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"お受験"の成功者は、人生でも勝者になる

プレジデントオンライン / 2018年8月17日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/JGalione)

慶應義塾幼稚舎をはじめ名門小学校への合格者を多数輩出しながら、PRも募集もしない“幻のお受験塾”として保護者や受験関係者から注目を集めてきた「つくし会」。わが子の小学校受験をきっかけに同会を設立し、20年以上にわたって幼児教育に取り組んできた石井代表は、「小学校受験は子どもの『人間力』を養い、その後の人生を豊かにする」と語る。その理由とは――。

※本稿は、『募集しない名門塾の 一流の教育法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■試行錯誤のなか「受験勉強」の素晴らしさに開眼

長男の「受験勉強」は、同世代のお子さんよりもずっと遅いスタートでした。とりあえず、書店でドリルを買ってやらせてみたのですが、何もできない。「どうしよう……。うちの子はアタマがよくないのかも」と落ち込みました。でも、やると決めたので後戻りはできません。

無我夢中で、わが子がどうしたら「できる」ようになるか、わたし自身の教え方の試行錯誤が始まりました。いわゆる進学塾みたいなところにも行きました。

よく「ちっちゃいときから、そんなに詰め込まなくても」と言われます。しかし、塾を見学したり、教材を一緒にやったり、私立小学校の情報を集めたりしているうちに、「こんなすてきなことがあるんだ!」と思うようになりました。

やってみると、「これを覚えていたらいいよね」「こんなふうに考えられるようになったらいいよね」と思えることばかりだったのです。

たとえば、ものを数えるときには、単に数えるのではなく、数え終えたものを右側に寄せるなりして、一つずつそろえて数えれば間違いなく数えられます。図形も、補助線を一本入れると、どんな形かわかりやすくなります。

■受験勉強には学ぶための「基礎」が詰まっている

受験のための勉強は、そんなちょっとした「ものごとをわかりやすくするコツ」を学ぶことに等しく、それがわたしにとってはすごく新鮮でした。なるほど、「受験勉強」をすると、こんなに「いいこと」が身につくのだな、と。

ものの考え方の基礎にもなるし、これから小学校で国語・算数・理科・社会、そのほかの教科を学ぶにあたっても、すべての元になっている。そう感じたのです。

そうした「お勉強」的なことは、やればやるだけ身につきます。心配だった息子も、次第に理解できるようになりました。さらに、受験勉強をやればやるほど、知れば知るほど、すごくいいなと思ったのは、「人の話をしっかり聞ける」ようになったことです。

小学校受験では、「ペーパー」「運動」「巧緻性」など、さまざまな観点からのテストが行われますが、どれをやるにしても、まず、「人の話をしっかり聞くこと」ができていなければなりません。

そして、言われたことを、言われたとおりにできるかが、合否の分かれ道となります。受験の世界では「指示行動」(人から何かを聞いて、それにしたがって行動する)といいますが、それができるようになったのです。

■まずは「聞く力」を鍛えることが大切

小学生になったら「問題を読んで解く」ことが始まるわけですが、幼児はまだ「読む」ことができません。ですから「しっかり聞く」ことがすべてです。

石井美恵子『募集しない名門塾の 一流の教育法』(プレジデント社)

話す力も大事ですが、「聞く力」がないと、相手が何を思っているのか、どう考えているのか、正確に理解することは難しくなります。ですが、「聞く力」がしっかりあれば、相手を思いやることもできます。就学前にそうした基礎力をつけられるというのは、やってみなければわからなかった受験勉強のメリットでした。

もちろん、体力がついたことも大きな収穫です。「まず獣身を成して而して後に人心を養う」と慶應義塾の創設者、福澤諭吉が諭しているように、心を養うには、まずは獣のようなしっかりした体があってこそ、です。

このように考えると、幼児の受験勉強とは、結局は「小学校の基本」を身につけさせることなのだと痛感しました。

■受験を通じて「人生の歩み方」が学べる

受験する・しない、受かる・受からないにかかわらず、「数を数えられるようになればいいよね」「人の話をちゃんと聞けるようになったらいいよね」「自分でちゃんと考えられるようになればいいよね」「体力がつくといいよね」……と、「これ、全部、そうなったら、すてきじゃない?」と思えたのです。

いま振り返ってみると、息子たちは「受験勉強をした」というよりも、「勉強のしかた」、もっといえば、「人生の歩み方」を学んでいたといってもいいのかもしれません。

受験で目指すべきことは、当然「合格」です。しかし、その過程でバランスの良い子どもが育ち、強さを秘めた子どもとなり、コミュニケーションがきちんととれる子どもとなれば、セルフコントロールが利く、がまんができる子どもになります。

受験を通して「人間力」が養われるといっても過言ではない――わたしが、確信をもってそう言えるのは、わが子をはじめ、わたしが向き合ってきた子どもたちが、それを証明してくれているからです。

■受験はわが子への理解を深め、子どもの人生を豊かにする

息子の受験を終え、その実体験から、わたしは幼児教育にとても関心をもつようになりました。家業としていた進学塾では、小・中学生向けの受験ノウハウはありましたが、でも、やっぱり基本は幼児時代です。小・中学生よりも、就学前から導いたほうがぜったいにいい。わが子を受験させて、それがより鮮明にわかったのはたしかでした。

就学前の6歳までは、保育園や幼稚園などに通園していたとしても、送迎には親が必要です。

つまり、そのころの子どもは、ほぼ100%親に依存しています。逆にいえば、親も子どもとベタベタできるのはこの時期まで。

この時期に、受験という親子共通目標を設定することで、さまざまなことを一緒に体験でき、かつ、わが子のことをよく知ることができます。

「こんなことをするの?」
「こんなふうに考えていたの?」
「こんなひらめきがあるの?」
「これが得意なんだね」

そんなふうに、わが子への理解を深めていくだけでなく、子どもにとっても親子で一緒に体験したことは、かけがえのない思い出になるはずです。その後の人生をとても豊かにしてくれるでしょう。

■就学前のわずかな期間が親子の絆を深めるチャンス

親子の絆もものすごく強くなります。中学受験でも、風邪をひかないように気を配ったり、勉強できる環境を整えたりと、親は何かとお世話しますが、幼児の場合は100%親がやらねばなりません。常に親がそばにいるわけですから、その中で会話も増えます。一つの目標に向かって一緒に頑張るわけですから、絆が強まって当然です。

受験勉強という経験は、小さなことの積み重ねです。丸がうまく書けるようになったとか、犬の絵が上手に描けるようになったとか、やればやっただけ上達するので、お父さんお母さんにほめられます。子どもが自信を持つ、いいきっかけにもなります。

親子の密な時間は、小学校に入る前の比較的時間のあるこの時期だからこそ。そのチャンスを逃してしまうのはもったいないなあ、と自分の経験から思うのです。

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石井美恵子(いしい・みえこ)
つくし会幼児進学教室 代表
息子二人を慶應義塾幼稚舎に入学させた経験をもとに、1992年、小学校お受験を専門にする幼児塾「つくし会」を設立。以来四半世紀以上にわたり、独自の指導法で最難関といわれる慶應義塾幼稚舎をはじめ、早稲田実業、青山学院、学習院、聖心などの初等科に毎年多くの合格者を輩出している。

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(つくし会幼児進学教室 代表 石井 美恵子 写真=iStock.com)

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