だまされない人間になるための6つのコツ
プレジデントオンライン / 2018年12月8日 11時15分
※本稿は、「プレジデント」(2018年7月16日号)の掲載記事を再編集したものです。
■ディベート思考で「自問自答」する
基礎的なことですが、だまされないためには、まずは自分の考えを持つことが大切です。とはいえ、これが意外と難しいのです。脳科学のある実験結果を紹介しましょう。
ある議題について、被験者20人を対象に賛成か反対かの票を取る実験をしました。1つのグループは10人全員に一斉に投票用紙に書いてもらいます。もう1つのグループは、10人全員が集まったところで、最初の3人に連続して意見を聞き、全員に「賛成」と答えてもらいました。その後、4人目、5人目……とその場で投票してもらいます。その結果、前者より後者の賛成票が多くなったのです。人は前の人の意見に流されやすいのです。
これを踏まえていくつかの対策を教えましょう。例えば、重要な会議で賛否を募るときは、順番に聞いていくのではなく、その場で一斉に紙に投票させたほうがいい。また「質問はありませんか?」と聞かれたときは真っ先に手を挙げてください。さらに事前に紙に書き出しておくと、周囲に流されずに自分の意見を話せます。
周囲の意見に流されないためには、賛成派と反対派の両方の意見を常に自分の中で用意する“ディベート思考”を持つことが重要です。例えば、ある本について友人から「すごくよかった」と言われても、あえてその本の欠点や疑問点を話して反論してみましょう。加えて、自分自身でも両論に耳を傾けてみるのもよいでしょう。例えば、原発反対派の人は反対論者の本しか読まないことが多いですが、賛否どちらの本も読むことで、ディベート思考は鍛えられます。
もちろん、自分で考えることに加え、よき相談相手を見つけることも重要です。
「夏休みにハワイにいこうと思っているんだけど、どう思う?」「この服、似合うかな?」など、些細なことで構いませんので、とにかく意見をもらえる人を増やしてください。
最後に1つ、脳科学の観点からだまされないために判断をする時間帯に着目してみましょう。脳は時間帯によって向いている作業が異なります。午前中は論理的思考をするのに向いている一方、午後は脳が疲れてくるので判断がいい加減になりやすい。つまり、午後は間違った選択をしやすいのです。仕事ではミスが目立ち、買い物では衝動買いが増える。そのため、高い買い物ならば、夕方に欲しいと思った商品を、翌日の午前に本当に欲しいのかをもう1度考えてみてください。時間を意識するだけで誤った判断はかなり防げるのです。
周囲に流されないディベート思考を手にいれよう
(1)会議に出るときは自分の意見を紙に書いてから参加する
だまされやすい人は同調圧力に押されやすい人。会議に出るときはあえて先に意見を紙に書き、自分の意見を明確にし、周囲に流されず、必ず発言してみよう。
(2)友人と話すとき、反対意見を述べてみる
日本にはあまり議論する習慣がない。だから、そう思っていても「違うんじゃない?」となかなか言い出せない。何でもいいので、反対意見を言ってみよう。
(3)気になるトピックについて意見の異なる本や新聞を3つ読んでみる
何か大きな買い物するとき、売り主の意見だけを鵜呑みにするのはよくないです。気になったトピック(例えば原発問題など)があれば、それに関して意見の異なる3つの本や新聞を読んでみて、いろいろな視点から考える習慣をつけましょう。
(4)交流を広げて、他愛のない会話ができる知人を増やす
いろいろな意見を言ってくれる友人をたくさん持つことは大切です。そして自分が重要な相談をできる人が誰なのかを考えてみましょう。わからないと、いざとなったとき、自分ひとりで抱え込んでしまいます。
(5)友達や家族に悩みを打ち明けてみる
あなたが今抱えている一番の悩みを誰か友達に相談してみよう。いない場合は何とか見つけてください。これは相談力を高めます。そして他人の意見を聞くという習慣ができます。
(6)重大な決断、大きな買い物は午前中に
午前中は論理的な思考が向いているので、難しい問題に対しても正しい判断を下しやすい。午後から夜は脳が疲れているので、ミスが多くなります。だから大きな買い物は午前中に判断しましょう。
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精神科医
1965年、札幌市生まれ。札幌医科大学卒。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。著書に『神・時間術』など多数。
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(精神科医 樺沢 紫苑 構成=鈴木俊之 撮影=横溝浩孝 写真=iStock.com)
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