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ネット銀行がローンのAI審査を急ぐワケ

プレジデントオンライン / 2018年11月11日 11時15分

写真=iStock.com/PhonlamaiPhoto

■約8万件の審査データを学習し、人間並みを実現

三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループのメガバンク3行は、人工知能(AI)を活用して業務の効率化をはかる計画を掲げている。2018年5月には、インターネット専業のソニー銀行が住宅ローン仮審査にAIを活用し、自動化した。住宅ローン審査をAIが行うことで、何が変わるのか。

AIには、人が何を学習するかを定義し、与えられた情報を学習して自律的に法則やルールを見つけ出す「機械学習(マシンラーニング)」と、学習する事柄も自身で見出して動作する「深層学習(ディープラーニング)」がある。

同行のAI審査は機械学習によるもので、過去4年分、約8万件の審査データを学習。人がどう判断するか、その法則やルールを見つけ出し、人が判断するのと同様の審査結果を出す、というものだ。

■「機械的にバッサリ切られる」といった心配はない

通常、住宅ローン審査では、返済比率(年収に占める年間返済額の割合)や収入の安定性、信用情報などが審査される。同行によると、人による審査では返済比率が高いと融資に慎重になる傾向があるのに対し、AIでは返済比率に著しく偏ることなく、収入の安定性や完済時の年齢、自己資金の割合などから総合的に判断するという。

人の判断では個人差が生じることもあるが、AIなら画一的な審査結果が得やすいというのも利点だ。

AI自動審査では、「可決」「否決」に分けられるほか、全体の20%程度は「保留」となり、「人」による審査が行われる。人が判断する部分もあるので、「AIだから機械的にバッサリ切られる」といった心配はない。AIといっても、人の判断を模倣するという性質上、万能ではないという前提で運用されること、また保留分については人の判断を介する、という点は、むしろ信頼できる印象だ。

■仮審査にかかる時間は最短60分に短縮

そして、AI導入による最大のメリットは、審査の時間短縮だ。ネット銀行であるソニー銀行は、メガバンクなどに比べて審査する人も少なく、申し込みが多い時期には審査に時間を要することがあった。仮審査の期間は2~6日程度かかり、マイナス金利導入で購入やローンの借り換えが活発化した時期などは、さらに審査の待ち時間が長くなる場面もあったようだ。そこで、AI自動審査を企画し、行内の技術者の参加も得て、2年という短期間で導入に至った。これにより仮審査にかかる時間は最短60分に短縮された。

スピーディに結果を得られるのは、利用者にとってもメリットが大きいといえる。

住宅購入時には、ローンの仮審査をとおらないと手続きが進まない。とくに中古住宅の購入では、審査に時間がかかると、その間に別の購入希望者に先を越される可能性もある。

■ネット銀行とAIは、親和性が高い

またローンを借り換える場合も、審査を待っている間に金利が上がってしまったり、その後の手続きが面倒になってしまったり、といった事態も想定される。

ちなみに、仮審査を通過すると本審査となるが、収入などの申請内容が異なる、物件に違法性がある、健康状態などから団体信用生命保険に加入できない、といったケースを除き、本審査で否決されることはほぼない。

AI導入は経営コストを抑えることにもつながると考えられ、低コスト経営でサービスを充実させる志向のネット銀行とAIは、親和性が高いといえそうだ。

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深田晶恵
ファイナンシャルプランナー
生活設計塾クルー取締役。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」がモットー。『住宅ローンはこうして借りなさい』など著書多数。

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(ファイナンシャルプランナー 深田 晶恵 構成=高橋晴美 写真=iStock.com)

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