日銀"微調整"で株価1000円下落リスク
プレジデントオンライン / 2018年9月1日 11時15分
PART4:金融バブル 日銀の「微調整」で日経平均は1000円下落も
2013年4月から始まった「異次元の金融緩和」(図1参照)が、行き詰まりを見せ始めた。これまで株高などの“金融バブル”を演出してきただけに、その崩壊も懸念される。
日本銀行はデフレ脱却に向けた「消費者物価の安定的な2%上昇」との目標を掲げ、達成時期の予想も明示。しかし、6回も先延ばししたうえ、18年4月には景気や物価の見通しを示す「展望リポート」から目標達成時期を削除した。金融政策に詳しい東短リサーチ社長の加藤出さんは次のように説明する。
「最近の消費者物価指数(CPI)を見ると、価格変動が激しい生鮮食品を除いたコアCPIは前年比約1%増、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは同約0.5%あたりで推移し、目標の2%とはかなり乖離があります(図2参照)。目標達成時期の先送りがこれ以上続けば、かえって市場の信認を損ねると判断したのでしょう」
■ETFの買い入れ縮小で日経平均株価は1000円前後の下げも
だが、日銀の別のシグナルの発信でもあると加藤さんは読む。
「16年2月に金融機関の日銀預金口座のマイナス金利を導入して以降、超低金利政策は限界に近づいています。地方銀行をはじめとする金融機関は、金利の大幅な低下で経営が圧迫され、リスクの高い融資先への貸し出しが増えるなど弊害も出てきました(図3参照)。しかし、目標の物価水準が未達成なのに、抜本的な政策の転換は打ちにくい。そこでインフレ目標は据え置きながら、足元の景気がいい間に“微調整”を行いたいのです」
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想定される日銀の具体策は、長期金利の引き上げ、ETF(上場投資信託)の買い入れ縮小、そしてマイナス金利の解消である。実現の確率はこの順に高く、「日銀は国債の大量保有で10年長期金利を0%程度に調整していますが、買い入れを減らしつつ0.3~0.5%への引き上げに誘導したいのではないでしょうか」と加藤さんはいう。
一方のETFの買い入れ縮小は、ちょっとした金融バブルの崩壊をもたらす可能性が高い。加藤さんは「ETFの買い入れ縮小で、日経平均株価は一時的に1000円前後の下げもありえるでしょう」と見る。
そうした微調整の発動時期を見極めるのに要注目なのがCPI。「特にコアコアCPIの上昇率が1%台に乗ってきたら、その可能性が高いですね」と加藤さんは予測する。総務省統計局が毎月20日前後に発表するので、チェックを怠りなく。
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![](https://president.jp/mwimgs/a/e/80/img_aec0f885a61173b15c1a6632143716379017.jpg)
東短リサーチ社長
1965年生まれ。横浜国立大学卒業。マーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析。日銀ウオッチャーの第一人者。主な著書に『日銀、「出口」なし!』など。
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(ジャーナリスト 野澤 正毅)
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