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"悪魔的に美味い"英国で親子丼絶賛のワケ

プレジデントオンライン / 2019年1月28日 9時15分

ワガママは1992年にロンドンに1号店がオープン。イギリスの代表的な日本食チェーン店だ。(AFLO=写真)

■イギリス人を魅了する日本食の強さとは?

久しぶりにロンドンに行ったら、日本食が大変なことになっていた。

街のあちらこちらに日本食を提供するレストランや店があって、しかもその「引き」が凄いことになっていたのである。

たとえば、私がケンブリッジ大学に留学していた20年くらい前に何度か訪れた日本料理店「ワガママ」の店舗数が増えていた。

日本人にとってはちょっとドキリとする店名だが、イギリス人はクールに感じていたようだ。

街のあちらこちらに「ワガママ」がある。ある店舗に入ると、ほとんどの客はイギリス人だった。ラーメンや餃子、焼きそばといったメニューを、みんな美味しそうに食べている。箸の使い方も器用だ。

これも、私が留学していた頃に時々行っていた回転寿司屋さん、「ヨー! スシ」もあちらこちらに増えていた。

店内には謎の日本語が貼られ、マグロやエビ、サーモンといったおなじみのネタに加えて、見たことがないような不思議なネタが目の前を回っていく。

寿司だけでなくて、いろいろな料理が注文できた。「カツカレー」や「とんこつラーメン」もあった。

周囲を見ると、日本人はお客さんにも店員さんにも1人もいない。不思議な空間に寿司が回り、時折、謎の日本語のアナウンスが流れている。どうやら、イギリス人は、そのような風景を魅力的だと感じているらしい。

カツカレーが美味しいものだという認識はイギリス中に広がっているようで、「カツカレーがいかに美味か!」と褒め称えている記事を見かけた。それだけでなく、「親子丼は悪魔的に美味しい!」と書いてある文章も読んだ。

街を歩くとテークアウトで寿司を提供している店が無数にある。「ベントー」(弁当)も完全に英語として通用していて、色とりどりのおかずが入った「ベントー」があちらこちらで売られていた。「マッチャ」(抹茶)がフレーバーとして人気で、抹茶ラテや抹茶アイスクリームの店が至るところにある。

日本の人口が減少し、今後も経済は停滞という悲観的な見通しが広がる中、海外での日本文化の影響力は明らかに強まっている。日本食の浸透は、その1つの表れだろう。

イギリスだけではない。アメリカでも、他の国々でも、日本食に人々の熱い注目が集まっているのを見聞きする。

大切なのは、海外の日本食ブームが示している日本の「強さ」は何かを見極めることだろう。

それは、端的に言えば、さまざまな影響、要素を混ぜて、調和させる力。

ラーメンにせよ、カツカレー、親子丼にせよ、純粋に日本的なものと言うよりは、海外からの影響をうまくブレンドして調和した「かたち」にしている。そのような折衷主義が、グローバル化する世界における1つの模範、先取りになっている。

寿司も、日本生まれだが、さまざまな巻物、アレンジに見られるように、実は応用の自由度が大きい。どんなブレンドも受け入れてしまうところに、寿司という「フォーマット」の可能性がある。

形式にこだわらずに、柔軟に吸収、ブレンドして創造する自由。ここに、日本の可能性の中心がある。

日本食の強さが、日本のこれからの発展につながるためには、私たちは、自分たちが得意なことを見極める必要があるのだろう。

(脳科学者 茂木 健一郎 写真=AFLO)

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