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「線形近似」でメッセージを明確に伝える

プレジデントオンライン / 2018年9月23日 11時15分

私ごとで恐縮だが、このほど『入社1年目からの数字の使い方』という本を上梓した。主に新入社員を対象に、数字をうまく使った仕事術や、上司や先輩から一目置かれる仕事の仕方を提案している。

おかげさまで反応は上々で、新人だけでなく広くビジネスパーソンの方々に手に取っていただいている。逆に言うと、ビジネスで数字を活用したいけれども、どう使っていいのかわからないという人がそれだけ多いということだと感じている。

そうしたなか今回は、棒グラフにひと工夫する裏ワザをご紹介したい。読者の皆さんも会議やプレゼンテーションでいろいろなデータをグラフで示すことがあると思うが、この方法を使うと、自分の伝えたいメッセージをよりはっきりと明確に示すことができるのでおすすめだ。

たとえば、営業部に配属された新人のAさんとBさんの月別販売実績を図で示し、上司に説明するとしよう。単に2人の販売実績だけを見せたいのであれば、棒グラフだけで十分だ。しかし、伝えたいメッセージが「Aさんは今後も成長が大いに期待できる。その一方で、Bさんはどうやら伸び悩んでいるようだ」ということであれば、ある「ひと手間」を加えることで、より伝わりやすくなる。

それが「線形近似」だ。棒グラフに傾向を表す矢印を表示することで、データの推移をざっくり表すことができる。図のように2つの直線の矢印によって、「Aさんは今後も成長が期待できる」「Bさんは伸び悩んでいる」というメッセージがひと目でわかるグラフになる。

線形近似は、実際に計算するのは難しいが、パソコンに入っているエクセルを使えば簡単だ。手順は次のとおりである。

(1)販売実績をまとめた表を用意する。(2)表の範囲を選択し、「挿入」タブの「縦棒」を選択すると、AさんとBさんの実績が棒グラフで表示される。(3)Aさんの棒グラフを選択し、棒グラフ上で右クリックして、「近似曲線の追加」を選択する。(4)その中から「線形近似」を選択すると、Aさんの販売実績を表す「線形近似」が表示される。(5)線の「幅」「透明度」「終点矢印の種類」を見やすくなるように調整する。(6)Bさんの棒グラフについても同様の作業を行う。(7)目盛り線や凡例などをアレンジして見やすく整える。以上である。

ちなみに、今回は棒グラフを使ったが、折れ線グラフでもかまわない。同様の手法で2本の矢印を重ねることで、同じ効果を発揮する。

最後に1つ注意点がある。私も会社員時代によく線形近似を入れたグラフを会議やプレゼンなどで使ったが、上司や経営者がデータの意味を自分で読み解きたい場合は、今回の線形近似を含めた近似曲線のようなものはあえて入れないようにした。なぜなら、こちらのメッセージを加えてしまうと、思考の邪魔になるからだ。

プレゼンで「私はこう理解している、考察している」と明確に伝えたいときに線形近似は効果的だが、相手がそれを欲していない場合は逆効果になる。そのグラフに自分のメッセージが必要か否か、相手が何を求めているのか、ケース・バイ・ケースで見せ方も使い分けることが大切だ。

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深沢真太郎
BMコンサルティング代表
「ビジネス数学検定」日本最上位1級(AAA)。企業研修や大学講座で延べ6000人以上にビジネス数学を指導。『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』など著書多数。

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(ビジネス数学の専門家 深沢 真太郎 構成=田之上 信)

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