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海外向けパワポは"2色以内"が鉄則な理由

プレジデントオンライン / 2018年11月9日 9時15分

写真=iStock.com/GA161076

一流企業のエース社員は、どうやって資料を作っているのか。今回、5つの企業にプレゼンテーションのスライド資料を提供してもらい、その作り方の極意を聞いた。第4回はANA・中井正浩氏のケースについて――。(第4回、全5回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年7月30日号)の特集「できる人の資料術」の掲載記事を再編集したものです。

■極力文字を減らし、一目で理解が前提

企業活動がグローバル化し、日本のビジネスパーソンが外国人を相手にプレゼンを行うケースも増えている。とはいえ、外国人向けのプレゼン資料は、日本人向けとはつくり方を変える必要がある。

全日本空輸(ANA)の中井正浩さんは、2015年5月~18年4月の3年間、ルフトハンザドイツ航空(ルフトハンザ)に派遣され、ドイツのフランクフルトに駐在。欧州では英語がビジネスの共通言語だったものの、プレゼンの相手は国籍も人種も多種多様。コミュニケーションも、日本人同士のようにはいかない。そこで中井さんは、「パワーポイントで作成したプレゼン資料の内容は、なるべく親しみやすくして、目的や結論を端的に伝えることを心がけていました」と振り返る。

実際に中井さんがパワポでつくったプレゼン資料の一例を紹介しよう。ANAとルフトハンザグループのセールスアカウントマネジャー約100人を欧州各国から集め、中井さんが司会・進行を務めた“セールス改善会議”での資料だ。

「日本での勤務時代につくっていたパワポの資料との一番の違いは、1シート当たりの文字数です。日本での場合はどちらかというと読んでもらうための資料ですが、欧州の場合は一目で見て理解してもらうための資料が大前提で、極力文字数を減らしました。欧州ではシートに書かれた文字数が多いと、それだけでプレゼンが受け入れられない傾向が強く、注意が必要です」(中井さん)

文字の代わりに、グラフやイラストなどを多用し、ビジュアルで訴えるのも欧州流のプレゼン資料の特徴。言葉の違いを超えて、誰にでも内容を伝えやすいからだ。「数値の増減を強調するには棒グラフ、数値の推移をわかりやすく示すのには折れ線グラフといった具合に、伝えたい内容によってグラフを使い分けました」と中井さん。

■2色に抑える、欧州独自の理由

さらに、トレンドを明確に示したいときは、グラフに矢印の補助線を入れたり、グラフで目立たせたいデータがあれば、丸で囲ったりするなど、ひと手間加えることで、内容がよりわかりやすくなるように工夫した。

リピーターを含め訪日客が急増している。

「パワポはカラフルな色使いもできるのですが、プレゼン資料ではモノトーンにするか、1シートでなるべく2色に抑えました。すっきりした印象になるからです。また、手元のプレゼン資料のドキュメントに、マーカーで色付けをする人が多く、地色がシンプルなほうが都合がいいからです」(中井さん)

特に神経を使ったのは、ストーリーの組み立てで、「最初のシートでは、当日の議題や予定を示して、メンバーに確認してもらいます。2枚目のシートでは、セールスの現状について概観していますが、ここがポイントです。まず現状を肯定して、営業部門の働きを評価しました。初めから頭ごなしに現状を否定すると、特に主張好き、議論好きな参加メンバーが反発してしまうからです」と中井さん。

3枚目のシートで中井さんはセールス活動の課題を指摘し、改善の余地があることを提示。ここでも否定的な表現は避けて、前向きな言い回しにこだわった。

「セールス活動の改善では、メンバーのやる気をそぐことなく、能力を最大限に引き出していくことが重要だからです。その意味でもパワポ資料は『説明型』ではなく、『シンプルで理解しやすいもの』を心がけました」と中井さんはいう。

ANAのモットーは「一歩先回りした顧客への気遣い」。そこで中井さんは、欧州でも“ANA流”の気遣いを発揮して、パワポのプレゼン資料も聞き手の気持ちに寄り添う形にしたわけだ。外国人向けにプレゼンをする機会があれば、ぜひ参考にしていただきたい。

Getty Images=写真

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中井正浩
マーケティング室 レベニューマネジメント部 企画チームアシスタントマネジャー。1983年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。2006年に入社し、沖縄支店に配属される。パワポは独学で、利用歴15年。
 

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(ジャーナリスト 野澤 正毅 撮影=石橋素幸 写真=Getty Images、iStock.com)

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