安倍首相が"片山大臣"を守る気がないワケ

プレジデントオンライン / 2018年11月8日 15時15分

2018年11月05日、参議院予算委員会で答弁する片山さつき地方創生担当相。(写真=時事通信フォト)

臨時国会で2人の大臣が集中砲火を浴びている。1人は片山さつき地方創生担当相。もう1人は桜田義孝五輪相。今国会の「主役」の2人には共通点がある。安倍晋三首相を党側から支える重鎮・二階俊博幹事長が率いる二階派に所属しているということだ。この2人以外にも二階派には問題議員が少なくない。なぜなのか――。

■「片山祭」「桜田祭」の様相になってきている

まさに片山祭、桜田祭の様相になってきている。新聞、テレビは、2人が国会で野党から追及を受けたもようを詳細に再現している。

例えば11月7日の新聞朝刊を例にとると、片山氏については、またも政治資金収支報告の漏れがあり訂正したことを各紙が報じた。片山氏は「秘書が交代し、引き継ぎができていなかった」などと苦しい言い訳をしているが、秘書が頻繁に交代する理由については、週刊新潮などが片山氏の「パワハラ」まがいの対応ぶりを報じている。

7日の参院予算委委員会では、片山氏の巨大な書籍広告看板が、さいたま市に掲示されている問題が取り上げられた。こちらは公職選挙法違反に疑いがある、と指摘されている。

■大臣を務める力量のなさを指摘される議員は珍しい

一方、桜田氏は「桜田五輪相『知らない』連発」(朝日新聞)、「北朝鮮の五輪参加は『所管外』 桜田担当相、すぐ修正」(毎日新聞)、「桜田五輪相 不安残し… 事務方たびたびフォロー」(東京新聞)といったぐあいだ。

要は国会や記者会見での答弁がひどくて、言葉に詰まったり、訂正を繰り返したりしているという内容。新聞によって扱っているテーマが違うのは、問題が多岐にわたっていることの裏返しでもある。「政治とカネ」で追及される閣僚はしばしばいるが、大臣を務める力量のなさを指摘される議員は珍しい。

今の内閣は片山、桜田の両氏を含め、初入閣者が12人いる。12人の中には他にも過去の問題発言や政治とカネの問題で野党の追及を受ける大臣がいるが、2人の注目度は、悪い意味で群を抜いている。

安倍氏は今回の人事で、徹底した論功行賞人事を行った。資質に欠き、少々スキャンダルを抱えていても、9月の総裁選で自分を応援してくれた派閥領袖の推薦に基づいて閣内に入れた。そのあたりのことは10月24日にアップした「問題閣僚が続出も安倍首相が動じないワケ」で詳報しているので参照いただきたいが、二階派の推薦を受けて閣僚名簿に名を連ねたのが片山、桜田の両氏だ。

■男女2人の衆院議員の「路チュー」写真も出た

二階派の議員にはトラブルやスキャンダルが多い。

2017年、今村雅弘氏は復興相の時、「東日本大震災について「(発生したのが)まだ東北で、良かった。もっと首都圏に近いと莫大な、甚大な被害があった」と発言。辞任に追い込まれた。江崎鉄磨氏は同年、沖縄北方相の時に、北方領土問題について「(自分は)素人」と発言したり、国会の答弁については「しっかりお役所の原稿を読ませていただく」と語ったりして批判を受けた。大臣としての能力が問われたという点では桜田氏のパターンに似ている。江崎氏は翌年、体調を崩し辞任している。

大臣以外に範囲を広げると、問題議員はゴロゴロいる。永田町の「ゲス不倫」と言われた宮崎謙介、金子恵美夫妻も議員在職中、二階派にわらじを脱いでいた。

二階派所属の中川郁子氏、門博文氏という男女2人の衆院議員の「路チュー」写真が、週刊新潮に載ったこともある。「二階派は風紀が乱れている」という冗談とも本気ともつかないささやきが漏れる。

■清濁併せのむ政治家に問題議員が群がる

二階派と二階氏の歴史に触れておく必要があるだろう。二階派は、正式名称は志帥会という。1999年に発足し、領袖は村上正邦氏、亀井静香氏、伊吹文明氏らを経て2012年、二階氏が引き継いだ。

二階氏は浮き沈みの激しい政治家だ。若いころは、全盛期の自民党竹下派に所属し、竹下登元首相からも小沢一郎氏からも重用された。その後、小沢氏らとともに自民党を離党。野党生活を経て自民党に戻った。政治家としての力量、経験は抜群ではあるが、自民党を離れていたブランクがあり「外様」のレッテルも張られている。

その遅れを取り戻すためにも、派閥領袖になってからの二階氏は「数」を増やすことにこだわった。だから少々訳ありの議員も受け入れる。かねて言動に問題があると指摘されてきた片山、桜田の両氏らが二階派所属なのは決して偶然ではなく、清濁併せのむ二階氏の政治手法が根底にあるのだ。

議員たちが二階氏になびく理由は分かりやすい。二階氏は最近の自民党では珍しい親分気質を持つ。そして少々、無理筋なことでも決断したら押し通す。そして仲間の面倒を徹底的にみる。

「無理筋な決断を押し通した」といえる最たるものが、2期6年までしかできない自民党総裁選の規程を変えて、安倍氏の3選への道を開いたこと。そして「仲間を面倒みる」実績が、片山氏や桜田氏を閣内に押し込んだことだといえる。

■しかし安倍首相には2人を守る気はない

総裁3選を実現させてくれた最大の功労者である二階氏に報いるために、安倍氏は2人を入閣させた。そういう意味では、片山、桜田の両氏が今、批判にさらされていることは、安倍氏と二階氏が連帯責任を負うべき問題ともいえる。

ただし「問題閣僚が続出も安倍首相が動じないワケ」でも触れた通り、安倍氏は片山氏ら問題大臣を守り切るつもりはさらさらない。本来なら大臣になれそうにない議員を抜てきしたことで、義理は十分果たしたと思っているのだ。

だから片山、桜田の両氏に限らず問題閣僚が説明責任を果たせなければ更迭することに抵抗感はない。もし、更迭されるような事態になれば、二階氏は表面上では怒ってみせるだろうが、腹の中では納得していることだろう。

閣僚に問題が発生すると、マスコミはよく「首相の任命責任」を指摘する。しかし、その指摘は、安倍政権下ではまったくリアリティーを持たないことをご理解いただけるかと思う。

(プレジデントオンライン編集部 写真=時事通信フォト)

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