1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

時短でおいしい「塩だけスープ」の作り方

プレジデントオンライン / 2018年10月19日 9時15分

「豆もやしとサラダチキンのだしかけスープ」(撮影=筆者)

仕事後にきちんと自炊するには、どうすればいいか。365日スープを作り続けている有賀薫氏は「最低限の食材と塩だけで、スープを作ってはどうでしょうか」と提案する。夜遅く食べても罪悪感が少ない究極のシンプルスープのコツとは――。

■時間(手間)、経済、健康、このすべてをコントロールできる

働く人はついついコンビニ食や外食に頼りがちですが、それだけでは味気ないし、体や財布にも負担が大きいもの。かといって、自炊をするにも、仕事を終えて帰る時間帯に買える食材は限られています。まとめ買いは、とくに少人数の家庭では買い過ぎて余らせるなど、無駄も多くなってしまいます。そんな悩みに答えるシンプルスープのレシピにたくさんの反響をいただいています。

食材は最小限、だしも使わずに、調味料は塩だけ。食材は、スーパーでも大量に安く売っている旬の野菜1種類か2種類。ちょっとボリュームがほしいときは肉や魚介を加えます。カロリーや塩分も低く、夜遅く食べても罪悪感も生まれません。なにより、食材や調味料を絞り込むことで、時間(手間)、家計、健康、このすべてをコントロールできることが魅力です。

■0.6%の塩分でも満足できる断捨離スープ

調理の基本は鍋一つ。使う食材は旬の野菜、味を補う肉や魚介、それにオイル、水、そして最低限の調味料です。

そもそも、うま味は、かつおや昆布、鶏ガラなどでとる特別な「だし」だけに含まれているわけではありません。肉や魚、昆布だけでなく、白菜でもキャベツでもニンジンでもタマネギでも、どんな食材にも多かれ少なかれ「だし=うま味」は含まれています。

なかでも、その野菜本来の育つ季節である「旬」の野菜の場合、そのおいしさは他の季節とは比べ物になりません。その旬の野菜をメインにたっぷりと使い、少しの細切れ肉やひき肉を合わせるだけで、ぐっとコクが増して十分に満足感が高くなります。

このとき大事なことは、「素材本来の味を最大限に生かしきること」。そのためにはあれこれと調味料を追加するのではなく、むしろ不要な調味料はなるべく引いていくほうが効果的です。いわば料理の断捨離です。野菜の味そのものの味が感じられるように仕上げると、不思議なことに調味料をあれこれ入れるよりもうま味が感じられるのです。

通常、人がおいしいと思う塩分濃度は、人の体の生理的食塩濃度である0.9%前後と言われていますが、旬の野菜を中心に具材を煮込んだスープには0.6%ぐらいの塩分でも十分においしいと感じられるものもあります。

「白菜の塩しょうがスープ」。塩のみの味つけだが、少しのひき肉としょうがの香りで満足感は高い(撮影=筆者)

■野菜のうま味を生かしきることがコツ

シンプルスープでは、素材のうま味の引き出し方が重要です。

多くの人はスープを作るとき、沸かした湯にコンソメキューブを加えて溶かし、切った野菜を入れて煮ているようですが、これでは野菜特有のにおいや雑味が、うま味を感じるときの邪魔になります。おススメは、炒めてから煮る、あるいは蒸し煮してから煮る、という方法で、どちらも鍋一つで済みます(鍋はなるべく厚手の、ふたのついたものが最適です)。

野菜からの水分で汗をかかせるように火を入れていき、甘いにおいに変わったら水を加える。たったこれだけのことで、水にいきなり野菜を入れて煮るのとは、まったく違う野菜のうま味を感じられるようになります。食材を煮込む前に少し焼きつけて、さらに美味しさを生み出すことも可能です。カレーのあめ色タマネギはその例ですね。

また、野菜を大ぶりに切ったり、逆に細い千切りにして食べごたえを出したり、スープに片栗粉や小麦粉でとろみをつけて舌の逗留時間を長くすることで、薄味でもおいしく食べることができます。

いずれも、難しいテクニックではなく、料理の初心者でもごく普通にできることばかりです。

焦げに含まれたうま味を利用する「焦がしキャベツのスープ」。これも味付けは塩だけ(撮影=筆者)

■オーケストラもいいけれどバイオリンやピアノのソロもいい

梅干しの塩分だけを利用し、大根の甘さが際立つ「ホット梅おろし汁」(撮影=筆者)

シンプルな味付けのスープにも意外に深い味わいがあることに気づくと、ラーメンスープの濃いうま味と、野菜のやさしいうま味は別のものとしながら、どちらのおいしさも楽しめるようになります。

チキンブイヨンで何種類もの野菜をコトコト煮込んだミネストローネがオーケストラであるとすれば、トマト、タマネギ、オリーブオイルだけで作るシンプルなトマトスープはソロ演奏。オーケストラもよいものですが、バイオリンやピアノの音色を存分に楽しむにはソロが適している、スープもこれと同じだといってよいでしょう。

スープは、胃腸にも負担をかけず、仕事で緊張した体をリラックスさせ、体や心をときほぐしてくれます。これは、味付けや油分の濃い外食や中食にはない、大きな特長です。夜遅くに食べても罪悪感もゼロ、作るほどに楽になっていくことが感じられるはず。体や心を十分に休めるという意味で、とても有効で、取り入れる価値のあるものです。

調味料が主役の味付けに慣れた舌を、野菜のうま味主体の薄い味を楽しめる舌へと劇的に変えていくためのスープ・レッスン、ぜひはじめてみませんか。

有賀薫さんの新刊『スープ・レッスン』。本文に出てきた焦がしキャベツのスープ、ホット梅おろし汁も収録されています。
【レシピ】白菜の塩しょうがスープ

材料(2人分)
白菜 1/4株(約500g)
しょうが 大1片(50~60g)
鶏ももひき肉 100g
塩 小さじ1(5g)
サラダオイル 大さじ2
水 600~700mL

1.白菜は長さ5cm、幅2cmぐらいに切り、おおまかに白い茎と葉を分ける。しょうがは3/4の量をすりおろす。鶏ひき肉、すりおろししょうが、塩小さじ1、水200mLをよく混ぜ合わせる。しょうがの残りは千切りにしてとっておく。

2.白菜の茎を鍋に入れ、続いて葉をのせ、200mLの水とサラダオイル大さじ2をまわしかけてフタをし、中火にかける。煮はじめて5分ほどたったらフタを開け、1のひき肉を均一になるようにかける。

3.さらにひたひたになるまで水200~300mLを加えて、10分ほど白菜がやわらかくなるまで弱火で煮込む。仕上げにしょうがの千切りを加える。

----------

有賀 薫(ありが・かおる)
スープ作家
1964年生まれ、東京出身。ライター業のかたわら、家族の朝食にスープを作り始め、スープを作ってきた日数は2018年5月時点で約2300日以上になる。スープの実験イベント“スープ・ラボ”はじめ、スープをテーマにしたイベントを多数開催。著書に『365日のめざましスープ』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『スープレッスン』がある。

----------

(スープ作家 有賀 薫)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください