1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

サラダばかりで空腹を満たしてもやせない

プレジデントオンライン / 2018年10月3日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/peredniankina)

ダイエットの定番になりつつある「糖質制限」。だが誤解も多い。ハタイクリニックの西脇俊二院長は「多くの人は本当に糖質を制限できていない。ヘルシーに見える野菜は、実は糖質たっぷりなので、野菜サラダはやめたほうがいい」と指摘する――。

※本稿は、西脇俊二『ハードワークでも疲れないカラダを作る! 糖質制限2.0』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■中途半端な糖質制限では、糖はどんどん身体に入る

やせたい、健康になりたいという方に、私は、「糖質制限2.0」という方法を勧めています。たった3日間でもいいので、1日に摂取する糖質を5グラム以下にし、身体に入る糖を遮断、リセットするという方法です。たとえば金曜から日曜まで断糖し、それ以外の4日間はできる範囲で糖質をおさえる。そうして理想体重に届いたら、あとは糖質制限をゆるめてプラスマイナス2キロをキープします。

こう書くと、「お腹が空きそう。とてもストイックなダイエット法なのではないか」と思われるのですが、大きな誤解です。一番に知ってほしいのは、「空腹をいくら我慢しても健康で見た目のいい身体は手に入らない」ということです。

ハンパな糖質制限をすると陥ってしまうのが「カロリー制限」です。わかりやすくいえば、「食べるのを我慢してカロリー不足になってしまう」状態です。ちまたでいわれる糖質制限も「糖質以外ならしっかり食べてOK」という立場をとってはいます。しかし、「米をやめる」「炭水化物の量を減らす」といった中途半端な糖質制限では、糖はどんどん身体に入ってきます。だからなかなか効果が出ず、ついついカロリー制限に踏み出してしまうのです。

■「我慢するダイエット」は太りやすい身体を作る

カロリー制限は、空腹感との戦いです。お腹が空いて辛いときは、身体も飢餓状態になっています。飢餓状態になると、身体は筋肉を分解してエネルギーを賄います。すると当然、筋肉は減ります。基礎代謝の大半は、筋肉で行われます。筋肉が減れば、基礎代謝は下がります。

つまり、「ひたすら我慢するダイエットは、太りやすい身体を作る」のです。そこへ、空腹に耐えかねてあれこれ食べてしまえば、前より太ってしまうのは必至。それで焦ってまたダイエット、またリバウンド……と繰り返すごとに、太りやすい身体にますます拍車がかかります。

もうひとつ、糖質制限をかじった人が興味を持つダイエット法として、低GIダイエットと呼ばれるものもあります。GI(Glycemic Index)とは、食後血糖値の上昇度を示す指標。低GI食品は、血糖値の上がるスピードが遅いので、ダイエットに適している、という考えに基づく方法です。大雑把に例を挙げれば、野菜や果物は低GI、チョコレートや白米は高GIです。

ダイエットのために「野菜を先に、ご飯を最後に食べる」という食事法をしている人がいますが、これも低GIダイエットと同様の理屈です。しかし、これは、野菜に糖が含まれている以上、糖への誘惑を断てないため、かえって挫折しやすい方法です。「食べる順番を変えて吸収を抑える」などといった小手先のワザではなく、「そもそも糖を摂らない」。これが、「糖質依存→我慢によるストレス→ドカ食い→リバウンド」の失敗ループを断つ、最善の道です。

■ヘルシーに見える野菜も糖質たっぷり

西脇俊二『ハードワークでも疲れないカラダを作る! 糖質制限2.0』(KADOKAWA)

やせたくてランチをサラダだけにし、空腹感を我慢している方。食べるときは野菜から食べるよう心がけている方。嫌な予感がしてきたでしょうか。野菜は「健康食」の象徴のような食べ物ですね。小さいころから「お肉ばかりでなく野菜も食べなさい」と、誰もがいわれて育ってきたことと思います。

たしかに野菜は、繊維質もビタミンも豊富な優れた食材であることは否定しません。しかし、前述のとおり、野菜にもたくさんの糖質が含まれています。とくに根菜類は糖質の高い食品です。にんじん、ごぼう、れんこんなどは、糖質制限のNG食材です。玉ねぎや長ネギ、カボチャやトマト、キュウリやナスも避けましょう。

■葉野菜の茎にも“糖質”

これだけでも、「野菜も食べないといけません」といわれ続けてきた一般的な日本人の食卓には、大ダメージがありそうですね。しかし、まだまだこんなものではありません。葉野菜も注意が必要です。茎の部分に糖質が含まれているからです。

キャベツ、白菜、小松菜やほうれん草、パセリやパクチー、あらゆる葉野菜は、調理時に茎を取り除くこと。本気を出すなら、ブロッコリーも茎を取って、つぼみの部分だけを調理しましょう。これで、食卓にのる野菜がごく少量になりましたが、それでいいのです。野菜は「色どり」と割り切りましょう。

一方、比較的糖質の少ない野菜もあります。たとえばアボカド。繊維が多いぶん、糖質は少なめです。もやしも、一袋で糖質2グラム。1袋食べ切れば「1日5グラム」の半分近くになってしまいますが、シャキシャキした歯ごたえを感じたいときに、アクセント的に使用するのはおすすめです。

糖質制限の観点から見た、食べていいもの・いけないものの一覧を見てみましょう。

野菜だけ食べて空腹を我慢するということは、野菜から糖質を摂り続けるため糖質への依存が断てないうえに、飢餓状態によって太りやすい身体を作っているということなのです。なんともうまくない手だと思いませんか?

■タンパク質はいくらとっても構わない

断糖食生活においては、タンパク質をいかにきちんととるかが決め手です。筋肉のモトになるタンパク質を摂りつつ、運動で筋肉量を上げて基礎代謝を上げるという手法だからです。ですから、肉や魚はいくら摂っても構いません。卵も「1日1個」などといわず、3個でも4個でも食べて結構です。

体重60キロの人なら、1日に必要なタンパク質量は90グラム。そのためには、350グラムの肉や魚をとる必要があります。小食な人でない限り、ご飯やパンを抜けばこれくらいの量は平気で入ります。それでもお腹がすく場合は、もっと増やします。

それによって太ることはありません。タンパク質には糖質のような依存性がないので、「お腹がいっぱいなのに、それを超えて食べ過ぎる」ことがありません。消化に手間のかかる「重い」食べ物でもあるため、速やかに満腹になり、食べ過ぎることなく満足します。

肉類を食べるときは、牛肉、豚肉、鶏肉、ときに羊肉とできるだけバラエティを持たせることも大事です。30品目を推奨するような俗にいう栄養バランスは無視していいですが、かわりに「糖質制限食内でのバランス」を意識してほしいと思います。肉ばかり、魚ばかりではなく、肉と魚をバランスよく食べます。さらに、肉と魚も同じ種類ばかりではなく、いろんな種類を食べます。

■「霜降り肉」は目標到達後も避ける

ハタイクリニック院長の西脇俊二氏

ここで気をつけるべきは、脂肪です。脂質は細胞壁の材料なので断ってはいけないのが基本ですが、目標体重に達するまでは、減らしたほうが効果が大きいので、目標体重までは脂身もこまめに取り除きましょう。さらに、目標到達後も避けたいのは、霜降りの肉です。霜降り肉はタンパク質が少なく、脂肪分が多いうえに、糖も含まれています。肉を食べるときは「赤身肉」が一番です。

牛肉ならモモやヒレ、豚肉も、バラ肉よりロースやヒレを選ぶこと。鶏肉は全般に脂肪分は少なめですが、モモより胸肉やささみがベターです。魚介類も良質なたんぱく源です。種類が豊富なので、食卓のバリエーションを増やすのに最適です。

■焼き魚は塩コショウか自作のポン酢で

ただし、青魚の脂分には注意しましょう。脂肪酸のDHAやEPAは脳細胞を活性化し、血液サラサラ効果ももたらす素晴らしい成分ですが、とるのはある程度体重が減ってからにしましょう。また、魚は刺身・焼き魚・煮魚など色々な調理法を楽しめる点も魅力ですが、甘辛い煮魚には砂糖がたっぷり入っていますし、厳密にいえば、焼き魚にポン酢をかけたらそこにも糖は入っています。外食ならばポン酢をやめて塩コショウ。自炊するならポン酢は醤油と好みの柑橘類を混ぜれば、さらに糖を減らせます。

野菜や果物を摂らないぶんのビタミンやミネラルは、サプリで補給します。タンパク質の比率が高まった結果として起こる腎臓の負荷を考えて、「たくさん水を飲む」というフォローも行います。

つまみ食い知識で、やりたいことだけやる糖質制限まがいのダイエットは、もうやめましょう。理論に基づいてシステマチックに行うのが、これからの糖質制限です。糖質制限は、ハンパにやるならやらなくていいのです。短期間の「糖リセット生活」で目標体重まできっちり下げて、そこからは2キロ程度の幅を持たせてきっちり維持することをおすすめします。

----------

西脇俊二(にしわき・しゅんじ)
ハタイクリニック院長
弘前大学医学部卒業。1991~96年国立国際医療センター精神科。1996~2007年国立秩父学園医務課医長。1992~2007年国立精神・神経センター精神保健研究所研究員。大石記念病院(足立区)、皆藤病院(宇都宮)勤務を経て、2009年、ハタイクリニック(目黒区)院長に就任。2010年よりEuropean University Viadrina非常勤講師。2014年よりAyurvedic Medicine Practitioner(California)。著書に『断糖のすすめ 高血圧、糖尿病が99%治る新・食習慣』(ワニブックス)などがある。

----------

(ハタイクリニック院長 西脇 俊二 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください