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「とんかつ定食お米抜き」でやせない理由

プレジデントオンライン / 2018年9月13日 9時15分

ダイエットの新しい常識として知られるようになった「糖質制限」。だが、間違った情報をもとに実践し、失敗しているケースも多い。糖質制限により3カ月で17キロの減量に成功したハタイクリニックの西脇俊二院長は「甘いものをやめたり、米を抜いているのは気休めにすぎない」と説明する。西脇氏が提唱する「糖質制限2.0」の方法とは――。

※本稿は、西脇俊二『ハードワークでも疲れないカラダを作る! 糖質制限2.0』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■40代は努力なしで体型や体力を維持できない

私はこれまで数々のダイエット法を試してきました。糖質制限では17キロも体重を落とすことができました。しかし、糖質制限2.0の目的は、単に「痩せる」だけではありません。

身体を絞りつつ、ハードワークでも疲れない身体を作ること─―働き盛りのビジネスパーソンがますます意欲的に働いて、人生を謳歌できるような心身の状態を整えるのが目的です。

40代は、身体の変化を感じやすい時期でもあります。一番の変化は、やはり体重でしょう。運動不足に加え連日の飲み会や接待で、20代のころより10kg、20kg体重が増えた、という声もよく聞かれます。

体重が増えるだけではなく、徹夜などハードな仕事に耐えうるスタミナが落ちてきた、とヒシヒシと実感するのも40代です。それらはある意味、自然なことです。

40代で努力せずに引き締まった身体やハードワークを楽々こなす体力を維持している人は、いないと考えてください。大きな原因は、基礎代謝の低下です。

■本当の糖質制限は肥満も疲労も取り除く

ハードワーカーは危機管理意識が高いので、変化を感じればダイエットにも挑戦します。持ち前の集中力で、いったんは成功する人も多くいます。しかし、ここで怖いのがリバウンドです。

目標体重に達したとたん、気が緩んで元の食生活に戻り、たちまち体重も元通り、という経験をした方もいるのではないでしょうか。ダイエットで体重は落ちたけれど、パワーが減退してますます疲れやすくなった、というのもたくさんの人が感じてきたことだと思います。贅肉を解決しようとしたらスタミナも落ちた、というジレンマは頭痛の種です。

「糖質制限2.0」は、それらを解決するノウハウです。身体の変化の原因にアプローチして肥満も疲労も取り除く、若返りの方法論です。この方法ならば、リバウンドの心配もありません。

通常のダイエットに伴うストレスやパワーダウンとも無縁です。「そんなこと、本当にできるのか?」とお思いでしょうか。答えは、できます。正しい方法さえ知れば、誰でもこうした結果を手に入れることができるのです。

■「米を抜けばいい」ではなく、「糖をリセットする」

「糖質制限に挑戦して、甘いものをやめた」「米を抜いている」「肉をたくさん食べるようにしている」

西脇俊二『ハードワークでも疲れないカラダを作る! 糖質制限2.0』(KADOKAWA)

こういう方は、よくいます。残念ながら、これらはすべて「気休め」に過ぎません。もともとがよほど食べ過ぎの方以外、それではまったく痩せなくて「おかしいな」と感じているはずです。

それもそのはず、これらはどれも「糖質制限2.0」の基準に当てはめると「糖質制限」とはいえません。ただ、世間ではこうした方法が「糖質制限」と呼ばれることも多く、それらと区別する意味で私が「糖質制限2.0」というメソッドを確立したという経緯があります。

糖質制限2.0では、「糖を減らす」のではなく「一度、ほぼ完全に断つ」つまり「糖をリセットする」ことに重きを置いています。断糖期間中は、摂取する糖質量を5グラム以下に抑えます。

これに照らせば、上の方法がなぜマズいのか、おわかりですね。

いずれも、「甘いもの」や「米などの主食」を抜くだけで他の糖は取り放題になっていたり、「肉」を増やすついでに付け合わせの野菜やセットのライスから糖を摂取しているからです。とうてい5グラム以下の基準に達するはずもありません。

■「とんかつの衣」にも炭水化物が含まれている

とんかつ屋で「とんかつ定食」を頼みお米を残すのも、ナンセンスです。とんかつの衣は小麦粉、小麦粉は炭水化物、つまり糖です。糖質制限では脂質を避けろとはいいませんが、誤った理解で揚げ物ばかり食べ、胃を痛めてしまった人もいます。

摂取した糖は体内で分解されて、ブドウ糖になります。人体はこれをエネルギーとして利用するわけですが、基礎代謝の低下した身体では、これを消費しきれません。余ったエネルギーは1日以内に中性脂肪に変換され、3日後には皮下脂肪や内臓脂肪になります。

さまざまな食べ物に含まれる「糖質」の存在を認識しなければ、意識せずにどんどん摂取してしまい、どんどん脂肪に変わっていくのです。

たとえば秋になると食べたくなるキノコ類。一見どれも変わらないように見えますが、種類によって100グラムあたりに含まれる糖質量にこれだけの差があるのをご存知ですか?

《キノコ類の100gあたりの糖質》
・干しシイタケ……22.4グラム
・キクラゲ……13.7グラム
・エノキダケ……3.7グラム
・エリンギ……3.1グラム
・マツタケ……3.5グラム
・生シイタケ……1.4グラム
・ブナシメジ……1.3グラム
・マイタケ……0.0グラム

こうした知識は糖質制限に欠かせません。コンビニで売っている食べ物やファミレスのメニューには、塩分が書いてあっても糖質量が書いてあることはまずありません。糖質制限実践者には不便ですが、書いてあったら、みなさん食べるのが怖くなることでしょう。

■糖質制限中の接待でもOKな3つの料理

糖質制限2.0では1日の糖質摂取量を5グラム以下にする断糖を推奨していると書きましたが、これは「ずっと糖質5グラム以下の生活をしなさい」という意味ではありません。休日を利用して糖をリセットしたら、あとは「できる限り」の助走でよしとしています。

ハタイクリニック院長の西脇俊二氏

そうして理想体重に至ったら、それ以降は「±2キロまでは増減OK」というルールもあります。理想体重を2キロオーバーしてしまったら、また断糖して戻します。だから、無理なく続けられるのです。ここでは詳述しませんが、週末簡単に用意できる断糖食のメニュー構成も提案しています。

しかしビジネスパーソンとなると、「接待が」「付き合いが」という言葉が頭に浮かんだ方も多いのではないでしょうか。

安心してください。接待や会食でもじゅうぶん、糖質の低い食事は可能です。

もしあなたが店を決められる立場にあるなら、候補は3つあります。

1.海鮮料理

刺身は強い味方です。バリエーション豊かな魚介類を存分に楽しめる機会でもあります。脂の乗ったトロは同席者に薦めて、マグロは赤身に徹すること。刺身に添えられた大葉は食べて構いませんが、ツマは大根、つまり根菜であり、糖質が多いため、避けましょう。

2.しゃぶしゃぶ

しゃぶしゃぶの専門店は高級感満点、様々な食材が食べられるのもメリットです。肉だけでなく、カニを楽しめる店もあります。サシの入った良い肉はお客様へ。こちらは赤身肉に徹しましょう。しゃぶしゃぶに入るにんじん、白菜などの野菜やキノコは、事前に糖質量を調べて低糖質なものをいただきます。ポン酢はつけすぎないようにしてください。

3.焼鳥

雰囲気のいい焼き鳥屋で、職人の妙技と鶏を楽しんでもらいながら、こちらもしっかり断糖できます。何を頼む場合も「タレ」は禁物と心得てください。ただし、「タレか塩かは店が決める」ルールのお店で「塩にしてくれ」とわがままをいうのはやめましょう。こちらの注文が通るかどうか、事前に確認するのがベストです。

■「糖断ちランチ」でプレゼンの内容も変わる

たとえば金曜の夜から月曜の夜の接待までの10食を、糖質制限2.0で推奨する「1日5グラム以下」の食事に変えたとします。うっかり糖質を摂っていないかぎり、そして普段は意識せず糖質を摂っていた人ならば、これだけで1キロも体重が減っているはずです。

また実践期間中、午後の眠気や朝のダルさがなくなってしまう人もいるでしょう。

それだけ糖質は、体重や体調に大きな影響を及ぼします。懐疑的な方は、午後に控えた大事なプレゼンの前の1食だけでもいいので、糖を断ったランチをしてみてください。「気合を入れて、とんかつ定食」を食べた日よりも、意識がはっきりし、いいプレゼンができること請け合いです。

ただし大切な注意点を最後にひとつ。仕事に熱心な方、仕事のできる方への忠告です。こうした方が糖質制限2.0の手法をとれば、体重は面白いように減ります。すると、体重を減らすことに達成感を覚え、「健康な心身を手に入れる」という当初の目的を見失って過度のダイエットをしてしまう人がいます。これは絶対に避けてください。1日に必要なカロリーを、糖質以外でしっかりと摂る。これが鉄則です。

医者がいうのもおかしいですが、自業自得で身体のあちこちを悪くして高い医療費を払うのはばかばかしいです。糖質制限2.0のノウハウで、医者いらずの身体を作ってください。

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西脇俊二(にしわき・しゅんじ)
ハタイクリニック院長
弘前大学医学部卒業。1991~96年国立国際医療センター精神科。1996~2007年国立秩父学園医務課医長。1992~2007年国立精神・神経センター精神保健研究所研究員。大石記念病院(足立区)、皆藤病院(宇都宮)勤務を経て、2009年、ハタイクリニック(目黒区) 院長に就任。2010年よりEuropean University Viadrina非常勤講師。2014年よりAyurvedic Medicine Practitioner(California)。著書に『断糖のすすめ 高血圧、糖尿病が99%治る新・食習慣』(ワニブックス)などがある。

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(ハタイクリニック院長 西脇 俊二)

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