いま足を運びたい「新しいカタチ」の本屋
プレジデントオンライン / 2018年10月12日 15時15分
■話題の新刊もなければ、売れ筋の本も置いていない
本はもっぱらネットで購入している……。そんな話をよく耳にするけれど、それだけではもったいない。最近、本屋がますますおもしろいことになっている。2018年に入って都心部に立て続けにオープンした新店は、わざわざ足を運びたくなる、新しいカタチの本屋ぞろいなのだ。
18年3月に開業した商業施設・東京ミッドタウン日比谷内に誕生したのは、「ヒビヤ セントラル マーケット」。書店チェーン「有隣堂」が、さまざまなショップのプロデュースなどを行うクリエーティブディレクター・南貴之氏と組んで手がけた店舗だ。
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ヒビヤ セントラル マーケット
【DATA】東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3階 電話 03-6205-7894
(営)11:00~21:00(飲食スペースは、~22:00L.O.) (休)ビルの定休日に準ずる
1.フロア内に洋服店や眼鏡店などを組み込んだ複合型店舗。左奥は理容室。月に1度、女性向けの顔そりを行う。2.地方のバスターミナルをイメージした売店では、漫画や雑誌のほか、コーヒーや焼き菓子も買える。3.器も販売。4.居酒屋「一角」で、書架を眺めながらのんびりビールを。
▼おすすめの一冊
『始めよう。瞑想』(宝彩有菜/光文社)。初心者にわかりやすく説いた瞑想法を紹介。瞑想は心を整える“科学”であり、気分が落ちたとき、体調がすぐれないとき、能力アップしたいときにも効果があることが学べる。ストレスの多い生活を送っている人の処方箋となる一冊。
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「南さんの“今までにない店をつくろう”という考えを形にした店です。書店だと思って来ていただくと、かなり斬新な売り場だと感じてもらえるはずです」
店長の渡邉郁さんがそう言うだけあって、これが書店!? と目を疑うような空間。格調高い本棚と並列してハイセンスな洋服や器などの雑貨類が並び、その本棚を囲むように理容室や居酒屋まであり、フロア全体がまるで小さな街のよう。
しかも、チェーンの書店であるにもかかわらず、話題の新刊もなければ売れ筋の本も置いていない。本棚に並ぶのは、有隣堂の専務を筆頭に、店づくりに関わったクリエーターたちが選んだ洋書や専門書などだ。今後、選者が入れ替わる棚もあるというから、時折チェックしに立ち寄る価値がある。
■女性のために誕生した、ビジネス街のオアシス
東京ミッドタウン日比谷の向かいに建つ日比谷シャンテ内にも新店が登場。「HMV&BOOKS 日比谷コテージ」は、“女性のための本屋”というキャッチコピーを掲げた店だ。
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HMV&BOOKS 日比谷コテージ
【DATA】東京都千代田区有楽町1-2-2 日比谷シャンテ3階 電話 03-5157-1900
(営)11:00~20:00 (休)ビルの定休日に準ずる
▼おすすめの一冊
『ぼくには数字が風景に見える』(ダニエル・タメット/講談社)。著者はアスペルガー症候群とサヴァン症候群を併発した数学の天才。障害ゆえの苦悩を抱えながら数学への愛をよりどころに自立する過程や、他者と心を通い合わせていく姿が読みどころ。感動します!
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「都会で働く女性たちが、ふらっと立ち寄ってリフレッシュできる場所でありたい。目指したのは、あれもこれも興味が湧くような、テーマパークのような本屋です」
店長の花田菜々子さんの言葉どおり、店内は巡るだけでワクワクする仕掛けがいっぱい。同色の装丁の文庫本を美しく一面に並べたり、料理本と一緒に食指が動く調味料も陳列して販売したり。そうかと思えば、女性がかっこよく生きるために参考になる本を並べた「Women's book」という棚や、社会学や哲学など硬派な本をそろえた棚もある。
元気と知性をともに与えてくれる、そんな場所へ行かない理由はない。
■本とカレーの街、神保町の新顔書店
オフィスビルと書店が混在する“本の町”に登場した「神保町ブックセンター」は、本好きなビジネスパーソンの憩いの場になっている。
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神保町ブックセンター with Iwanami Books
【DATA】東京都千代田区神田神保町2-3-1 岩波書店アネックス1階、2階、3階
電話 03-6268-9064
(営)平日9:00~20:00、土曜・日曜・祝日10:00~19:00 (休)不定
▼おすすめの一冊
『平面論 一八八〇年代西欧』(松浦寿輝/岩波書店)。作家で仏文学者、批評家でもある著者が、1880年代以降の西欧に出現した映像技術や大衆文化などの近代的イメージを多角的にとらえた一冊。現在の表象空間を読み解くうえでも示唆に富む名著である。
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カレーなどの食事をはじめ、スイーツ、お酒のつまみまで出すカフェと一体化したつくりで、三方を本棚に囲まれた空間で飲食しながら全書籍の試し読みがOK。カウンター席には電源が完備。奥には会員専用の「コワーキングスペース」があり、芸術書に囲まれた知的な場所で集中して仕事をすることができる。
この新店を運営するのは「キッザニア東京」などを手がけたUDS。マネージャーの永礼欣也さんは、「“本の町”、神保町の顔になるような本屋にしたい」という。岩波書店の書籍を扱っていた「岩波ブックセンター」の跡地につくったことから、岩波書店の刊行タイトル約9000点と、同書店の書籍と親和性のある本を置く。岩波の本、というと堅いイメージがつきまとうが、児童書も豊富。見渡すと覚えのある絵本が飾ってあり、妙に落ち着く感じもいい。
好奇心をくすぐられる新顔書店へ、さっそく足を運んでみよう。
(安井 洋子 撮影=加藤純平)
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