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安倍側近が"進次郎はこっち"と強がるワケ

プレジデントオンライン / 2018年8月29日 15時15分

インタビューに答える自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長。後ろに見えるのは、地元・横須賀の名物「スカジャン」。(写真=時事通信フォト)

自民党総裁選の主役は誰だろうか。3選が確実と言われる安倍晋三首相でも、挑戦者・石破茂元幹事長でもない。ましてや出馬に意欲を見せながら推薦人が集まらず「いつ撤退するか」に注目が集まる野田聖子総務相でもない。国民的人気では永田町随一の小泉進次郎筆頭副幹事長だ。進次郎氏を味方に付ければ戦いは有利になる。各派はあらゆる策をろうして37歳の若手議員の取り込みに血道を上げている――。

■総裁選に出馬しないのに24%の人がラブコール

読売新聞社が8月24~26日に行った世論調査の数字を紹介しておこう。「次の総裁は誰がふさわしいと思いますか」の問いに対し、安倍氏と答えた人が36%、石破氏22%、そして進次郎氏が24%だった。

ここ数カ月に行われた同趣旨の調査では、進次郎氏がトップに出ることも少なくなかった。今回の調査では安倍氏に後れをとった形だが、総裁選に出馬しないのに24%もの人からラブコールを受け続けているのは驚きだ。

単純計算すれば安倍氏の36%に進次郎氏の24%が乗っかれば過半数をはるかに超える支持を安倍氏は固めることになる。逆に石破氏が進次郎氏の支持を得られれば、一発逆転も見えてくる。

■進次郎を取り込んで「とどめ」を刺したい安倍サイド

進次郎氏は、味方か敵か。安倍氏の3選が既成事実になりつつある中、情勢を激変させる唯一の波乱要因が進次郎氏の存在であることは、既報の「安倍総裁3選を阻止するただひとつの方法」で紹介した通りだ。その構図は今も基本的には変わらない。ただし、ここへ来て安倍氏サイドが戦略を軌道修正し始めた。

進次郎氏は2012年の総裁選では石破氏に投票した。今年8月上旬ごろまでは今回も石破氏を支援するのは織り込み済みで、選挙期間中に石破氏の応援の前面に出るかどうかに注目が集まっていた。言い換えれば、安倍氏側は進次郎氏に対し「石破氏に投票するのは許すから、選挙戦ではおとなしくしていてくれ」というスタンスだった。

ところが最近、安倍氏側は進次郎氏の支持取り付けに本腰を入れ始めた。現段階で議員票では石破氏を圧する勢いの安倍氏。進次郎氏を取り込めば、唯一の波乱要因を消せる。選挙戦が始まる前に、とどめを刺してしまおうという戦略だ。

■進次郎氏を育てたのはどっちだ

安倍氏は進次郎を政務官、党農林部会長、筆頭副幹事長など重要なポストに充て、英才教育を施してきた。同じ神奈川県選出の菅義偉官房長官が進次郎氏の後見人となっている。安倍氏側は、こんな話を紹介しながら、進次郎氏との関係の深さを強調する。

こういった情報は、安倍氏を支援する議員から意図的に流されるのはもちろんだが、最近は安倍政権に近いことで有名な政治評論家・田崎史郎氏らも加わり、テレビなどでも盛んに「進次郎氏は安倍氏支持」と予測。流れをつくろうとしているようにみえる。

安倍氏側の攻勢に、石破氏も負けてはいない。進次郎を「自民党が下野したときに初当選した。この時に当選した人たちは、党や政治のあり方にきちんとした考えを持っている人だ」と持ち上げる。野党で苦しんだ時代、党政調会長などを歴任した自分が、初当選の進次郎氏を育てたという含意もある。また「進次郎世代」を「きちんとした考えを持っている人」とほめるのは、進次郎氏とともに当選を重ねている4回生には今・農水相を務める斎藤健氏ら、石破氏に近い議員が少なからず混じっていることも計算に入っているようだ。

この論争は「ここまで立派に育てたのは誰だ」と、育ての親争いをしているようで、滑稽ですらある。

■父親との「近さ」まで争う展開に

進次郎氏と言えば、すぐに思い浮かぶのは父・純一郎元首相。純一郎氏は最近、原発政策などを巡り安倍氏を痛烈に批判してきており、そのことが「進次郎氏は安倍氏側にはつかない」根拠の一つとなっていた。これについて安倍氏側は、「安倍氏と純一郎氏は8月15日、森喜朗元首相、麻生太郎元首相らとともに久しぶりに会食した。とてもいい雰囲気の会合で、純一郎氏から安倍氏に対する批判的発言はなかった」と「雪解け」を演出している。

石破氏は若手議員時代、選挙制度改革を巡って純一郎氏と大論争をしたことや、2001年に純一郎氏が勝った総裁選で石破氏は対立候補の橋本龍太郎氏を熱心に推したことを紹介。その上で「そんな私を(純一郎氏が)防衛庁長官に指名した。国のためになるなら使うのが当然だ」と純一郎氏の度量の大きさに敬意を表している。若手議員たちに「石破氏を推したら次の人事で干す」とささやいて締めつけている安倍氏サイドへの皮肉でもある。

■「もてる男」進次郎氏、今の関心は農業問題

双方から熱烈なラブコールを受け、さすがの進次郎氏も困惑している。まさに「もてる男はつらい」ということか。どちらかにくみすれば、支持を得られなかった方から恨まれる。沈黙を続けても、双方から不満の声が届くだろうし、それ以前に、「損得を計算せずに正論を吐く」のが売りの進次郎氏の看板に傷がつく。

そのことをよく理解しているのだろう。最近の進次郎氏は、総裁選については語りたがらない。国会などで記者団に取り囲まれると、聞かれもしない農業の話などを延々と語り続けて、去って行く。総裁選の対応を聞かれたくない気持ちは分かるが、普段のような切れ味の鋭い発言を期待する記者団からは、ため息も漏れる。

今回の総裁選での進次郎氏の動向は、総裁選の行方を左右するだけでなく、政治家・小泉進次郎の今後をも左右することになるかもしれない。

(プレジデントオンライン編集部 写真=時事通信フォト)

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