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高所得者を狙い撃つ「3大負担増」の中身

プレジデントオンライン / 2018年10月20日 11時15分

医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第2回は「高齢者」について――。(第2回、全11回)

■大企業健保加入者は、介護保険料がアップ

社会保障費の伸びを抑制するため、2017年度の予算案では高齢者や所得の高いビジネスマンに医療費や介護保険料の負担増を求めるなど3つの柱が決まりました。医療・介護制度の改革が急がれる背景には、団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」があります。

まず負担増の第1は、高額医療費で70歳以上の高齢者の自己負担です。例えば、年収370万円未満で住民税を支払う中所得者は17年8月以降、外来受診時の上限が月額1万2000円から1万4000円。さらに、18年8月には1万8000円に上がります。

また、入院と外来を合わせた世帯の自己負担上限も月額4万4400円から17年8月には5万7600円となります。ただし、高齢化に伴い慢性疾患などで頻繁に通院する患者に配慮して年間14万4000円の上限が新設されたのは朗報でしょう。

第2は、後期高齢者の保険料軽減特例の見直しです。74歳まで夫や子どもらに扶養されていた高齢者や比較的所得の低い人は現在、保険料を9割軽減されていて、その金額は月380円。これを17年度から7割軽減にし、18年度には軽減を5割まで引き下げるというものです。

そして第3の負担増は、介護保険を負担している40~64歳の現役世代、とりわけ大企業社員の保険料アップです。これは介護保険料が収入に連動して増減する「総報酬割」が17年8月から4年かけて段階的に導入されるからです。所得が高い人たちの負担を増やして、介護保険制度の持続性を高めるのがねらいです。

その結果、収入が少ない中堅企業などの健康保険組合に加入する人の保険料が今より下がる一方、大企業の健保組合加入者の保険料は上がります。厚労省の試算では、大企業の多い1408健保組合の平均で月727円の負担増です。年収の高い上位組合で見ると、年収841万円の人では月当たり5668円と大幅に増えてしまいます。

以上3つの負担増は、高齢な親のいるビジネスマンには生活援助などで家計にずしりと響きかねず、何らかの防御策を講じないわけにはいきません。今回の改正に限ったことではありませんが、会社員である子どもの健康保険に入れば、親が払う国民健康保険の保険料がいらなくなります。親の年収にもよりますが、親が75歳未満なら健康保険の被扶養者に該当します。

写真=iStock.com/imtmphoto

親が健康保険の扶養に入れるのは年収が60歳未満の場合は130万円未満ですが、60歳以上であれば180万円とやや緩やかになります。ただし同居なら問題ありませんが、別居していると、親の年金収入と同額以上を仕送りしていることが扶養親族になる条件になります。

なお、自営業者などが加入する国民健康保険では所得に応じて負担する「所得割」と家族の人数によって負担する「均等割」を合算して保険料を計算します。扶養家族が多くなれば保険料も高くなってしまいます。

親を扶養家族にすることで高額医療費の払い戻しが受けやすくなるのもメリットです。世帯で複数の人が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合は、自己負担額を世帯で合計できる「世帯合算」という制度が利用できます。その合算した額が自己負担限度額を超えたら、超えた金額が戻ってきます。

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75歳未満の親は要件満たせば保険料なしで扶養に

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高橋成壽(たかはし・なるひさ)
寿FPコンサルティング代表取締役
CFP認定者。1978年生まれ。慶應義塾大学卒業後、外資系生命保険会社等を経て現職。著書に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』がある。
 

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(高橋 成壽 構成=岡村繁雄 写真=iStock.com)

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