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デキる人のデスクが"かたづいている"理由

プレジデントオンライン / 2018年11月6日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ExperienceInteriors)

人を動かし、チームの生産性を上げるには何が必要なのか。「かたづけ士」の小松易氏は「かたづけを行うだけで、部下から信頼されチームの生産性も格段に上がる」という。2万人以上にかたづけ研修・講演を行ってきた小松氏が、その具体的な方法を解説する――。

※本稿は、小松易『「かたづけ思考」こそ最強の問題解決』(PHP研究所)を再編集したものです。

■人を動かす力が、かたづけ思考で手に入る

かたづけ思考を習得することは、上に立って人を動かす力、すなわちリーダーシップを身につけることにつながります。どういうことでしょうか。

まず、リーダーシップがある人とは、言葉に力がある人。ただし、口だけで行動が伴わなければ部下はついてきません。そこでまず、リーダーになる人は自分自身をリードする力、物事を先送りせずに進んで行う実行力を養う必要があります。

大前研一さんの運営するビジネス・ブレークスルー大学(オンライン大学)では、リーダーたるもの、メンバーをリードする前に、自分自身をリードできねばならないと教えています。かたづけは、この「リード・マイセルフ」の土台をつくってくれます。

リード・マイセルフで片づけに取り組んだ結果、「身の回りのかたづけができている」という状態そのものも、リーダーの言葉の力を裏付けるのに十分効果的なのです。

仕事をしていればおのずとモノは増え、職場は散乱していきます。

しかし、かたづけ思考が身につき、モノやコトのかたづけが習慣化している人は、常にデスクや身の回りの資料、パソコン上のデータまで、きちんと整理・整頓ができるようになります。

■デキる人のデスクはかたづいている

例えば「パソコンと電話だけが載っているデスク」は、ほとんどの人の目に「きれいにかたづいたデスク」として映ります。デスクはかたづけをしている本人だけでなく、周りの人にもわかりやすく、気づかれやすい場所です。

このように、見えるところを常に管理し、不要なモノを処分して最適な状況を維持する=変化をつくり続けるということは、周囲から「あの人はしっかりやっている」という評価を得るのです。

ひと昔前は、デスク周りがキレイにかたづいていると、「仕事をしていないのでは」と思われる傾向がありました。しかし、時代は変わってきています。今は、散らかっているほうがむしろ古いのです。仕事もモノもいっぱいいっぱいで、デスクが書類で山積み状態のリーダーと、身の回りをかたづけて常に余力を残している姿を周囲に見せられるリーダー。いざというとき、部下が安心して頼れるのがどちらであるかは、明白です。

モノのかたづけに対する取り組みは、その人の言葉に力を与えてくれると同時に、コストの削減という利益をもたらします。コスト意識は、かたづけ思考の指針を実践していくうえで、リード・マイセルフとともにリーダーが念頭に置いておきたい重要事項です。

■会社がジャングル化する「負のスパイラル」

かたづけができていない会社では、年末の大掃除などの際、備品のストックがごっそり見つかることがあります。

私がコンサルティングに伺ったある会社では、倉庫から未使用のコピー用紙が大量に出てきました。その倉庫はモノがあふれ、人が出入りするのもひと苦労。そんな中、社員の誰かが倉庫の奥のコピー用紙のストックに気づかず発注し、新しく届いたコピー用紙を、そのまま倉庫の入り口付近に置いたようなのです。するとほかの社員も、そこからコピー用紙を取り出すように。やがて倉庫の奥のコピー用紙の存在は忘れ去られてしまいました。

「元の場所に戻すのが面倒だから」と、倉庫の入り口付近にモノをためる会社は少なくありません。そして大半は整理も整頓もされず、置き切れなくなると適当に奥へと押し込みます。すると奥に隠れて見えなくなり、忘れられ、見当たらないので新しく買って……。

このようにして倉庫は、簡単にジャングル化してしまいます。これは「しまう」→「押し込む」→「隠れる」→「忘れる」という、負のスパイラルが膨らんだ結果です。

前述のケースでは、購入したコピー用紙が使われずにいたという「経費」の無駄と、倉庫がほとんど機能しない=スペースが有効活用されないという「スペース」の無駄、適当にしまわれているので、探すのに時間がかかることから「時間」の無駄、さらに、その分の「人件費」の無駄という、4つのロスが生じています。こうした無駄なコストはすべて、かたづけることで防げるものばかりです。

■かたづけのメリットを知れば、自分から動くようになる

リーダーがコスト意識を持ち、全員がかたづけを意識すれば、ロスがなくなり、会社の利益につながります。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/JohnnyGreig)

チームにかたづけを浸透させるには、「当事者意識を奮い立たせること」が肝心です。メンバー全員がかたづけを自分事として捉えることで、初めてチームのかたづけが進んでいきます。

かたづけを自分事にするには、かたづけることで自分にどんなメリットがあるのかという、自己利益に気づくことがポイントです。私がコンサルティングを行った企業からその後の様子を聞くと、今も熱心にかたづけを続けている人というのは、自分なりにメリットを見いだしていることが多いのです。メリットを知れば、人は自分から動くようになります。

例えば、かたづけられたデスクは視覚情報が整理されているため、どこに何があるのかが瞬時にわかり、必要なものをすぐに取り出せます。これはモノを探す時間の削減につながり、その分仕事に集中でき、仕事の効率が上がるというメリットが得られます。

■モノを探す時間で年間1000万円以上の損失

また、モノを探している時間を時給に換算するのもおすすめ。社員25人のある会社で、「1日にモノを探す時間はどのくらいか」とアンケートをとったところ、1人あたり1日平均26分かかっていました。時給4000円で換算した場合、全体で年間1140万円を無駄にしていることに(※時給は給与以外に保険なども含んだ金額。就労日数は264日/年として計算)。金額で見ると、「無駄にしている感」が強く感じられますよね。これが、かたづけに対して当事者意識を持つきっかけになったという人が少なくなかったのです。

この会社ではそのあとも「かたづけ」を続け、1年後、モノを探す時間が12分削減されて1日平均14分になりました。時給換算すると、年間530万円が浮いたことになります。

ちなみに、1回の探しモノにつき、よい探す時間の基準は30秒以内、お客さまをお待たせしている場合には、15秒以内を目指します。

■かたづけは、新しい時間を生み出す投資

仕事が効率よくかたづけば残業が減り、浮いた時間をプライベートにあてることができます。「早く家に帰って家族と過ごしたい」という人もいれば、「資格をとるために勉強したい」「習い事を始めたい」と、スキルアップや趣味のために使う人もいるでしょう。

小松易『「かたづけ思考」こそ最強の問題解決』(PHP研究所)

また、「もっと働いて、今の職場でどんどん上を目指したい」という人もいます。かたづけコンサルティングを依頼してきたある会社の総務部長は、社長から「将来上場することを視野に入れ、そのための案を考えてほしい」というミッションを与えられていました。

しかし日々、重要かつ緊急な社内の仕事の対応に追われ、1年たった今も、ほとんど何の案も考えられていないといいます。このケースでも、かたづけによって仕事の効率化に成功し、自由に使える時間が増えれば、ミッション遂行のための時間にあてられます。

これらは「かたづけは、新しい時間を生み出す投資」など、かたづけフレーズで伝えられます。そのうえで、リーダーであるあなたが率先してかたづけ、部下の行動を促しましょう。

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小松易(こまつ・やすし)
かたづけ士。フジタを退社後の2005年9月、“かたづけ”を通して人生を変えるコンサルティング「スッキリ・ラボ」を開業。現在は経営者・企業向けに“かたづけ”のコンサルティング、セミナー活動を行う。シリーズ累計47万部『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』(KADOKAWA/中経出版)、『「すぐやる人」になる1分片づけ術』(日本経済新聞出版社)ほか著書多数。

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(かたづけ士 小松 易 写真=iStock.com)

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