医師の87%が自身は延命治療を希望しない

プレジデントオンライン / 2018年10月19日 15時15分

なんとなく体の調子が悪い、健康だと思っていたのに、急に病気になった……。できれば病院に行きたくないけれど、放っておいたら大変なことになる場合も! いざというときに慌てないために、知っておきたい「心がまえ」をご紹介します。

■いい病院、悪い病院の見分け方は?

いい病院とは“腕がよくて治療方針が明確、患者の話をよく聞いてくれる医師がいて、スタッフのホスピタリティーが行き届いている”理想はこれに尽きるが、なかなか出合えないかもしれない。いい病院、悪い病院を見分けるには、どういった点をポイントにすればいいのだろう。

「大病院にかかる場合であれば、高度な技術や専門性を持った医師がいるかどうかが重要なので、手術件数が多いことが目安になります」

と、メドピアの眞鍋歩医師は語る。手術件数は病院のホームページで公開されているので、簡単に調ベられる。また、実際に受診してからのポイントとして挙げるのは、次の点だ。「診察の流れがスムーズで、スタッフ同士のコミュニケーションが取れていることが大事。薬を出しすぎる医師がたくさんいないかどうかも気にしたいですね。薬は効果がある半面なんらかの副作用があります。患者さんのためにも、薬をいかに少なくするかは大切なことですから」

パーソナル医療コーディネーターのおのころ心平さんが指摘するのは「手術を急(せ)かさないか」。

「患者が動揺しているのに乗じて『○日が空いているから、この日に手術しましょう』とたたみかけてくるような病院は再考を。冷静になってから、自分も家族も納得する答えを出しましょう」

■信頼できるかかりつけ医を選ぶ方法は?

一口に病院といっても、ベッド数などによって呼称が違う。19床以下が診療所やクリニック、20床以上が病院、このうち、100床以上が主に総合病院、400床以上で先端的な医療を行うのは特定機能病院だ。

写真=Getty Images

日本人にはなぜか大病院信仰があるが、規模が大きくなるほど予約が取りづらかったり、担当医がコロコロ替わるなどのリスクもある。だから、予約しやすく信頼できる「かかりつけ医」を探すことに時間をさいたほうがベター。そこで重篤な病気が見つかった場合、カルテを時系列にしっかり把握している医師の目を通して、より高度な機能を持つ病院を紹介してもらえば問題ない。特に、30~40代の女性はライフステージの変化にそなえた、婦人科などのもう1人のかかりつけ医がいると安心だ。

■ご近所情報が、役に立つ

「自宅や職場の近所など、ご自身の生活圏で見つけるのがベストですね。医師への評価に関しては、地元の“ご近所情報”ほど正確なものはないかもしれません。もちろん、最終的に、医師との相性は、自分の目で確かめて」(おのころさん)
「話をきちんと聞いてくれて、信頼関係を築ける医師を選ぶとよいと思います」(眞鍋医師)

院内やスタッフの雰囲気も、「目で見て確認すべき点」だとおのころさんは言う。

「玄関のスリッパが散らかっていたり、トイレの掃除が行き届いていないようなところは少し考えましょう。受付や看護師さんの私語が多いのも要注意。医師や経営者の教育がなっていない証しです」

■病気についてどこまで勉強するべき?

もし自分が抱えている症状について何科にかかっていいか不明なときは、住んでいる地域の役所の健康課などに問い合わせて、受診相談ができる窓口があるかどうか確認できる。

また、インターネットによって、一般の人でもさまざまな知識をいつでも簡単に得ることができる。その気になれば、病院からCTやMRIなどの画像結果をもらい、その見方もネットで得られてしまう。病気に関してきちんと勉強することは必要だが、その弊害もなきにしもあらず。

「患者が今かかっている病気について知りたいことといえば、病気の原因、成り立ちや診断についてではなく、治療法です。しかし、一足跳びにそれを求めると、情報の集め方に偏りが生じます。ネット上に躍る“画期的治療法!”といった言葉に目を向けがちになり、玉石混交の情報に翻弄(ほんろう)され、逆に混乱してしまいます」(おのころさん)

■自分で調べすぎて、治療がうまくいかない!?

「がんや難治性の病気になるほど、深く調べる方が多くなります。それはそれでもちろんいいことですが、なかには自分で得た知識で凝り固まって独自の理論を持つ方、医師の診断に懐疑的、否定的になる方がいます。そうなると、後々の治療がうまくいかないことも少なくありません。病気に関する疑問があれば、直接医師に聞いてもらえば、その方の症状に合った正しい情報を提供することができます」(眞鍋医師)

自分の知識を振りかざして医師を信用しないのはNG。反対に、医師に任せきりの依存型でもよくない。医師を信頼しながら、大事な局面ではきちんと自分の意見を主張し、最終的な判断は自分がする。こういう患者は、医師からも好感が持たれそうだ。

■医師のモチベーションが上がる患者になるには?

相手がどんな患者であろうと公平に平等に診療すること。ドクターは大学の医学部での6年間、徹底的にそういった教育を受けている。また、日本には国民皆保険制度が敷かれていて、誰もが同じ医療を受けられ、基本的な診療に差は出ないはず。

そうはいっても、ドクターだって人間。その気にさせ、「この人を治してあげたい」とモチベーションを上げられる患者になるには、どうしたらいいのか?

■自分の症状を「プレゼン」しよう

そのためには、「まずは自分の症状をいかに的確に、正確に伝えられるか」が重要だと、両者は強調。

●いつから症状が始まったか?
●いろいろな症状があるのなら、どの症状が一番辛いのか?
●その症状に対して、ほかの医療機関で診療を受けているか?
●薬を服用しているか? また、その薬の名称は何か?

以上のようなことをメモして、きちんと説明できるようにしておくこと。病気に関係ないことを脈絡なく話し続け、基本的なところが整理できていないと時間のロスを生み、忙しい医師のやる気をそぐことになりかねない。いわば、「自分の病気のプレゼン力」を高めておくと、診療がうまくいく可能性が高い。

また、診療中のやり取りをメモして、忘れないようにすることも必要だ。場合によっては、ICレコーダーやスマートフォンでの録音も可。「ただ、発言を記録するのは、医師に対して軽い圧迫感を生むので、メモのほうがいいでしょう。メモを取ると『もう1度言ってもらえませんか?』と言いやすいし、医師もわかりやすくゆっくりしゃべってくれます」(おのころさん)

■まずは医師の診療方針に従う

「いい患者」になりたいからといって、医師の言うことを何でもかんでも聞くという態度が好ましいというわけではないが、「最初は言うことを聞いてほしい」と眞鍋医師は言う。

「自分で治療方針を決める、という信念は持ってほしいのですが、まずは医師の治療方針に従っていただきたいです。処方された薬を飲まない、途中でやめる、といったことをされると、その後の治療がうまくいかなくなる場合があります。そのうえで、相性が合わない、信頼できないとなれば、医師や病院を替えてもいいと思います」

また、普段の人間関係と同様に、気遣いのできる患者は好かれる。いい意味でドクターや看護師から“ウケがいい”患者でありたいもの。

「私のクライアントさんで、ある難治性の病気にかかっていた方がいました。ずいぶん辛いはずなのに、周囲への気遣いが素晴らしかった。『今日の先生のネクタイはすてきですね』と医師をほめたり、注射や検査のたびに看護師さんに感謝の言葉を忘れない。その女性によって病院のスタッフが癒やされ、彼女は“病院の天使”と言われていました。こういう患者さんがいると、病院全体に活気が出てきます」(おのころさん)

■セカンドオピニオンは受けたほうがいい?

以前に比べると、セカンドオピニオンを受けやすい風潮になり、医師の間でも、積極的に受けるべきだという意見が多数派になっている。そうはいっても、面と向かって「セカンドオピニオンを受けたいのですが」と切り出すのは気がひける。そんなときはどうしたらいい?

「電話でいいので『こういう事情があるので、ほかの病院でも診断を受けたいです』と伝えるだけで十分。医師が忙しくて電話に出られない場合は、看護師さんに伝えるだけでも大丈夫です」

と言うのは眞鍋医師。もちろんセカンドオピニオンを受けた後、最初のドクターのほうがいいという結論になっても問題なし。ただし、セカンドオピニオンの病院で手術を受けてしまった場合、最初の病院に戻るのは困難とのこと。

「手術を担当した医師なら、その後の経過をちゃんと見たいからです。それに、ほかの病院での術後の処置をするのは難しいですね」

がんや難治性の病の宣告を受けた場合は、「セカンドだけでなくサード、フォースオピニオンまで受けるべき」と言うのはおのころさん。

「最初の医師にセカンドオピニオンを紹介された場合は、その医師の診断に間違いがないか、フォローするだけになってしまう場合もあるので注意が必要です。だから、ほかに2人ほど自分で探して、意見を聞くことをおすすめしています。3、4人の医師に診てもらうと、治療方針や手術法など、自分の病気を俯瞰(ふかん)して見ることができます」

■もう治療法がない、と言われたらどうする?

末期がんや難病などにかかり、医師から「もう治療法がない」と言われたら……。本人だけでなく、家族も絶望的な気持ちになるが、本当に打つ手はないのだろうか?

■まだ見ぬ治療法が見つかるかも

「医学は日進月歩で進歩しています。治療法がないというのは、現時点でのことなので、可能性が全くないわけではありません。現在の体調をなんとか維持して余命を延ばす間に、画期的な治療法が出てきたり、再生医療が進歩するかもしれません。臨床試験に参加するというのも、1つの手段です。臨床試験の対象になるためには、細かな条件やデータが必要になるので、選ばれた人しか参加できません。もし私の親族が臨床試験をすすめられたら、受けたほうがいいと伝えると思います。ほかに、経済的な余裕があれば、外国に渡って、治療や手術を受けることも選択肢に入ります」(眞鍋医師)

さらに、「病気と共存する」という意識の転換も、余命を延ばす可能性があるとおのころさんは提言する。

「死ぬまでにやりたいことをリストアップします。どこに行きたいとか、誰に会っておきたいかなど。そうやって自分の体力との兼ね合いをつけながら前向きな気持ちでいると、知らない間に存命する例が少なくありません。周囲の家族も『治すことより大事なこと』に目を向ける姿勢で接することができたら、何か、大きな発見があるかもしれません」

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眞鍋 歩(まなべ・あゆむ)
メドピア 医師
日本大学医学部卒業。日本大学眼科研究医員として臨床と研究に従事。ITで医療の課題を解決するメドピア所属。チャットなどで健康相談ができるオンラインサービス「ファーストコール」の立ち上げに参加。
 

おのころ心平(おのころ・しんぺい)
パーソナル医療コーディネーター
19年間で2万2000件以上のカウンセリングを行い、医療関係者などの指導にも取り組む。08年、心と体の関係を学ぶ場として、自然治癒力学校を開設。著書に『医者のかかり方完全マニュアル』(アスコム)など。
 

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(東野 りか 写真=Getty Images)

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