外資コンサルOBの年金収入は毎月37万円
プレジデントオンライン / 2018年9月16日 11時15分
※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年1月1日号)の特集「老後に困るのはどっち?」の記事を再編集したものです。
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三浦吾郎さん(仮名)69歳
大学卒業後、出版社に入社。その間に米国の大学院で修士号を取得。38歳で渡米し、米国企業に勤務し、バイスプレジデントを経て外資系日本法人の経営コンサルタント会社に転職。14年間勤務し、66歳で引退。
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■お金がないと、夫婦仲もわるくなる
「老後の生活費として1億円の貯蓄が必要とよくいわれます。でもそれだけあっても毎年500万円を取り崩していくと20年でなくなる。大事なのは毎月5万円なり10万円を生み出していくような投資の設計を自分で考えること。そうしないと人間は気持ちに余裕がなくなり、大体夫婦仲もわるくなります。女性はお金に敏感ですから」
三浦さんは投資のポイントをこう語る。日本の出版社を退職後38歳で渡米。約10年間米国企業に勤務後、外資系日本法人の経営コンサルタント会社に転職。66歳で引退した。終身雇用の日本企業の社員の企業年金と比べて、転職を前提とする外資系企業の出身者は不利と思われがちだが「外資でも大きい会社の年金はそれなりに手厚い。年功ではなく役職が上の人ほど金額も大きい」と語る。
三浦さんが投資に目覚めたのはアメリカ勤務のとき。退職した出版社の退職金約900万円を日本の定期預金に入れていたが当時は円高ドル安時代。ドルだと1.3倍の価値になり、アメリカに移して投資信託で運用した。「日本の会社を若くして辞めたので老後は困るだろうという意識がありましたし、お金を生んでくれるものは何かを研究した」と言う。目をつけたのは不動産投資だった。
最初に日本で投資用の小さなアパートを購入した。その後、米国企業の退職金や外資系日本法人の報酬の一部を費やして不動産を少しずつ買い増していった。60歳になる頃にはある程度の賃料収入を得るまでに。ただ、誤算だったのはコンサルタント会社に企業年金制度がなかったことだった。
「外資系大手の日本法人には日本の法律に則った企業年金制度がありますが、比較的規模の小さい会社は本国の親会社に年金制度があっても現地法人にはないところも少なくありません。退職一時金制度はありましたが、企業年金は長く支払うのでコスト要因になると親会社が嫌がるのです。日本法人の経営者の力量も大きい。実際にヨーロッパなどほかの国の法人には企業年金がありましたし、自分がクビになりたくないから本社に強く言えないのです」
三浦さんは後輩の社員たちに「君たちは企業年金がないのだから、そのことを前提に老後の生活設計をしないといけない」と機会があるごとに言っていたという。
その三浦さんの現在の収入は公的年金が月額約20万円。それ以外に米国勤務時代に加入していた米国の年金が、日本円で月額約17万円もある。「アメリカでは警察官や消防士などパブリックサービスの従事者でも20年間勤務すれば年に2万5000ドルから3万ドルの年金が終身で出ます。私はその3分の2ぐらい。ドルで振り込んでくるのでレートによって変動しますが」。
月額の収入は約37万円。年間で444万円だが、もちろんそれだけではない。不動産収入と合わせると年収は850万~900万円の間だという。
「老後は公的年金と企業年金を合わせて年間500万円は欲しいと皆さん言いますよね。大企業を定年まで勤めた知人にも500万~550万円の人が多い。それでも結構お金の使い道を気にしながら生活している。少しでも余裕を持ちたいのであれば、自分で考えて早めに手を打つべき。すべてを会社に依存し、先輩や後輩とつるんで土日にゴルフばかりしているようでは、老後は大変です」と警告する。
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・国民年金+厚生年金20万円
・米国年金17万円
⇒約37万円/月
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(ジャーナリスト 溝上 憲文 撮影=研壁秀俊)
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