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成功する社長が"借金は財産"と考えるワケ

プレジデントオンライン / 2018年10月2日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bulentozber)

成功する社長はどんな考え方をしているのか。たとえば多くの社長は銀行からの借入金の返済に悩んでいる。だが、そんなことに悩まないほうがいい。経営アドバイザーの三條慶八氏は「銀行に借金を返そうと思わないほうがいい。借金を『会社発展のための財産だ』と思えるようになれば、本物の社長といえる」と説く――。

※本稿は、三條慶八『儲かる会社に変わっていく社長の全テクニック』(KADOKAWA)第4章「『資金繰り』『銀行交渉』を上手に回して会社を右肩上がりにする」の一部を再編集したものです。

■銀行借入金は返すことより活かすことを考える

3億円の借金をどうやって返そうかと、いつも悩んでいる社長さんがいます。

「社長、返そうと思うから悩むんだよ。なんで返そうと思うの?」
「そりゃあ、借りたものだから」
「でも事業をずっと続ければ、ずっと借金があっても問題ないでしょ」
「そりゃそうなんだけど……」

しっかりと返済計画もできているし、そんなに悩む必要はないと思うのですが、借りたものはきちんと返したい、少しでも早く返したいというのが生真面目な日本人の気質なのかもしれません。

しかし、銀行は貸した分を返してほしいとはまったく思っていません。銀行が何のために貸しているかと言えば、貸すことによって金利を得るためです。銀行はこの社長さんにも、できればずっと借りていてほしいのです。そのためには、元気に働いて稼ぎ続けてもらうことが一番なのです。

■儲けて金利を払い続けることを目標にする

「銀行に借金を返そうと思うな!」

私は相談会やセミナーであえてこのような刺激的なことを言いますが、それは借りた金を踏み倒せと言っているわけではありません。

経営者であれば、後ろ向きのことばかり考えずに、事業を拡大するために、「もっと金を借りて、もっと儲けて、その分の金利はしっかり払いなさい」と言いたいのです。そして、それこそが、「銀行が貸したい会社」の姿なのです。

私の経験では、「借金3億円」が社長の意識の転換点です。3億円までなら一生かければ何とか自分で返せる金額なので、返すつもりで借りることになります。しかし、5億、10億となると、とても一人の力で返せる額ではないので、逆にふっきれることが多いのです。そこから先は、10億も100億も同じになってきます。もう、腹をくくるしかありません。

「社長、3億円なんて中途半端なお金借りてるから気が重くなるんですよ。もっと借りたら?」

前述の社長に私は最後にこう言いました。軽い冗談ではありますが、半分は本気でけしかけたつもりです。借金を「会社発展のための財産だ」と思えるようになれば、本物の社長といえるからです。

■無借金経営は、いざというときに危ない

マスコミではよく無借金経営の会社を持ち上げて報道します。「あこぎな金貸しに頼らずに自前の金で立派に経営を行っている。素晴らしい」と言うのです。

三條慶八『儲かる会社に変わっていく社長の全テクニック』(KADOKAWA)

それは完全な間違いです。確かに、銀行に頭を下げる必要もないし、借金の返済に追われることもない。資金繰りで日々苦労している経営者にしてみれば、夢のような話です。

しかし、私がこれまで何千社の企業を見てきた中で、無借金経営というのは、儲かりすぎて借金の必要がないというより、借金してまで事業を拡大したくないから無借金となっているケースが実に多いです。決して経営手腕が優れているわけではありません。

そして、この無借金経営はいざというとき、会社のもろさを曝け出してしまうのです。

■「先に恩を売っておく」と考える

「うちの会社は市場での地位を確立しているし、取引先とも順調で、経営危機などありえない!」

そうでしょうか? 経営危機とはどこから来るものかわからないものです。

たとえば、今年も残念ながら日本各地で災害の被害がありました。これはどんな優秀な経営者でも避けることのできない事態です。被害の状況によっては緊急に融資が必要となることもあるでしょう。

しかし、無借金経営の社長が、急な資金が必要になって銀行に駆け込んでも、おいそれとは金を貸してくれません。銀行は、借り入れ実績があって返済も遅滞のない会社を優先します。返済した実績が信用となるのです。

借入枠に余裕があれば可能でしょうが、災害のように各地で被害が出た場合、各社が一斉に緊急融資を申請するはずです。その時に、いかに無借金経営で返済能力があるといっても、日頃から取引のある「お得意様」が優先されるのは自明の理です。特に日本は「お得意様」を優先する気風が強い国です。

また、これは銀行に限りませんが、初めての取引の場合はいろいろと時間もかかります。借金の経験がなければ書類づくりも手間がかるはずです。

そうならないためにも、日頃からの「お付き合い」が非常に大切となってくるのです。「馴れ合いなんて嫌いだ」という気持ちもわかりますが、リスク回避のために「恩を先に売っておく」と割り切り、銀行の借り入れ実績だけは作っておき、会社のいざというときに備えましょう。

最後に、銀行融資を受けるためには、健全な貸出先であるということを、銀行の担当者に印象づける必要があります。そのためには、銀行の担当者が判断の根拠にする次のチェック項目に留意しましょう。

まずは、過去3年分の決算報告書をもとに、事業状況を説明します。ポイントは、銀行が関心を持つ点、特に「返済能力があるかどうか」や「とりっぱぐれの心配はないか」について、安心感を与えるような内容を盛り込むことです。

銀行の担当者が最も重視する数字は、営業損益の推移です。仮に最終黒字が3期連続で続いていても、営業損益が赤字ならばアウトです。なぜならば、事業自体には返済能力がないとみなされるからです。この違いが理解できないと、社長としての資質が問われることになりかねません。事前にしっかりと確認をしておきましょう。

また、明快によどみなく説明することで、粉飾や虚偽記載がないことをアピールします。

■銀行がお金を貸したくなる「もう一つの資料」

こうしたプレゼンをするためには、日頃から資金繰り表を自分で作成するなど、経営の数字に関心をもって経営に当たる必要があります。そうすれば、銀行がどのような数字に関心を持つかも自然にわかるようになってきます。

私は、相談者の社長さんが融資の申込みに銀行に赴く際には、過去3年分の決算報告書だけでなく、「向こう3カ年の事業計画書」を持参するように指導しています。銀行員に非常に評判がいいので、どなたにもお勧めしています。

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三條慶八(さんじょう・けいや)
経営アドバイザー
1960年神戸市生まれ。負債140億円を背負った会社を完全復活させた経験に基づき、中小企業経営者に会社経営、会社再生法を伝授している。著書に『1000人の経営者を救ってきた コンサルタントが教える 社長の基本』(かんき出版)、『あなたの会社のお金の残し方、回し方』(フォレスト出版)など。

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(経営アドバイザー 三條 慶八 写真=iStock.com)

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