最年少"美しすぎる東大王"の意外な読書歴
プレジデントオンライン / 2018年10月2日 9時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2018秋号』の特集「東大生192人 頭のいい子の本棚」の記事を再編集したものです。
■「東大王」紅一点は幼い頃、英語しか話せなかった
人気クイズ番組『東大王』(TBS系列、日曜19時~)にレギュラー出演中の鈴木光さんは東京大学の2年生(文科一類)。この番組は東大生・東大大学院生4人のチームに、芸能人チームがクイズで挑むもので、東大王チームの「IQ165の天才」「医学部のプリンス」「高校生クイズ2連覇」といったツワモノの中に、紅一点として鈴木さんが加わっている。
超難問クイズを次々と解答する頭脳明晰さと、そのスマートな印象に魅了される視聴者は多い。「スタンフォード大学が認めた才媛」という異名があり、ネット上では「美しすぎる東大王」とも言われている。
チーム最年少だが、その博識ぶりは多くのファンが認めるところ。なぜ、そのような圧倒的な知識を身につけることができたのだろうか。
■母親はカタカナ英語で「はらぺこあおむし」を読んだ
鈴木さんは1998年、東京生まれ。両親、双子の姉との4人家族。海外で暮らした経験はないが、小学3年生まで家の中では英語をしゃべっていた。幼い頃は英語しか話せなかったという。
「母の友人にすすめられ英語の習い事を始めたことがきっかけで、姉と一緒にインターナショナルスクールの幼稚園に通っていたんです。周りは英語で話すお友達ばかり。おかげで、気がつけば英語しか話せなくなっていました。私たちから両親へは英語で話しかけ、英語が得意でない両親から私たちへは日本語で話しかけるという家庭でした」
そんな幼い姉妹に母が読み聞かせてくれたのは英語の絵本だ。お気に入りだったのは『ぼくを探しに』(シェル・シルヴァスタイン)、『おおきな木』(同)、『はらぺこあおむし』(エリック=カール)。いずれも日本語に訳されているベストセラーだが、鈴木さんの記憶にあるのは原書だ。
「姉と一緒に母をはさみ、眠る前に読んでもらったことをよく覚えています。母の英語はカタカナ英語でしたが、インドや韓国などさまざまな国の人たちの英語を幼稚園で聞いていたので、まったく気になりませんでした」
■小学校時代は授業中以外は図書館に入り浸っていた
この就寝前の母親のカタカナ英語による読み聞かせ習慣が、鈴木さんを無類の本好きにさせたわけだ。とはいえ、当時、「てにをは」を正しく使えないなど姉妹の日本語がなかなか上達しなかったため、「さすがにこれではまずいだろう」と小学校から日本の公立校へ編入。給食や宿題など、インターナショナルスクールでは経験しなかったカルチャーに最初は戸惑ったという。
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小学3年生ごろには日本語を話す生活にも慣れてきた。学級文庫にあった『モモ』(ミヒャエル・エンデ)を手に取ったことがきっかけで、日本語の本を読むようになった。授業中以外は図書室に入り浸っていたという。
その頃に読んでいたのは『ビルマの竪琴』(竹山道雄)や『一房の葡萄』(有島武郎)など。同世代の子供が読んでいる本よりも「背伸びした本」が好きだった。ちなみに小学校に入学した当初は、『ハリー・ポッター』シリーズ(J・K・ローリング)を原書で読んでいたそうだ。
「母も若い頃は、年に100冊ほど本を読む読書家だったそうです。小学生のときに谷崎潤一郎を読むような文学少女だったと聞きました。そんな母ですが、子供たちに本を読みなさいとは言わなかった。ときどき夏目漱石の『こころ』など、子供たちに読ませたい本を買ってきてさりげなく置いていましたね。流行っている児童書を置くことはなかったです」
■父の部屋で石田衣良『約束』を読み、ひとりで泣いた
中学受験のため小学4年生から塾に通い始めた。この経験も知識量を飛躍的に増やす要因になったと思われる。もっとも通い始めの1、2カ月は、小学校の授業よりもはるかに難易度が高い塾の勉強についていけなかった。特に、「算数なんか最初はわけがわからなかった」というが、両親の支えと塾教師の熱心な指導で、その後、塾内でもめきめき頭角を現した。
ただ、6年生になると思うように成績が伸びない時期もあり、次第にストレスを抱えるようになった。そんなときに、出会ったのが石田衣良の短編集『約束』だという。
「気分が落ち込んだとき、父の部屋にこもって読んでいました。子供部屋は姉と共用だったので、一人になりたかったんです」
目の前で親友を失ったカンタ、突然耳が聞こえなくなった雄太、中学校に行かず公園で時間をつぶす雄吾。本の中には、それぞれの悩みに苦しむ同年代の子供たちの姿があった。
「言葉にできなかった自分の気持ちをこの小説が代弁してくれたようでした。弱くてもあなたはそのままでいいんだよと受け入れられた気がして、ボロボロと泣きながら読んでいましたね」
ちなみに、石田衣良との出会いは国語の試験問題だったという。抜粋された小説の一部をきっかけに興味を持ち、全部読んでみたいと思って本を手に取るのは、「勉強のできる子あるある」だ。
■筑波大学付属中学3年生のときに「英検1級」に合格
鈴木さんは無事、超難関校として知られる国立筑波大附属中学校に合格。同校には強豪として知られるクイズ研究会があるが、鈴木さんにはそこで活躍した実績はない。勉強や、その他の活動に忙しくしていたそうだ。軽音楽部でバンドを組み、ギターを弾いていたという意外な一面もある。
高2のとき、毎年シンガポールで開催される国際的な高校生サミットへ学校の代表として派遣された。参加した世界12カ国の高校生と先生に向け、チームメンバーと共に「真実と和解」というテーマでプレゼンを行った。発表はもちろん英語である。
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「せっかく身につけた英語を忘れないよう、母が先々を見据えて家庭教師をつけてくれたり、夏休みに海外からホームステイ希望者を受け入れたりしてくれたんです。アメリカ、ボリビア、ドイツ……、いろんな国の人たちと暮らしました。おかげで英語は上達し、中3で英検1級に合格できました。その英検をすすめてくれたのも母でしたね」
同じ頃、米国の名門私大であるスタンフォード大が日本の高校生向けに開講した通信教育プログラム「Stanford e‐Japan」を受講。そこで発表した論文が優秀賞に選ばれたことを取り上げて、例の「スタンフォード大学が認めた才媛」という異名がつけられたのだという。
■弁護士に興味を持ち東大へ進学した
将来の道が見えてきたのも高校時代だ。父親の知り合いである弁護士に会ったことがきっかけで、弁護士という仕事に興味を持った。法学を学ぼうと考え、東大へ進学。大学では経済にも興味が広がり、現在は企業分析と株価予想を行うゼミに在籍している。
「司法試験を受けて弁護士になることを目指しています。でも、将来の具体的なことはまだわからないです。自分自身の興味は変わっていくものですから」
■「東大王」として積極的にしている勉強の「中身」
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『東大王』に出演するきっかけは高校卒業間近の2月。番組の予選があることを担任の先生が教えてくれた。すでに推薦入試で東大入学が決まっていた鈴木さんは予選に参加。見事通過し、入学直後にまずは挑戦者としてテレビ出演を果たす。同年の秋からは東大王チームのレギュラーとなり、現在に至る。
「クイズ番組に出演するようになってから、ますます興味の対象が広がりました。(クイズに出題されることが多い)世界遺産や芸術などの分野は積極的に勉強するようにしています。それまで関心のなかった画集や音楽に触れることも増えましたね。そうした時間が大学の勉強の息抜きにもなっているんです」
■がま口の丸いでっぱりの名前は?
番組への出演がいつまで続くかは未定だが、クイズそのものは毎回楽しんでいるようだ。
「自分の身近にあっても知らないことってたくさんあるんですよ。たとえば、お財布のがま口についている丸い金属のでっぱり、あれにも名前がついているってご存じですか? らっきょう玉っていうんですけど、そんなふうに知らないことを知るっていうのは単純にうれしいことだと感じています」
鈴木さんは、幼少時にカタカナ英語の母に「本の世界」に導かれ、読んで知ることの面白さに引き込まれ、そして、博覧強記の美しすぎる東大王となったのだ。
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※『プレジデントFamily2018秋号』の特集「東大生192人 頭のいい子の本棚」では、鈴木光さんのインタビューのほか、「現役東大生自身の小学生時代の読書習慣と小学生に薦める本」「国語・算数・理科・社会・英語 5教科が大得意になる本」「筑附小、慶應横浜初等部、桜蔭中・高、筑駒中・高など名門校の図書館で読まれている本リスト」などを紹介しています。ぜひ手に取ってご覧ください。
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(尾関 友詩 写真=iStock.com)
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