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1年間の"保険料額"は春の報酬額で決まる

プレジデントオンライン / 2018年11月23日 11時15分

医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第6回は「健康保険」について――。(第6回、全11回)

■保険料額は、どうやって決まるか

会社員の給与から引かれる社会保険料には、健康保険料と厚生年金保険料がある。このうち厚生年金保険料は、多く払えば将来の年金額に反映されるが、健康保険料は掛け捨て。少しでも安く抑えたいところだ。

そもそも健康保険料は、「標準報酬月額」×保険料率で決まる。標準報酬月額とは、会社から受け取る報酬の1カ月あたりの金額(報酬月額)を、いくつかの等級に区分した「仮の報酬」のこと。

標準報酬月額のもとになる「報酬月額」に含まれるのは、基本給はもちろん、残業手当や通勤手当、住宅手当など、原則として会社から労働の対価として受けるすべてのもの。通勤手当のように数カ月分まとめて支払われるケースには、1カ月あたりで計算される。

見舞金や大入り袋など、臨時に受け取るようなもの、年3回以下の賞与は含まない。ただし、賞与については、賞与額(1000円未満の端数切り捨て)に保険料率をかけた額を別途納める。なお、年4回以上賞与が支払われる企業の場合は、賞与額の1カ月当たりを報酬月額として含んで計算される。

図表にあるとおり、たとえば報酬月額が48万5000円以上51万5000円未満の人は30等級で、標準報酬月額(仮の報酬)は50万円に当たる。健康保険では、5万8000円から139万円まで50等級に分類。標準報酬月額が多いほど等級が上がり、保険料も高くなっていく。

毎月納める保険料を、一人一人そのつど計算するのは非常に煩雑。ということで、全国健康保険協会が、事務処理の簡略化のために考え出した仕組みだと考えられる。

■決まった保険料は、1年間固定

ところで、この標準報酬月額は、4~6月の報酬月額の平均をもとに、7月に決定されるのをご存じだろうか。そして、7月時点で計算されて決まった保険料額は、その年の9月適用分(10月納付分)から翌年8月適用分まで1年間固定されるのだ。つまり、4~6月の報酬月額が減れば、健康保険料の支払額は1年間安くなる。

写真=iStock.com/TommL

報酬月額を減らすために自分でコントロールできるものはと考えると、その筆頭は残業手当。春に残業を控えて残業手当を減らせば、結果的に報酬月額は減り、健康保険料を安くできるというわけだ。

具体的にどのくらい変わるか見てみよう。たとえば標準報酬月額が30等級にあたる人が、4~6月に残業を減らして29等級に下がった場合、健康保険料は2万8850円から2万7119円に変更され、1731円安くなる。年間では2万772円トクになる(介護保険料を含む40歳以上65歳未満)。

わずかだが地域によって金額は異なり、同条件で大阪府なら、月額2万9125円が2万7377円となり、月額で1748円、年間で2万976円が浮く計算だ。

この春「残業減」を実践すれば、10月の給与明細で健康保険料が下がっているのを確認できるはずだ。

しかしながら、会社員の裁量によって健康保険料自体を安くするのは限界がある。健康保険で受けられる定期健診などはしっかりと受けて、健康にかけるお金は節約したい。

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1年間の保険料額は春の報酬額で決まる!

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畠中雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー
2000年、駒澤大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。各メディアに連載多数。著書に『サヨナラ お金の不安』(主婦の友社)ほか。
 

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(ファイナンシャルプランナー 畠中 雅子 文=池田純子 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)

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