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中学生でもわかる損しない株投資ルール6

プレジデントオンライン / 2018年10月18日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SasinParaksa)

株式投資を始めるには、どんなタイミングがいいのか。10月11日、日経平均株価は一時1000円を超える急落となり、15日にはさらに400円以上も下げた。だが、こういう時に右往左往してはいけない。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「個人投資家は機関投資家と違って長期保有ができる。だから安いときに狙って買えば、しっかり利益は出せる」という。小宮氏が掲げる「6つの株投資ルール」とは――。

■決して「丸腰」で株式投資してはいけない

10月11日、日経平均株価は一時1000円を超える急落を記録しました。現在はやや落ち着きを取り戻しつつありますが、株価には必ずこうした「波」が来ます。2008年には「100年に一度」と言われたリーマンショックが来ました。株価は大きく下がりました。そしてこの先も高い確率で大きな景気変動やそれにともなう株価の動きがあると考えられます。

前回、前々回は「会計」と「経済」の初歩的な仕組みを説明しました(※)。経済は「変数」が多く、先が読みづらいものですが、この基本をしっかり頭に入れると、株式投資をする場合でもある程度の自信を持つことができるのではないでしょうか。「会計」は投資する企業の分析に必須ですし、「経済」の大きな流れをつかむことは投資のタイミングを見極めるうえでとても役に立ちます。少なくともマネーリテラシーの低い、いわば「丸腰」の状態よりはるかにいいはずです。

※会計編「法学部卒の私が「会計」を教えられるワケ」、経済編「“東京五輪で好景気”と話す人は経済オンチ」

私も10年前から引退後の生活設計のために金融資産の一部を株式や投資信託に投資しています。個人の投資家ですから、投資額はそれほど大きくありませんが、幸いなことに元本を割ることもなく、結果として、そこそこのリターンを得ることができています。

■経営コンサルタントの私が株式投資を始めた理由

株式投資を始めた理由は「老後資金の足し」のほかにもあります。

仕事で稼いだお金を何倍にも増やしてやろう、と考えたわけではありません。日本経済の「現在地」から将来を見据えた時、金融資産を現金つまり日本円の預金だけで保有するのはかなり危ういことではないかと思えたのです。せっかく頑張って稼いだお金を、政治や金融政策のリスクにさらしたくはなかったからです。

ご存じのように、日本の政府債務(国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高)は1000兆円を超える規模にまで拡大しています。対名目GDP比では先進国中、断トツの1位。ギリシャが破綻した時よりもずっと悪い状態です。ただ、その債務でただちに国の財政が傾くわけではなく、現在は世界経済が比較的安定し、また日銀の「異次元緩和」で国内経済も保たれています。

しかしながら、1000兆円超の“借金”は健全とはいえませんし、「異次元緩和」はしょせんカンフル剤で、その後の副作用が強く懸念されます。もし、財政赤字がコントロールできなくなれば、ハイパーインフレの可能性も否定できません。

他方、日本では高齢化や人口減少も超スピードで進んでおり、労働人口の減少を放置すれば日本経済は本当にまずい状態に追い込まれるでしょう。そのような状況下で私は、資産の日本円への依存を解消すべく、自分の金融資産の3分の1を株式運用することにしたのです。

私の投資ルールは6つです。

■いつ、どんな企業に投資するのか「私の投資ルール6」

【ルール1:海外で活躍する日本企業に投資する】

主に日本株に投資しています。対象は海外で活躍している日本企業です。日本経済の先行きが明るいとは言えない中、海外に活路を見出す企業のほうが成長余地は大きいと考えます。私がそうした企業(日本株)に投資するということは海外の経済に投資しているのと同じで、これによりリスクを回避しているのです。

【ルール2:将来的な伸びしろのある企業に投資する】

これは株投資の基本です。現在はもちろん将来も経営が安定し、成長が期待できる企業の株を買います。日本は人口減少していますが、世界的には人口が増加しています。となると資源の需要は長期的には減らないでしょう。また自動車の需要も、国内では若者の所有欲が低く、またシェアエコノミーが進むと言われますが、一方、新興国を中心に世界的には増加するでしょう。世界規模での需要の高まりを意識した投資先を私は常に探しています。

【ルール3:経営が安定している企業に投資する】

こちらも基本中の基本です。経営が安定している企業でなければ投資などできません。経営コンサルタントの視点で見ると、同業他社よりも、長期にわたって高いパフォーマンスを発揮している会社は、経営が堅実で上手です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Pom669)

「長期にわたって高いパフォーマンス」というのがキーワードなので、新興企業の株はめったに買いません。経営の安定性や経営者の能力が未知数だからです。これまで多くの会社や経営者を見てきましたが、一時は勢いが良くても長く続かない。そんな会社は少なくありません。そういうケースは、やはり経営者にどこか問題があるものです。

よって、投資先として一番いいのは、誰がトップに立って経営しても高いパフォーマンスを出すことができる技術力や社風、有能な人材がいる会社です。そして、社員が額に汗して働く会社です。

ちなみに投資信託も「新しい」ものは買いません。投信の商品として設定されてから3年未満のものは、過去のパフォーマンスが分からないから選びません。私の場合、投信を買うのは、自分自身では投資できない商品を買う場合です。たとえば、米国のREITや新興国債券への投資などは、個別の銘柄の情報分析をするのも大変ですから、専門のファンドマネージャーが厳選した投信を買うことにしています。

■プロが実践している株を「買うタイミング」

【ルール4:安いときに株を買う】

これも当たり前ですが、株は株価が安いときに買うのがセオリーです。それを実践するためには、ちゃんと「経済」をウオッチしていないといけません。その習慣を積み重ねていると買い時がわかるようになります。

例えば、2008年のリーマンショックのような「大きな景気後退が来た時」や、景気が良い状況の中で「その勢いが少し衰えたり陰ったりする時」などは、株価は全体的に下落します。そういう時に私は普段から注目している会社の株を買います。

また、日経平均が大きく下げたり、長期的に停滞したりしているような場合も株を買うタイミングだと思います。出来高もチェックすると安くなるタイミングがわかるようになります。最近なら、1日間の売買代金が2兆円を切るような日が続く時は、市場に活気がない時期で、買うのに良いタイミングではないでしょうか。

個別の銘柄も、気になっている企業の株価を日々チェックして安いときに買います。私は、いわゆる優良銘柄を買うことが多く、それらは1株あたりの価格がやや高めです。それでも市場全体が大きく下げる、あるいは停滞している時には、そのような優良銘柄も全体の動きに準じて下がることが多いのです。そのタイミングを狙って買います。

優良企業の株価が下げた時に買う投資方法は「バリュー投資」と言われます。昨年、1兆円以上を運用する日本有数の投資会社であるスパークス・グループの阿部修平さんと共著で『株式投資の王道』(日経BP社)を出版しましたが、阿部さんの投資スタンスも基本的には私と同様でした。

なお、安いときに買う大前提として、買うお金を持っていることも大切です。私は金融資産の3分の1を円預金で持っています。それは日々の生活に「円」が必要だからということもありますが、安いときにすぐに買える資金をもっていることも大切だからです。

■「決算短信」には投資判断の数字が凝縮されている

【ルール5:「決算短信」の数字がよい企業に投資する】

株式投資は、さまざまな「経済指標」を読む習慣なしには成り立ちません。日経平均はもちろん、官庁発表の統計・報告書も株を選ぶ重要な判断材料となります。企業の財務内容を知ることができる「決算短信」もそのひとつです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nikada)

「決算短信」は、企業が発表した決算の内容をまとめた書類。上場している企業なら自社のホームページに掲載しています。通常、投資をする際の判断資料となるのは、有価証券報告書でしょうが、これは決算の3カ月以上後にしか発表されません。

そこで企業の決算結果などをなるべく早く投資家などへ知らせるため、証券取引所が各上場企業に対して決算短信の作成を要請しているのです(「45日ルール」というのがあり、通常は四半期や年度の決算から45日以内に発表になります)。

この決算短信には、「自己資本比率」「利益」「ROA」「ROE」「配当」といった重要な数字がまとめて載っているのでチェックするにはとても便利です

例えば、「自己資本比率」が30%程度あれば、中長期的な安定性は問題ないと言えるでしょう。また、業種により変動幅が違いますが、景気が通常の状態の時に「利益」がしっかりと確保できていることも株式に投資する上ではチェックしなければなりません。

さらに、「ROA」(資産利益率)、「ROE」(自己資本利益率)が同業他社より優れているかどうかもチェックします。私の場合は、株価に対して何%の配当があるかどうかを示す「配当利回り」も重視します。預金金利が限りなくゼロに近い現在でも、3%前後の配当利回りの会社は多数あります。その中から優良株を買っておけば、多少の株価の変動はあるものの、ある程度の配当を確保することができるのです。

重要な数字はほかにもあります。「PER」(株価収益率:株価が一株当たりの(予想)純利益の何倍か)、「PBR」(株価純資産倍率:時価総額が純資産の何倍か)です。今は、市場全体のPERが14倍程度とそれほど高くはないのですが、20倍を超える銘柄は下落リスクが高いので、慎重になるべきでしょう。PBRは1倍前後までのものなら安心感が強いと言えます。

■機関投資家に対する唯一のアドバンテージは「長期保有」

【ルール6:長期保有する】

私の投資スタンスは「長期保有」です。個人投資家は、投資を専業でしているわけではありません。それにだけ時間をかけられません。私の場合はコンサルタントとしての仕事があるわけです。日々の相場の動きに一喜一憂するのではなく、実力がある株を比較的安いときに買って、大きな景気変動などで値上がりするのを待つというのが鉄則でしょう。そのためには短期保有ではなく、長期保有が前提となります。

成果をシビアに評価されるプロのトレーダーたちは、通常、上がる株には飛びつき、逆に下がるときには一斉に売りに出ます。自分だけが負けるのは最悪だからです。そのためそれら機関投資家やそれに乗るデイトレーダーたちの動きにより、市場が実力以上に上がったり、実力よりも大きく下がったりするのです。

そこを個人投資家は狙って買い、長期保有するのです。

個人投資家は機関投資家などに太刀打ちできません。機関投資家はケタ違いに多い資金を動かし、情報量も多い。1000分の1秒単位で高速売買できるようなシステムを持ち、優秀な人材も雇用しています。個人投資家は彼らに勝つことは難しいですが、唯一のアドバンテージは「時間」です。長期投資なら、彼らの動きに乗じて得することは可能だと思います。

とはいえ、株投資にはリスクはつきものです。今回のような株価急落という局面がこれからもあるでしょう。下がったときは買い時です。その判断をするためには、経済や会計の勉強が必要なことはいうまでもありません。

(経営コンサルタント 小宮 一慶 写真=iStock.com)

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