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クヨクヨ悩む人はカレンダーに○をつけよ

プレジデントオンライン / 2018年11月8日 9時15分

写真=iStock.com/metamorworks

ムダ遣いをしてしまう、行動がのろい、片づけられない……。そんな苦手を克服するにはどうすればいいのか。今回、9つのテーマに応じて、各界のプロにアドバイスをもとめた。第4回は「勇気が出ない」について――。(第4回、全9回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年7月16日号)の掲載記事を再編集したものです。

■無意識のうちに「できない」と決めつけている

新しいプロジェクトに手を挙げるといった大きなことから、職場で電話を取るといった小さなことまで、勇気が出なくて困っている人は多いだろう。

勇気が出ない理由には、大きく3つある。まず、「こうしたいから、これをやる」という、自分の気持ちがはっきりしておらず、「みんながそうしているから」「誰かに言われたから」という他者思考に陥っていることが原因と考えられる。

2つ目は、目標が漠然としていて一歩を踏み出すことができないというもの。他者思考で何となく決めた目標は、漠然としていることが多く、それを実現するためにどんな行動が必要なのかがわからない。すると不安が大きくなり、無意識のうちに「できない」と決めつけ、思考停止に陥ってしまう。

■「また同じようなつらい経験をするんじゃないか」

仕事上で多いのは、3つ目の過去に痛い目、ひどい目に遭ったから、という理由だろう。「一生懸命やったのに認められなかった」「仕事の成果を横取りされた」などの経験をすると、「また同じようなつらい経験をしてしまうのではないか」と、似たような場面に遭遇したとき二の足を踏んでしまう。

確かに、「同じ行動をしなければ、同じ目には遭わない」というのは理には適っているように見える。一生懸命やらなければ、認められなくて悲しい思いをすることはないし、頑張って仕事をしなければ成果を横取りされることもない。しかしそのままでは、ますます勇気が出なくなってしまう。

■「今日も朝起きられた」といった小さなことでOK

勇気は、一気に出るようになるものではなく、段階を経て少しずつ出るようになるものだ。そのステップは、「悩む」→「考える」→「決定」→「行動実験」→「再考」の5段階ある。

第一歩は、「悩む」状態を脱することだ。しかし、1度失敗すると不安や恐怖に囚われてしまい、続く「考える」ステップに進むのが難しくなる。

まずは簡単なワークから始め、自己肯定感を育てよう。「今日も朝起きられた」といった小さなことでよい。毎日自分の頑張りを認め、カレンダーに丸をつけていく。丸が増えるのを見ると、達成感を得られる。

これを進めて、毎日、一日を振り返り「よかったこと」を記録するのもよい。どうしても見つからない場合は「よかったことが見つからなかったことに、気がつけてよかった」で十分だ。いいところを過小評価し、ネガティブなところばかりに目を向けてしまうのは、考え方の「クセ」。毎日の「よかった探し」で、そのクセを変えられる。

毎日、意識的に鏡を見るのも自分を意識し自己効力感を高めるのに効果がある。

■自分に手紙を書いてそれに答えるロールレタリング法

次は「考える」ステップだ。そもそも「考える」のが苦手な人には、ロールレタリング法と呼ばれる心理療法がよい。自分に手紙を書いてそれに答えるという手法だ。

まずは悩みを、自分宛ての手紙として文章化する。それに対して「あなたは、本当はこうしたいのではないか?」と、別の自分になり切ってアドバイスする。相談とアドバイスの二役を行うことで、自分が抱える思考の問題点が見えてくるはずだ。

「自分がどうしたいか」という自分思考で考えるのに役立つのは「ミラクルクエスチョン」という手法だ。「もしお金や能力が思い通りになるとして、やりたいことはなんでもできるなら、どうなりたいか?」という質問を、自分にしてみよう。そしてその答えを実現するために何をすればいいかと考える。目標が具体化し、実現に必要な行動に落とし込みやすくなる。

続く「決定」ステップでは、「できる」「できない」ではなく、「やる」「やらない」「今はやらない」という3つの選択肢の中から決めていこう。「できる」「できない」で判断しようとすると、「できそうもない」と挑戦しない言い訳ばかり挙げてしまう。

一方「やる」「やらない」「今はやらない」だと、「自分は『できない』のではなく、『今はやらない』という選択をしただけなんだ」とポジティブな決定としてとらえられる。

■自分の弱さを認識できる人は「伸びしろ」が大きい人

行動のステップは、心理療法の分野では「行動実験」と言い換えられている。決めたことを行動に移すのにもいろいろなやり方があるので、一番自分に合ったやり方を見つけるために、行動しながらさまざまなことを試す実験ととらえるのだ。

最初から正解を狙ってもうまくいかない。「行動実験」をしながら自分なりの正解を探す。うまくいかなければ「再考」して別の方法を試してみる。この繰り返しだ。図にある「弱気を克服する9つのワーク」は、どれも難しいものではないので試してみてほしい。

勇気が出ない人とは、求める水準が高く、自分に厳しかったり、手を抜けないまじめな人だったりすることが多い。しかし、そこで自分の弱さを認識できる人は、強くなる「伸びしろ」が大きい人とも言えるのだ。

▼弱気を克服する9つのワーク

【悩む】
(1)カレンダーに丸をつける
「今日、生きている」と確認するところから自己肯定感を育てていく。
(2)「よかった探し」をする
一日を振り返り「よかったこと」を記録すれば、ネガティブ思考の改善に。
(3)意識的に鏡を見る
自分を認め、他者思考を自分思考に変えるのに効果あり。
【考える】
(4)自分宛ての手紙にアドバイス
相談とアドバイスの二役を行うことで、思考の問題点が明確に。
(5)「ミラクルクエスチョン」を行う
自分に問いかけることで、目標が具体化。行動に移しやすくなる。
(6)「他者思考でないか」をチェック
人の望みではなく「本当に自分が望んでいることかどうか」を確認。
(7)命軸で考える
失敗したら命に関わるか否か。命を取られないなら実行を。
【決定】
(8)「やる、やらない、今はやらない」
「できる、できない」で判断すると目標から逃げがちになる。
(9)退路を断つ
資格試験に申し込むなど「せざるをえない」状況をつくる。
小さなワークを積み重ね、大きな勇気を育てよう。
※玉川氏への取材をもとに編集部作成

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玉川真里(たまがわ・まり)
臨床心理士
NPO法人ハートシーズ理事長。1991年に陸上自衛隊に入隊。2008年に現場初の臨床心理士として自殺予防対策を任される。自衛隊を辞めNPO法人を設立。著書に『いい人病』など多数。

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(臨床心理士 玉川 真里 構成=大井明子 撮影=向井 渉 写真=iStock.com)

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