どんな時でもご機嫌な自分になれる脳習慣

プレジデントオンライン / 2018年10月14日 11時15分

写真=iStock.com/AzmanL

ご機嫌な心の状態を、いつでもどこでも自分でつくるための方法がある。超実践的なスキルを紹介しよう。

■「行動のルーティン」に頼ってはいけない

「人間は脳と心の生き物です」──私のメンタルトレーニングは、これを理解してもらうことから始まります。脳は「思考」の中枢です。心は、あなたの今の「状態」です。心の状態は「不機嫌」な方向へ向かうか、「ご機嫌」な方向へ向かうか、この2つのどちらかしかありません。

不機嫌なときにはイライラしたり、落ち込んだり、ストレスがかかっています。そこで多くの人が考える解決方法といえば、ある行動を取ることで気分を変えること。酒を飲む、たばこを吸う、風呂に入るなどといった「行動のルーティン」に頼るわけです。

しかし、勤務中に飲酒をしたり、風呂に入ったりはできません。対処法としての限界があるわけです。

■いつでもどこでも実践できる「思考のルーティン」

なぜ、人間が行動のルーティンに頼りたがるのかといえば、意識しない限り脳は「環境」「出来事」「他人」に関する情報を収集し、行動の内容を考え続けるからです。

たとえば、雨が降ったら傘を差す、締め切りが迫っているから徹夜で仕事をするといった具合に。中には「この商品がヒットすれば」などと“結果”によってご機嫌がもたらされると考える人もいるでしょう。しかし、結果が出るまではストレスが溜まるばかりで心の状態は悪化します。また、いい結果が得られてご機嫌になっても、それは一過性のもので持続しません。

対して、いつでもどこでも実践できるのが「思考のルーティン」です。これによってご機嫌な状態をつくり出す脳のスキルを私は「ライフスキル」と呼んでいます。ライフスキルは従来の脳とは異なる新しい脳の使い方をするので「第2の脳」と言えます。最初にすべきは「機嫌がいいことの価値を考える」こと。これを徹底的にトレーニングしてください。

たとえば、「機嫌がよければあなたはどうなりますか?」と自分に問いかけます。紙とペンを用意し、「何をやっても楽しくなる」「アイデアがわく」「ご飯がおいしくなる」など、思いつくことを書き出すのです。

■過去に囚われている自分に気づく

目的は、ご機嫌な状態にあれば、いいことが次から次へと自分のところに寄ってくると確信すること。日々の習慣としてこれを実践します。なぜなら、多くの人は意識しないと不機嫌になる“行動”を取りがちで、PDCAサイクルのように脳をフル稼働させてしまうからです。すると過去にこだわり、コントロールできない未来を心配するストレスだらけの生活を送るしかありません。

たとえば「今朝、人身事故で電車が2時間も遅れ最悪だった」といった話を午後になっても、帰宅しても引きずる。営業で顧客を訪問する前から「断られたらどうしよう」と不安に駆られる。ライフスキルは、このように過去に囚われたり、未来の出来事に暴走したりしている自分に気づくところから始まります。

■人間はもともと一生懸命を楽しめる

そして、「今に生きると考え」て、リセットする習慣をつけます。心をリセットする方法としては、「休日に家族と過ごす」など行動によるイベントが考えられますが、リセットするまでの時間がかかりすぎるという弱点があります。「今に生きる」と考える思考の習慣を持つことによって、いつでもリセットできるようトレーニングする必要があるのです。

続いて「一生懸命が楽しい」と考えます。仕事を無理やり楽しめという意味ではありません。人間は一生懸命を楽しめる能力を持っています。子供の頃、どろんこ遊びに夢中になったように。「一生懸命って楽しいよな」と考えれば、もともと持っている遺伝子がオン化されます。

ここまでのステップで新しい脳機能としてのライフスキルを身につけたら、次はこの力をさらに磨きましょう。私はライフスキルを3つに分類しています。

まずは自分で自分の心をご機嫌にする力をライフスキルの中でも「社会力」と呼んでいます。さまざまな外部の状況や出来事が次から次へとやってくる社会の中で、自分らしく生きていく力という意味です。

残り2つは、周りの人もご機嫌な状態に導く「コーチ力」、さらには組織をご機嫌な状態に築きあげる「リーダー力」になります。ご機嫌な状態は自分だけにおさまらず、広く実現できれば、結局は自分のためにもなるのです。たとえば、人に接するときは、積極的に挨拶や「ありがとう」と口にするだけで、口にしている自分もご機嫌になるのです。

日々の生活の中でライフワークの3つの力を磨くワークをまとめました。ぜひ実践してください。

「ライフスキル」を磨くためには何をしたらいいか?
▼社会力
「自分の心をフロー状態にする脳力」を高めるワーク
●仕事をしているときの「楽しいこと」をリストアップしてみよう。そして、「結果に依存している『楽しい』」の項目に×を、「自分さえいればつくりだせる『(過程の)楽しい』」の項目に○をつけてみよう。
(例)
・企画書をつくっているのが楽しい  ○……自分でつくり出せる
・売り上げが伸びると楽しい  ×……結果に依存する
・「ありがとう」と言われたら楽しい  ×……相手の反応に依存している
●「今」という言葉を意識的に使って、今を選択する思考を鍛えよう。1日にどのくらい使うのかも自分で決めよう。
(例)
「今に生きる」「過去より今」「今に集中」などを1日30回言う
▼コーチ力
「周りの人をフロー状態に導く脳力」を高めるワーク
●人と接するときは、まず相手の話を聴いて「わかった」と伝えよう。
●人に接するときは、時間の幅を持って、成長や可能性を見つけよう。
●人に接するときは、期待より、応援の姿勢でいよう。
●人に接するときは、見られている影響を知り、行動してみせよう。
●人に接するときは、「楽しい」を大事にし、結果ではなく、過程の楽しさを褒めよう。
●人に接するときは、積極的に挨拶や「ありがとう」を口にしよう。
▼リーダー力
「組織をフロー状態に築きあげる脳力」を高めるワーク
●自分視点から目線を上げ、人の成長を考えよう。
●組織や仲間との時間やエネルギーを惜しまず、思いや理念を共有化する。

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辻 秀一(つじ・しゅういち)
スポーツドクター
1961年、東京都生まれ。北海道大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院内科、慶大スポーツ医学研究センターを経て独立。著書に『スラムダンク勝利学』など。
 

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(スポーツドクター 辻 秀一 構成=小澤啓司 写真=iStock.com)

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