"月1000円投資"でも人生は変えられる
プレジデントオンライン / 2019年2月20日 9時15分
■不動産投資は、安全なのか
シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの経営破綻騒動で改めて注目を浴びた不動産投資。1億円もかけて物件を取得する不動産投資はハードルが高いと思うが、もっと手軽なやり方にREIT(不動産投資信託)がある。
REITは多数の投資家から資金を集めて物件を取得し、賃料を投資家に配当として支払う仕組みだ。
REITは投資信託ならば1000円から投資ができる。そこでREITに投資をするメリットを考えてみたい。
最初に全体像を説明すると、資産運用の対象になるアセットクラス(資産の種類)は10に分類される。株・債券・不動産、日本・先進国・新興国、このように性質と地域で分類して掛け合わせると3×3=9となり、コモディティ(商品)も加えれば10のアセットクラスになる。
現在ではコツコツ貯金をするように、毎月一定額の投信を買う積み立て投資がかなり一般的になっている。筆者が行っている個人向けの相談でも積み立て投資を行っている顧客が訪れることは珍しくない。ただ、アセットクラスの選択については不安を感じている人も多い。そこで重要な考えが分散投資だ。
いまさら分散投資なんて……と感じる人もいるかもしれないが、その意味を正確に理解している人は必ずしも多くない。そこで個人投資家が株から投資を始めて不動産投資に至るまでを考えてみたい。
手始めに個人投資家が日本企業の株を買ったとする。この状態ではその企業の業績で投資の結果がほとんど決まってしまうため、1社よりも5社、5社よりも10社といった具合に、投資先を増やして分散投資をしたほうがいい。
なぜなら10社へ均等に資金を投じれば、リターンは10社の平均と同じになるが、リスクは10社の平均よりも低くなるからだ。リターンはそのままでリスクだけ下がる……、これが分散投資の効果だ。
例えば円安で業績が改善する企業もあれば悪化する企業もある。同じ要因でも株価は異なる動きとなり、分散投資でポートフォリオ(資産の組み合わせ)全体ではリスクが低下する。
■分散投資の1つが、REIT
日本株の範囲で分散投資をした場合、個別企業のリスクは下がっても「日本株自体のリスク」は消えない。そこで先進国や新興国の株に投資をすることで分散の範囲が広がり、リスクはより低下する。
分散の範囲をさらに広く考えると、先進国株や新興国株など株の範囲でいくら分散しても「株自体のリスク」は消えない。株に興味がある人ならば日本とアメリカの株が似た値動きをする場合があることはご存じだろう。そこで異なる資産として不動産に投資をする意味がある。
理屈よりどの投信やアセットクラスが有望か教えてくれという人もいると思うが、残念ながらこれらの予想はプロでも難しい。だからこそ分散投資に意味がある。
REITの選び方は、無難な運用でいいならばインデックスファンドで十分だ。日本株ならば日経平均やTOPIX(東証株価指数)がインデックス、つまり平均点となるが、不動産の平均点は国内ならば東証REIT指数で、この指数と連動する投信を買えばいい。先進国ならば「S&P 先進国REIT指数(除く日本)」が平均点となる。中身は7割ほどがアメリカ、残り3割は先進国各国の不動産となる。どちらも安いものならば信託報酬は0.2%前後と、手数料は極めて低い。
アセットクラスごとの年間リターンは毎年ランダムに順位が入れ替わる。安定したリターンを得るには分散投資が重要で、その選択肢の1つがREITだ。分散投資のメリットを生かして安定した運用をしていただければと思う。
(ファイナンシャルプランナー 中嶋 よしふみ 写真=iStock.com)
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