年収500万未満の3割はSNSフォロワー0人
プレジデントオンライン / 2018年11月24日 11時15分
※本稿は、「プレジデント」(2017年7月17日号)の掲載記事を再編集したものです。
■低年収層はLINE、高年収層はFacebookとTwitter
SNSで目立つのは、Facebookの利用頻度の違いだ(図1)。高年収層の5割以上が利用頻度の高いSNSとしてFacebookを挙げているのに対し、40代以上の低年収層では4割に届かない。20~30代ではさらに下がり、17%だ。
「Facebookで友達になると出てくる共通の友達リストを見れば、お互いの仕事領域や人脈がわかります。私の感覚だと大体40~50人くらいは共通の友達が出てくるのですが、それを大きく下回る人は、かなりビジネス領域が違う人か、なんらかの理由があってSNSでつながりをつくることを拒否している人なんだろうと判断します。また、本当に信用した人しか友達登録しないという人もいるので、そういう人が共通の友達に入っていると信用できるなと思ったりします」
高年収層は、人を見極めるツールとしてFacebookを活用しているのだ。
Facebookの友達数を見ると、若手高年収層は「1000人以上」の多さが際立つ。一方、若手低年収層は「50人未満」が最も多くなった(図2)。
![](https://president.jp/mwimgs/5/c/-/img_5cd5493466f01c28cbe4b2138ae50f9b966513.jpg)
「若手低年収層は、リアルで知っている人としか友達にならないという傾向が感じられますが、それではネットワークが広がらない。たとえば高年収層同士の飲み会では、お互いに相手が初対面となる人を連れていき、ネットワークを広げます。新しいつながりをつくれば、知的好奇心が刺激され、ビジネスのヒントも見つけやすくなる。そうした貪欲さが友達数に表れているように思います」
さらにベンチャー企業の創業・成長を支援しているインクルージョン・ジャパンの吉沢康弘氏が注目するのは、フォロワーの数だ(図3)。“友達”は、申請を承認することで相互にフォローし合う関係。一方、“フォロワー”はフォローすることに対する相手の承認が不要だ。ここで、若手低年収層の3割以上に「フォロワーがいない」ことが判明した。
「低年収層は、自分の実名での発信を知らない人に見られることに抵抗感が強いのかもしれません。逆に高年収層は、誰も知らない情報を発信することが自分の価値を高めると知っている。それには自分で考えたコンテンツをSNSで発表するのが手っ取り早い。その力の差が如実に表れている気がします」
友達やフォロワーの数にも、重要な意味がある。
「1000人を超えると、情報発信すれば、簡単に1万人ぐらいまでには伝えられるようになります。私の場合、Facebookでフォロワーが1300人ぐらいいますが、記事に対する意見や感想を投稿すると、100人くらいの“いいね!”がつきます。さらに、そのフレンズの人たちに表示されて……と、いう仕組みです。フォロワーという、情報発信をすぐ見てくれる人をどれだけ囲っておけるかがとても大事なのですが、フォロワー公開しないと、その資産がたまりません」
このように、高年収層は、SNSを人脈づくりや情報の収集発信の手段として、ビジネスにフル活用しているのだ(図4)。発信の内容についても差がある。
![](https://president.jp/mwimgs/8/4/-/img_8496d7d0304d172aa676db264e102ff5893305.jpg)
「ネット上で自分の考えなどを定期的に発信している」と答えた人は、若手低年収層では15.7%に留まるが、若手高年収層は37.5%に上る(図5)。また「ネット上で主催イベント・セミナーの告知・集客をしたことがある」という人も若手高年収層のほうが多かった(図6)。
![](https://president.jp/mwimgs/0/f/-/img_0fa09dd94388cee97a4974bc3c581dc41020997.jpg)
「発信のコツは、ニュース記事などに対して、自分なりの見解や解釈、独自情報など8~12行くらいの簡潔なコメントを付けて投稿すること。なんにでも自分の意見、考えをもつという癖をつけると、仕事上でも様々な場面で活きてきます」
一方、インターネット上で悪口や嫌がらせをされた経験がある、という回答は、若手高年収層で際立って高く、16.7%に上る(図7)。積極的に発信をしていった結果、反発や炎上を招くことも少なくはないようだ。
吉沢氏の周辺の高年収層の間で注目を集めているSNSは、Instagramだ。
「たとえば、できるビジネスマンは使える飲食店を押さえているものですが、高年収層は様々なバイアスがかかっている既存の口コミサイトを信用しなくなってきています。それよりも、信頼のおける知り合いの口コミのほうが確実です。Instagramはそうした情報の収集の場としても使えます」
調査方法●編集部とマクロミルで実施。個人年収500万円未満250人、個人年収1500万円以上250人から回答を得た。調査日は2017年5月24~26日。
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![](https://president.jp/mwimgs/8/b/-/img_8b5a387b593f45113fcec5178560976c11458.jpg)
インクルージョン・ジャパン 取締役
東京大学大学院工学系研究科修了。P&G、Human Value社を経て、ライフネット生命保険の立ち上げに参画。同社を経て、インクルージョン・ジャパンを創業。著書に『これからのエリートだけが知っている仕事の強みの磨き方』などがある。
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(ライター 衣谷 康 図版作成=大橋昭一)
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