目の方法は、あなたが自分本位な人ではなく、聞き手の利益を第一に考えている、と聞き手に思わせることです。『いい質問ですね』と言えば、あなたが相手の質問に真摯に答えようとしていると示すことができます。

最後は、アリストテレスのいう『アレテー(徳)』を示す方法です。『いい』という言葉は、あなたの徳を示すのに大切な言葉です。何がよくて何が悪いのかを見極める力をあなたは持っている、と示すことになるからです」

続けて、ハインリックス氏は言う。

「なにより『いい質問ですね』という言葉は、質問者をほめる言葉です。相手をほめると、たいていのことはうまくいくものです。そう思いませんか?」

レトリック、つまり説得の技術は、語り手と聞き手の関係を構築するところから始まる。聞き手の好感と信頼を得ることができれば、相手を説得しやすくなるのだ。

本書では、古代の文献から拝借して現代の状況に合わせた技法を100通り以上紹介、家庭、学校、職場、コミュニティでの使い方も提案している。「聞き手の心をほぐすためには」「聞き手の怒りを和らげるためには」など、状況に応じた使い方がわかる。

なめらかな人間関係をつくるのに役立ちそうだ。

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ジェイ・ハインリックス
ミドルベリー大学教授としてレトリックと演説の授業を担当。NASA、米国国防総省、ウォルマートなどでコンサルティングや講演も行っている。

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(撮影=大杉和広)

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