不倫バレ最多が10月→8月に移った事情
プレジデントオンライン / 2018年9月19日 8時45分
■なぜ、不倫バレの最多が10月→8月へ移ったのか?
突然ですが、質問です。1年のうち、「不倫の相談」が一番多いのはいつでしょうか?
正解は8月です。しかし、5年前は10月でした。この5年間で何が変わったのか。私の仮説は、不倫相談の大半は「バレたときにやってくる」というものです。
8月は誘惑の多い季節です。そしてルール違反は得てしてバレてしまいます。私の経験では、これまでボロが出るのは2カ月ほど先でした。
「探偵に頼んでおいた証拠をようやく入手」「クレジットカードの明細に2人分の旅行代金」「久々の性交渉で避妊に失敗し妊娠が発覚」……。8月にルール違反があったとして、その「証拠」があがってくるのが、2カ月後の10月頃というわけです。
一方、この5年で生活スタイルは一変しました。いまや誰もが、スマートフォンを持ち、SNSを利用しているはずです。それは不倫も同じです。不倫相手とのやり取りは、SNSに保存されるようになり、それは動かぬ証拠となります。そんな「SNS不倫」について8つの相談実例を前編・後編でご紹介しましょう。
【“SNS不倫”1:フェイスブックで高校時代の同級生と不倫】
宮里愛里さん(仮名・32歳)は何の前触れもなく夫(35歳)から離婚を切り出されました。何も心当たりがなかった愛里さんは強いショックを受けましたが、「まだやり直せるはず」と思い、夫との旅行を計画したり、関係修復に努めたりしました。
ところが、夫は「やり直すつもりはない」の一点張り。愛里さんはその対応に不自然さを覚え、夫の身辺を当たりました。夫婦共用のパソコンで、夫がフェイスブックにログインした状態の画面を愛里さんはたまたま見かけ、そこで不倫相手とおぼしき女性を発見したのです。フェイスブックの「友達一覧」はサイト上で交流が多い順に並べる機能があり、その女性が夫のページの一番上に掲載されていたのです。
どうやら夫と彼女は高校時代の同級生。2人はスタンプ機能を使って「愛している」「早く一緒になりたいね」「同時にベッドに入ろうよ。眠りにつこうよ」などといった言葉を交わしていました。
夫は愛里さんに原因があるような言い方で離婚を突きつけていましたが、夫の不倫を知った愛里さんは、反対に夫を絞り上げました。愛里さんは夫に対して、不倫相手の女性をフェイスブック上の「友達」から外した上でブロックし、二度と画面に表示されないように設定にすることを命じました。
このようにフェイスブックをはじめとしたSNSは「旧交を温める」のに最適なツールとなっている半面、人によっては不倫、援助交際といった裏切り行為のツールとして駆使する人も少なくないことも知っておく必要があるでしょう。
■結婚後も婚活サイトでぬけぬけと「お相手募集」する夫
【“SNS不倫”2:勤務先のフェイスブックに職場不倫を密告】
上原紘一さん(仮名・46歳)は結婚21年目。数年前から夫婦の間でほとんど会話はなく、一緒に出掛けることもない。家のなかで妻(44歳)と顔を合わせないよう恐る恐る廊下や玄関、リビングを通るという典型的な「仮面夫婦」です。
![](https://president.jp/mwimgs/6/5/-/img_654cf7509121a9832a5686588dc6e3f8283927.jpg)
紘一さんには10歳年下の彼女がいます。勤務先の同じ部署の同僚で、妻より彼女のことを愛していて離婚が決まり次第、再婚する約束を交わしています。しかも、妻に対して、彼女の存在を隠そうともしませんでした。妻はそうした夫に謝罪を要求したり、慰謝料を請求したりする一方、関係解消を乞うこともありました。妻にはまだ愛情が少しだけ残っていたのですが、ある日、堪忍袋の緒が切れました。
非常識な行動に打って出たのです。夫と不倫相手の女性が勤務する企業のフェイスブックのページに「○○(夫の名前)と××(彼女の名前)は不倫してるぞ! 即刻クビにしろ!!」と匿名で書き込んだのです。通常、そうした書き込みは信憑性の低いものとして無視されがちですが、2人の勤務先は大手電機メーカー。大企業ほどSNSの対処に慣れていないということなのか、会社の人事部が動くことになりました。
聞き取り調査をされた夫と彼女。顔面蒼白かと思いきや、さにあらず。何も後ろめたい気持ちはないとばかりに、堂々と「(不倫関係は)事実です」と認めたのです。会社側もその開き直りの態度に仰天し、2人に対して子会社への出向を命じました。
紘一さんは出向を命じられることは想定外だったようで、人事部に「離婚の話が進んでいる」「犯人は嫁なんだ!」と慌てて訴え、申し開きをしました。しかし辞令が覆るはずもなく、出向先でも閑職に追いやられ、結局、2人は依願退職をせざるを得なくなったのです。
紘一さんは妻の復讐によって新卒から24年間、勤め続けた会社を追われただけでなく、妻からも三行半をつきつけられました。安定した収入も妻も同時に失ってしまったのです。
【“SNS不倫”3:婚活サイトで夫が婚活続行中】
新垣淳紀さん(仮名・38歳)が彼女(29歳)と知り合ったのは婚活サイト上でのことでした。半年間の交際を経てゴールインしたのですが、結納、結婚式、披露宴、新婚旅行と、幸せの絶頂のはずですが、淳紀はずっとこう思っていたのです。
「彼女に不満はない。でも、もっと良い人がいるのでは」
この婚活サイトでは利用者が「手付金」と「成功報酬」を支払う仕組みでした。手付金はサイト登録時に支払うお金で、成功報酬は成婚時に支払うお金です。この婚活サイトの運営会社は、利用者に戸籍謄本などの提出を求めていないので、成婚したかどうかは、利用者の自己申告に委ねられています。このため利用者が成婚の事実を隠し通すことも可能です。淳紀さんもそのひとりで、運営会社に何も報告しなかったようなのです。
よって婚活サイト上には淳紀さんのプロフィールは「未婚、結婚相手募集」のまま残ります。淳紀さんは上場企業に勤めており、年収は900万円。その額は稼ぎのいい夫を求める女性にとって極めて魅力的に映ったことでしょう。実際、淳紀さんには複数の女性からアプローチがありましたが、結婚している事実は伏せたままでした。
淳紀さんがやっていることは間違いなく「不倫」です。しかし、淳紀さんのなかには「もっと良い人がいるのでは」という大義名分があるようでした。このため罪悪感がないのです。傍目にはずいぶん身勝手な行動に見えますが、淳紀さんは自分を「ナンパ師」とは思っていないのでしょう。
婚活サイトでモテる男性は、「高収入」など条件のいい人。チヤホヤされる状態があまりに心地よくて、念願の結婚・入籍をした後も、「相手探し」を続けてしまう……。そんな人が少なくないのです。「もっと良い人がいるのでは」とサイトで婚活を続行した淳紀さん。「妻との離婚」について悪びれる様子もなく私にアドバイスを求める態度には返す言葉もありませんでした。
■「交通系IC」の履歴チェックで“鶯谷通い”が露呈
【“SNS不倫”4:仮想空間なら後腐れなく不倫できるって本当】
石嶺健太郎さん(仮名・29歳)の妻(27歳)が男性(おそらく30代独身)と知り合ったのはネット上の仮想空間でのこと。お互いの画面に表示されているのは「アバター」で名前も顔も知らなかったものの、妻が夫である健太郎さんの不満や悪口、愚痴をこぼし、それを男性が聞いてあげるという形で打ち解けていったようです。
そのまま仮想空間を抜け出し、実世界のメールやLINEでのやり取りに移行。そして、初デート。驚くべきことに2人は東京の山手線・鶯谷駅の改札で待ち合わせると、いきなりラブホテルに直行したのです。
綺麗や夜景を見たり、美味しい食事を楽しんだり、手をつないで散歩したりという手順を飛ばして、「初対面」とホテルへ行く……。犯罪に巻き込まれてもおかしくないのに、ずいぶん思い切ったことをしたものです。それからも定期的に鶯谷のラブホテルで肉体関係を重ねたようですが、健太郎さんにはバレバレでした。
なぜなら、健太郎さんは妻の交通系ICの履歴をチェックしていたのです。鶯谷という場所は妻に無縁な場所です。自宅からも実家からも職場からも遠い。鶯谷といえば、都内屈指のラブホテル街があります。健太郎さんは、妻を追跡調査して、2人がラブホテルに入った瞬間を目撃し、「黒」だと確信しました。
![](https://president.jp/mwimgs/9/6/-/img_96e97f58ecd8c2e6f9a9fe1fc361bd1365350.jpg)
健太郎さんが妻に詰め寄ると、妻は不貞の事実をあっさり認めました。そして想定外の発言をしました。
「(交通系ICの履歴を)勝手に見るなんて信じられない!」
妻は健太郎さんをルール違反だと言って強く咎め、荷物をまとめて実家に帰ってしまったのです。数日後、妻から依頼を受けたと言う弁護士から「『離婚』の件を受任したので今後一切、○○(妻の名前)に連絡しないように」という手紙が届きました。
最終的に、健太郎さんは離婚に応じました。そして離婚からわずか1年で妻は再婚しました。再婚相手が誰かはわかりません。妻が鶯谷で逢瀬を重ねたアバター男だったのでしょうか。健太郎さんは確かめることもできていないそうです。
「SNS不倫」のケースは、これだけではありません。(後編へ続く)
(行政書士、ファイナンシャルプランナー、男女問題研究家 露木 幸彦 写真=iStock.com)
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