収入の低い人ほどメールをすぐに返さない
プレジデントオンライン / 2018年10月22日 9時15分
※本稿は、「プレジデント」(2017年7月17日号)の掲載記事を再編集したものです。
■若手低年収層の3割以上が、家でパソコンを使わない
仕事でもプライベートでも、現代のビジネスパーソンにとってインターネットに触れない日はないだろう。スマホ、PC、その他あらゆるモノがネットにつながるIoT全盛の現代、その使い方が大きな差になって表れるのではないだろうか。
今回、年収1500万円以上を「高年収層」、年収500万円未満を「低年収層」と定義し、両者にネット活用について詳細なアンケート調査を実施した。
その結果に基づき、ライフネット生命保険の立ち上げに参画し、現在はベンチャー企業の創業・成長を支援しているインクルージョン・ジャパンの吉沢康弘氏に分析を依頼した。多くのエグゼクティブやカリスマ経営者、若手起業家を知る吉沢氏ならではの視点や経験則を含めて解説してもらった。
まずは自宅でのパソコンの使用状況から見ていこう。20~30代の若手低年収層では3割以上の人が、家ではパソコンを使わないという結果となった(図1)。
吉沢氏は「大企業やベンチャー企業で働く20代の人たちに、パソコンを持ち始めた時期を尋ねると、『学生時代、インターンを始めた頃』という答えが多く返ってくる」という。
就活前に、パソコンを使って自ら付加価値をつくるトレーニングを始める人がいれば、就職しても、スマホだけですむからパソコンはいらないという人もいる。両者の間には、稼ぐためのスタートラインからして、大きな差がついているようだ。
仕事編
歴然! ネットに時間を使っているのか、使わされているのか
インターネットの使用時間を見てみると、高年収層は仕事で使う時間が長く(図2)、低年収層はプライベートで使う時間が長い(図3)。吉沢氏が注目したのは、仕事でネットを使う時間帯(図4)とメールをチェックする時間帯(図5)だ。
「ともに高年収層は出勤中の割合の高さが目立ちます。この傾向は夕方の退勤時も同様。特に、メールチェックに注目すると、高年収層は返信が非常に早いのだと思われます。マネジメントの肝である意思決定のスピードを重視しているのでしょう。逆にそうでない人たちは、仕事は会社で済ますものという、少し昔の固定観念を引きずっているのかなと思います」
最近では「有能で収入が高い人ほどメールではなく、Facebookのメッセンジャーやチャットアプリを多用する傾向が圧倒的に強い」と吉沢氏はいう。リアルタイムでスピーディーにやりとりをして、一気に意思決定までもっていくのだ。
「メールの返信が翌日だと、正直、めちゃくちゃ遅いという感覚です。だったらもう違う人にお願いする、となり、ビジネスチャンスを失うことにもなりかねません。結論が決まらない中途半端な案件があると、そこに意識が残り、ほかの仕事に対する集中力や効率に悪影響を及ぼします。それを避けるため、仕事ができる人は、自分のところにきた球は、とにかくすぐ返すという意識が強いのです」
メールをチェックする時間帯を詳しく見ると、起床後、帰宅後、就寝前は高年収層と低年収層の差が、ほかに比べて小さい。
「高年収層は、質の高い睡眠を確保するために、あえてメールを控えていると思われます。このように、高年収層は、自覚して時間を区切り、メリハリをつけています。ネットはテレビなどと比べても中毒性が高く、無自覚でいると時間を奪われてしまうという恐ろしい特徴を、理解して使う必要があります」
意思決定のスピード感と、時間の使い方に対する強いこだわり。違いはそこにあるようだ。
調査方法●編集部とマクロミルで実施。個人年収500万円未満250人、個人年収1500万円以上250人から回答を得た。調査日は2017年5月24~26日。
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インクルージョン・ジャパン 取締役
東京大学大学院工学系研究科修了。P&G、Human Value社を経て、ライフネット生命保険の立ち上げに参画。同社を経て、インクルージョン・ジャパンを創業。著書に『これからのエリートだけが知っている仕事の強みの磨き方』などがある。
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(ライター 衣谷 康 図版作成=大橋昭一 撮影=向井 渉 写真=amanaimages)
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