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DeNA社長が求む「技術系人材」4タイプ

プレジデントオンライン / 2018年9月20日 9時15分

ディー・エヌ・エー社長 兼 CEO 守安 功氏

これからビジネスマンはどう変わるべきか。「プレジデント」(2018年4月30日号)では、特集「いる社員、いらない社員」で、大企業のトップ29人に「人材論」を聞いた。今回は、ディー・エヌ・エーの守安 功社長 兼 CEOのインタビューをお届けしよう――。

テクノロジーの進歩が社会をどう変えるか、会社をどう変えるか。「永久ベンチャー」を掲げるディー・エヌ・エー(DeNA)は、変化を先取りして消費者に「喜び」を提供していきたいという。そのときに必要になる人材とは?

――社会はどう変わるでしょう?

10年単位で過去を振り返ってみると、テクノロジーの進歩によって我々の生活がどんどん便利に、快適になってきたことに気づかされます。たとえば20年前には携帯電話はまだ普及前でしたし、それがスマートフォンに代わったのも10年前のことです。

テクノロジーの進歩は年を追うごとに早くなっており、10年後、20年後にはAIやロボットは当たり前の存在になり、私たちの生活は今より便利に、快適なものになっているでしょう。

人間の仕事の内容がそのときどう変わっているのか、今の時点で見通すことは困難です。しかし、人間に代わって機械がより高度な仕事を行うようになることは間違いないでしょう。人の労働時間はすでに減少しつつありますが、おそらく今後も減っていき、余暇の時間が増えていくでしょう。

――DeNAが提供するサービスも変わりますね。

はい。当社はネットオークションから始まった会社ですが、創業当時から今まで、自分たちの事業領域を限定したことはありません。現時点での主力事業はモバイルゲームですが、それもあくまで今の時点での話です。今後はAIを活用した新たなデライト(喜び)を提供していくことになるでしょう。

楽しさや便利さを提供して人々を驚かせ、喜んでもらう。常に新しいことにチャレンジする気持ちを失わず、新しい事業領域に飛び込み、今行っている事業もどんどんあり方を変えていく。社会の変化を先取りして、新たな時代に合ったサービスを提供していく。事業の内容は変わっても、それがDeNAという企業の変わらない本質です。

――求める人材は?

DeNAは社会の変化に合わせて、これからもどんどん変わっていくでしょう。必要なのは、変化のための人材です。「次はこういうことをやったらおもしろそうだね」「これからこういう変化が起きるから、我々も今のうちに変わらなくては」と自ら考え、自ら道を切り開いていく。それができる人が、会社の競争力の源泉と言えます。

失敗したら「なぜ失敗したのか」と考え抜き、「次はこうしよう」と再びチャレンジしていく。そうした強いWill(意志)とPassion(情熱)を持った人が集まる会社にしていきたいと思っています。

■次の経営陣の育成プログラム

必要なスキルという点では、DeNAのコア・コンピタンス(企業の核となる技術など)はインターネットやAIなどに関するソフトウエアテクノロジーですから、ソフトウエアのエンジニアは第一に必要です。

ただし技術は最終的な目的のためのツールであり、企業としてはそれを使って何を達成していくかが重要になります。ですからテクノロジーを理解しつつ、それを実際のサービスやビジネスに応用していく能力を持った人材を求めています。

一口にエンジニアといっても、研究開発のスペシャリストもいれば、「どういうサービスを提供するか」が常に頭にあるサービスリード型の人もいます。数十人規模のチームを指揮するマネジメント力を持つエンジニアも必要ですし、「この技術を使ってどうやってお金を儲けるか」を考え、技術をビジネスに結びつけられる人材も欠かせません。

これら4タイプのいずれであっても、「目の前の技術をどうやって活かしていくか」という視点はなくさずにいてほしいですね。

――将来に向けて経営層の育成も始めているとか。

はい。人は自ら育つものであり、育てるものではないと思っていますので、「育成」というとおこがましいのですが、次のような施策を始めています。

DeNAは2019年に創業20周年を迎えますが、現在の社員数は連結で2400人にまで増えました。次の世代へのバトンタッチも考えなくてはならない時期でしょう。そこで、取締役や執行役員をめざす20代、30代の若手十数人を集め、「ネクストボード」として勉強会を開いています。これは彼らに「もし自分たちが経営者だったらどうするか」という視点で考えてもらうための試みです。

ただ若い人たちには、会社に育ててもらうのではなく、仕事を通じて自分の力で成長するという気概を持ってほしいと思います。上司から割り当てられた仕事をこなすだけでなく、自分から「こういう仕事をしたい」「こういう能力を身につけたい」というWillを抱いて行動するようになってほしい。私自身の経験からも、今の自分の能力に比べて少し難しすぎるぐらいの仕事にチャレンジし、結果を出すことが、人を大きく成長させるものです。

■別の部署の仕事や副業も認める

DeNAでは今、「フルスイング」という人事プロジェクトを実施しています。

たとえば仕事時間のうち30%まで、本人が興味を持った別の部署の業務を手伝うことを認める「クロスジョブ制度」や、「本人が望み、異動先の上長が合意すれば、異動を認める」という「シェイクハンズ制度」があり、導入してまだ1年弱ですが、すでにシェイクハンズ制度を使って社内で異動した人は数十人に達しています。

本人のスキルを磨くために有用と判断すれば、社外の仕事に参加する副業も認めることにしました。開始してからまだ半年ほどですが、すでに約40件の副業を公認しています。

このようにして、新たなチャレンジをする人を後押しする環境を整えることこそ、経営者としての私の責務であると感じています。

▼QUESTION
1 生年月日、出生地

1973年9月21日、大阪府
2 出身高校、出身大学学部
茨城県立土浦一高、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻
3 好きな言葉
ハングリー精神
4 座右の書
『ホーキング、宇宙を語る』スティーヴン・ホーキング
5 尊敬する人
イーロン・マスク
6 私の健康法
ジム通い

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守安 功(もりやす・いさお)
ディー・エヌ・エー社長 兼 CEO
1973年生まれ。茨城県出身。東京大学大学院修了後、1999年11月、システムエンジニアとしてDeNAに入社。2009年、取締役兼COO、11年、代表取締役社長。13年から現職。

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(ディー・エヌ・エー社長 兼 CEO 守安 功 構成=久保田正志 撮影=大杉和広)

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