今の株価は1988~89年のバブルに近い

プレジデントオンライン / 2018年8月28日 9時15分

写真=iStock.com/Petrovich9

日本経済はこれからどうなるのか。そして、その先行きは私たちの家計にどんな影響を与えるのか。2人の有識者が4つのテーマについて徹底解説する。第2回は「投資」について――。

▼東京五輪前後に競争力を持っているかに注目

■年内は現状維持、注視すべきは2019年

2018年1月のビットコイン暴落、18年2月の米国株急落による日経平均株価の下落。サラリーマン投資家を右往左往させる情勢が続いている。

「世界経済、日本経済ともに17年は予想以上に好調でした。しかし物価が上がっていない。熱くもなく、ぬるくもない『適温経済』だと言われ、18年もこの状態が続く可能性が高い」(大和総研の熊谷亮丸氏)

18年2月の株価暴落の発端は米国株の総崩れ。18年1月の米国雇用統計で賃金上昇が予想を上回り、景気抑制のため米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを速めるとの見方から株価が暴落した。だが、そこからトランプ政権の大型減税への期待から再び持ち直している。

「FRBがアグレッシブに利上げをしようとすれば、トランプ大統領が横やりを入れる構図がある。その結果、多少の調整がありつつも、少なくとも年内は適温経済が続くと見られています。むしろ、問題は19年。拡大路線が続いた米国景気の息切れや中国のバブル崩壊の懸念もある。東京オリンピック関連の投資や原油価格の動向も気になるところです。適温経済が根底から覆されるリスクも警戒する必要がありそうです」(熊谷氏)

■現在はバブル経済の1988年から89年の相場に近い

一方、経済評論家の山崎元氏は、今回起きた米国株下落を発端とする世界株安を“シャンパンタワー”にたとえる。

「大量に積み上がったシャンパングラスのうち、頂上近くの2~3個が落ちたような状態。でも、全体は崩れていない。上昇相場の後半から終盤にかけてよく見られる現象のひとつです。上昇相場が終焉に向かいつつあるのは確かですが、すぐ終わるわけではなく、もうしばらくは続くと見ていいでしょう」

では、いずれやってくるという“本当の終焉”までは、どれぐらいの猶予が残されているのだろうか。

「かつてのバブル経済の動きをなぞるとすれば、現在は1988年から89年にかけての相場に近い。ここから少し気を取り直して高値に戻り、バカバカしいぐらいの好調が続いた後、ドカンと下がるでしょうね」

世界経済の見通しも気になるところだが国内、特に身近な都道府県単位の動向はどうか。図では都道府県別の国内における域外への競争力と海外への輸出力を示している。東京オリンピックに向け、競争力を高める地域が勝者になる。

▼GDP4カ月の壁を越えるかがポイント

■自分だけでなく、お金も働かせるべし

乱高下する株相場。マクロの視点ではどのように見通せば良いのか。

時価総額ベースの株価指数であるTOPIX(東証株価指数)と名目GDPとの関係を確認すると、歴史的にTOPIXはおおむね名目GDPの2カ月分~8カ月分のレンジ内で推移している。しかし、1990年代のバブル崩壊後は、TOPIXが上昇しても名目GDPの4カ月分の水準が天井となり、その後は株価が下落に転じる現象が何度も繰り返されてきた。

最近の株価水準はTOPIXが名目GDPのレンジのほぼ中央に位置していることから、バブル崩壊後の「失われた20年」と同じパラダイムで評価すれば、すでに天井圏だとみる向きもある。この状況は今後どう推移するのか。熊谷氏は「経済情勢を考えても先行きは不透明。年内は安定しても19年以降は変化が起こるリスクに目配りが必要だ」と指摘する。

■長期投資をするなら分散投資が大前提

一方、ミクロの視点で、個人が投資をする場合にはどうすればいいのか。

「長期投資をするなら分散投資が大前提になります。相場が下がったときにたくさん買い、上がったら買う量を抑えるドルコスト平均法を実践することが大事です」(熊谷氏)

何より重要なのは「どう転んでも大きく負けないポジションをとること」(熊谷氏)だという。

「自ら投資をすれば、おのずとその分野に詳しくなります。広く浅く学べば、思わぬ形で仕事の役に立つこともあるでしょう。たとえ少額でも投資をはじめることをおすすめします」(熊谷氏)

山崎氏も「自分も働く傍ら、お金にも働いてもらうという意味で、投資をする意味はある」と投資をすすめる。

人生100年時代、老後資産に必要な金額は3000万円とも、1億円とも言われる。だが、山崎氏は「平均値に一喜一憂しても無意味」と断言する。

「家計調査を見ると、定年後の生活費は現役時代のおよそ7割くらいの場合が多い。今の生活費を10とした場合、定年後の生活費はいくらになるのか。将来、収入が減る分を貯蓄でまかなうには、手取りの何割を貯蓄に回さなくてはいけないのか……と計算します。月々必要な貯蓄額があまりに高額で現実離れしているようなら、まずは今の生活費を減らす努力をする。こうして帳尻を合わせていけば、心配ありません」

----------

山崎 元(やまざき・はじめ)
経済評論家
1981年、東京大学経済学部卒。楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。共著に『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』など。
 

熊谷亮丸(くまがい・みつまる)
大和総研常務執行役員チーフエコノミスト
1989年、東京大学法学部卒。日本興業銀行調査部などを経て2007年大和総研に入社。共著に『この1冊でわかる 世界経済の新常識2018』など。
 

----------

(ライター 島影 真奈美 撮影=岡田晃奈 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング