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ベンチャー志望の就活生はおバカ率が高い

プレジデントオンライン / 2019年1月14日 11時15分

ベンチャー●大規模ベンチャー企業の採用マネジャー。採用、研修、人事企画などを幅広く務める人事のスペシャリスト。

──2018年9月某日、都内某所。就活生が一番気になる採用現場の本音を聞くため、有名企業3社の採用担当者に覆面姿で集まってもらった。

■超売り手市場。学生の印象は変わりましたか?

【ベンチャー】情報収集の仕方がまるで違う。僕らが大学に入った頃のSNSはミクシィぐらいしかなかったが、今はフェイスブックもあればツイッターもある。それらを駆使して能動的に就活している学生が多い。一方、昔ながらのサークルやっていました、部活でがんばりましたとアピールする学生もいるけど、これだけ情報ツールがある時代にそれだけでは就活を勝ち抜くのは正直厳しい。

【IT】「売り手」と聞くと、楽に採用してもらえそうに感じるけど実際は違う。情報が取得しやすくなって物事が成功しやすい近道もどんどん生まれている。面接でプログラミングに挑戦したいと言う学生がいるが、今はウェブで簡単に習得できるのになぜやっていないのか。採用基準のレベルは上がっている。今だったら僕なんか採用されないし、あの頃でよかったと思う(笑)。

【メーカー】そう、学生の二極化が進んでいる。情報を駆使してアクティブに活動する層がどんどん増え、採用基準のレベルが上がっているのは実感する。我々はトップ層の学生よりもその下の中堅層を採ろうとしているけど、以前は中堅層の中でもトップと真ん中、その下と3つに分散していた。でも今はほとんど下のほうに寄っちゃって、上位層の学生とのレベル差がものすごく開いている。

【ベンチャー】結局、上位層の取り合いが企業の間で激しくなっている。

【メーカー】「学生時代をどう過ごしてきたの?」という質問をしても、上位層とその下の層では経験の幅のレベルがまるで違うし、話の中身にしても差が広がっているね。

■学生の働き方の意識に変化はありますか?

【IT】こちらが副業OKを謳っていることもあるけど、学生時代からやっていることを続けながら働きたいと言ってくる学生もいる。「今の研究を続けたいので週5日で働かなくてもいいですか」という交渉をしてくる。それくらい素直に言ってくれたほうがいいけどね。

【メーカー】逆に小さなベンチャーで24時間、365日働いている学生から「自分はいくらでも働きたいのですが、OKですか」と聞かれた。さすがにそれは認められないと言ったけど(笑)。でも中には入社して、1年後に「起業します」とか「やりたいことがあるので」と言って辞めていく人もいるね。

■面接では学生のどのような点を見ていますか?

【IT】社会に対して何かクリエーティブな発信をしたい、そういうアクションを起こしたいというマインドを持つ人がほしい。それを探るために、学生時代に何らかの実績がある人は、その中身やプロセスを聞いていく。でも単に優勝したとか、何位だったという実績のアピールだけはすごい学生がいる。優勝していなくても、何を感じてどういう行動を起こしたのかを聞きたいのに、タイトルすごいだろ、みたいなタイプ。逆に、本当は自信がないのかと思ってしまい、次の面接に上げようという気になれない。

IT●新興IT企業の新卒採用マネジャー。学生時代から人材会社で中途採用のヘッドハンターをするほどの採用通。

【メーカー】単に競争環境に恵まれていただけということもあるからね。

【ベンチャー】「ベンチャーに行って自分も成長したい」と言う学生がいるけど、それは大いに結構だし、こっちも応援したい。でも「なぜベンチャーだったら成長できるの?」と聞いて、その理由や背景を理解していない、筋道を立てて説明できなければ基本的に落とす。結局、本気じゃないか、頭が悪いかのどっちかだと思う(笑)。頭がよければ自分のことなのだから、どういう仕事を通じて、どんなキャリアが築けるとか整理できるはず。それが言えないのは本気ではない証拠だよ。

【メーカー】両親のことを「うちのお父さん、お母さん」と呼ぶ学生がいる。年齢が上の面接官はちょっと引っかかるだろうね。私も入社してから大丈夫かなと思ってしまう。

【IT】面接での会話の中でやっていないことをやったとか、ウソをつく学生が意外といる。

【ベンチャー】最後の面接では他社の内定は出ているかを聞くことはある。こちらを牽制するためか「内定が出ています」と答えた学生が、じつは出ていなかったことがある。もちろん他社の人事にこの人受けてるの、と聞くことはないが、学生同士や人事の会話で個人情報が漏れてくることがある。あれ、うちには内定が出ていると言っていたのに、内定がないことが結局バレてしまう。

【IT】あるある。他社の面接は「次回が最終です」と言っていたけど、実際はまだ1次面接だったという話もある。他社の採用スケジュールは大体把握しているので、実はバレバレなんだよね(笑)。

【ベンチャー】うちは基本的にウソをついたら即アウト。2次、3次と面接を重ねていくうちに言っていることの整合性がとれていない場合は、最終面接では思いっきり突っ込んで聞くようにしている。そこでウソがバレたらその時点で落とす。

【IT】うちは同じ学生を10回くらい面接するが、誰も見抜けないウソをついていたのであれば、それはそれで才能がある(笑)。逆に感心してしまうし、自分の面接官としての力を疑ってしまう(笑)。

■経団連が提起した就活ルール廃止。影響ありますか?

【メーカー】ルールが廃止されたら、確かに2~3年は混乱するだろうね。採用活動をいつから始めるのか、他社の動向を探りながら何を準備するのか、今まで考えたことがなかった動きが始まる。最初は今まで以上に学生への接触が早まるけど、その分、卒業までの内定者のフォローにコストがかかる。でも、それを何年か繰り返すうちにしだいに落ち着いてくるのではないかな。

大手メーカー●経団連所属の大手メーカーで人事歴約10年のベテラン。新卒採用では毎年約200人の学生を面接。

【ベンチャー】うちは経団連に加盟していないし、今でも通年採用をしているけど、それでも影響はあると思う。通年採用するにしても、学生の意思決定のタイミングが完全に個別化してしまう。今までは大手企業の動きに合わせて我々も動いていたが、それが変わるとなれば採用戦略も大きく変わってくるだろう。

【メーカー】確かに学生がこの会社に決めるという時期が徐々に変わると思う。しかし、今でもハイポテンシャルの学生たちは6月1日に内定が出ているが、その人たちの動きは通年採用になっても、早まることはあっても、あまり変わらないような気がする。その後にハイポテンシャルではないミドル層の学生たちが決まっていく構図は同じだろう。

【ベンチャー】たとえば大手総合商社が大学3年の6月に早期のサマーインターンシップを実施し、その時点で内定を出しますと言ったら、うちも早くやらないといけないと焦って全体的に混乱するかもしれない。

【IT】まったく動きが読めない。本当の優秀層はもともと時期なんか気にしていない。たとえば19年4月卒業の4年生で、9月も就活をしている優秀な学生たちがいる。就活市場では遅い出足かもしれないが、彼らは自信があるから本当にやりたいことがあれば時期なんか気にしない。「まだ、そんなに受けていません」と平然と言うよ。

(ジャーナリスト 溝上 憲文 撮影=大崎えりや)

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