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ホーキング博士“AIは必ず人間を越える”

プレジデントオンライン / 2018年8月3日 9時15分

写真=iStock.com/PhonlamaiPhoto

AIスピーカー、掃除ロボット、完全自動運転……。AI(人工知能)は、確実に私たちの生活に入り込みつつある。これから先、急速にAI機器は世界を席巻するだろう。2018年3月に亡くなった宇宙物理学者、スティーヴン・ホーキング博士は、「AIは人間を越える」と予測し、宇宙を通じて人間社会の未来について提言を残している。博士の大胆な予測の裏には、どんな思想があったのか。解説しよう――。

※本稿は、『ホーキング 未来を拓く101の言葉』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「シンギュラリティ」は待ったなし!

ホーキングは「AIがこのペースで自分自身を開発し続けていけば、生物的進化の遅い人間は、競争する前に追い越されるだろう」と警鐘を鳴らした。

2013年にアメリカで、10~20年の間に半数の仕事がAIに取って代わられるという論文が発表された。翌年の2014年には、コンピュータが、13歳の少年として振る舞い、それに対して30%以上の人が、「人間かコンピュータか判別できない」という結果を出した。

これほどまでにAIは成長しているのだ。

「2045年問題」をご存じだろうか。2045年には、シンギュラリティがやってくる。言い換えれば、AIが人間の能力を超える時がくるということだ。

そうなれば、多くの職業は、AIが人間に取って代わることだろう。人間よりも優秀で、文句を言わず、粛々と作業をこなすのだから、経営者としてはこれほど良い労働者(?)はいない。

その職業は、レジ打ちやデータ入力作業要員に止まらず、編集や作曲といった分野まで広がるという。

すでに、その予兆が各所で見られる。昨年9月、みずほ銀行とソフトバンクは、AI技術を活用し融資の可否やその額を決定するサービスを始めた。またアメリカでは、過去の判例や各州によって異なる法律をデータに蓄積し、活用している。さらに感性が重視される音楽の分野においても選曲や作曲などでAIが活躍し始めている。この進化の速度は、加速する一方だ。

■「産業革命」と同じことが再び起きる!?

では私たちは、これからの社会でどのようにAIと向き合い、働いていくべきか。

ホーキングは「マシンによって生産された富を分かち合えば、誰もが豊かな人生を送れるが、マシンの持ち主が富を分かち合うことに反対すると、ほとんどの人は貧困に苦しむことになる」と警鐘を鳴らした。

確実に、これから先、AIの技術は人間のそれを超えていくだろう。しかし便利になると同時に収入の確保を考えなければならない。日本においては、ベーシックインカムが導入されない限り、AIの大幅な導入は現実的ではないだろう。

ベーシックインカムが導入されないまま、人間より優秀なAIが導入されれば、大量の失業者が生まれ、暴動が起きる。それはまさにイギリスの産業革命の際に起きたことと同じことが起こるのだ。そうならないように最低限の生活を保障するお金を一律に給付しなければならないのだ。

しかし、それでもAIマシンの所有者とそうでないものの貧富の差は広がる。その差は現在の比ではないだろう。

『ホーキング 未来を拓く101の言葉』(桝本誠二著・KADOKAWA刊)

なぜなら、AIの所有者は生産性を高め、物を供給し、対価を受け取るが、所有できないものは、ベーシックインカムをもらいながら、消費をするしかないからだ。ベーシックインカムだけでは当然、左うちわではない。それ以外の収入がなければ、多くの人々が貧困への一途をたどるだろう。その結果、市場は小さくなり、供給側の収益も著しく下がる。

したがって、豊かな資産をもっていた人までもが、貧困に苦しむことになるのだ。人間の深い欲望が、自分を苦しめることになると、ホーキングは危惧している。だからこそ、富の分配を強く訴えていた。

■今こそ「没頭できること」を探すべき!

AIが仕事を取って代わる時代に、もう1つ考えなければいけないことがある。それは生きがいだ。現在も仕事に重きを置き、生きがいのほとんどをそれに委ねている人は少なくない。その仕事がなくなるのだ。生きがいの喪失にもつながりかねない。

そこで視点を変えなければならないのだ。

これまで生きがいのため、生活のためにやっていた仕事は、趣味になるだろう。非現実的な夢を目指してもいい。売れない芸人もアーティストもなんとか食っていける。しかし困窮した状況から、逆境に打ち勝つ精神に乏しくなるのではないだろうか。そこから生まれる野心や使命感、それによる生きがいは喪失する。この解決策はもう少し模索しなければならないが、いずれにせよ、今以上に自分自身で生きがいをみつけなければ、充実した人生を送ることは困難になるだろう。

そこでホーキングの言葉から打開策を探ってみよう。ホーキングは「知能は変化に適応する能力だ」と語った。人間は、新たな局面に立たされても、受け入れざる環境の中にいても、知能を持ってすれば、適応できるというのだ。だからAIの時代が来ても、うろたえることはない。

ただ、確実に、これまで当然だと思っていた仕事や生活習慣を、再度、ゼロ思考で見つめ直さなければならない時に差し掛かっている。

もう一つ言えば、消える仕事があれば、生まれる仕事もあるということ。AIを管理したり、整備したり、また人間にしかできないことも認識されることだろう。これらも視野に入れ、今一度、ホーキングの言葉を噛(か)みしめてみたい。

■自分が「今」持っている力を存分使え!

人生の本番は常に「今」だ。
今をおろそかにして、あなたが目指す未来はない。
明るい未来を手に入れるには、今持っている力を目の前の課題にぶつけることだ。

「まだ本気を出していない」という人は、本気を出す前に棺桶(かんおけ)に入ってしまうだろう。

人生は長いようで短い。小学生だろうと、中学生だろうと、高校生だろうと準備期間などない。たとえ、大人から「将来のための準備期間だから」などと言われ、うのみにしていたのでは不完全燃焼で人生を終えることになるだろう。

どんな時でも、今、全力を尽くすことで、能力が養われる。
その積み重ねで大事を成すことができるのだ。
さらに、「もう遅い」ということもない。思った瞬間が変わる時だ。
さあ、今、持っている全ての力を出し切ろう。

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桝本誠二(ますもと・せいじ)
クリエイターズアイ代表取締役。1973年生まれ。広島県出身。米国留学を経て、雑誌編集者へ。その後、書籍出版社に転職し書籍の編集に従事する。ノンフィクション、時事関連の書籍編集部編集長を経て、ビジネス書系出版社へ転職。現在は、ビジネス書、ノンフィクション書籍の執筆・編集の他に出版プロデュース、出版コンサルタント・セミナー、企業コンサルタントを行っている。著書に『課長・部長のためのビジネス戦略の基本』『図解&事例で学ぶ問題解決の教科書』(共にマイナビ出版)、『広島カープの「勝ちグセ」戦略』(ぶんか社)などがある。

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(クリエイターズアイ代表取締役 桝本 誠二 写真=iStock.com)

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