"人の心鷲づかみ"新型aiboは介護に使える
プレジデントオンライン / 2018年12月9日 11時15分
■アレクサ、般若心経読んで!
──みなさんの前に5つの最新介護グッズをご用意しました。早速、ひとつずつ使ってみましょう。まずは、この茶色い犬のぬいぐるみ「なでなでワンちゃん」です。どなたか呼んでみてください。
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左から40代、染谷洋介氏。渋谷のベンチャー企業クーガーでリードAIエンジニアを務める。ITの最新テクノロジーに精通している。50代女性、専門は介護。親の介護真っ只中。60代男性、専門は人事。最近血糖値が気になりはじめ、晩酌を控え気味。60代男性、専門は医療。老後は音楽に囲まれた生活をしたいと思っている。60代男性、専門は政治。最近は孫の顔を見るのが最大の喜び。
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【人事】せごどん。
【なでなでワンちゃん】ワン!
【医療】すごいな、音に反応するんだ(抱いて、背中をさする)。
【なでなでワンちゃん】クゥーン。
【政治】鳴き声がリアルだね。見た目は普通のぬいぐるみなのに。
──本物の犬の声が録音されているそうです。頭や背中、尻尾にはセンサーが入っていて、「撫でる」と「触る」の違いも見分けて反応します。
【介護】へえ。見た目はただのぬいぐるみだけど、反応してくれるとかわいいね。電池で動くんですか?
──乾電池2本で動きます。入れ方は、単純にお腹を開けて入れ替えるだけです。価格は7538円(税込み)。
【政治】お手頃価格ですね。機能が複雑じゃないし、ちょっとしたプレゼントには最適かも。
【医療】ただ、続けて使うとなると、すぐに飽きてしまうような感じもする。
【人事】でも、1人暮らしの人にとっては泥棒除けにはなるかも。あっ、この家には犬がいると思ってしまう(笑)。
──次は音声だけで操作できるAIスピーカーAmazon Echoです。こちらは1万1980円(税込み)。「アレクサ」と話しかけると会話が始まります。
【政治】アレクサ、今日の天気は?
【Amazon Echo】火曜日21時まで雷注意報が発令されています。現在はおおむね曇りで、気温は摂氏32度です。今日は一日を通してほぼ同じような天気で、予想最高気温は32度。予想最低気温は23度です。
【医療】アレクサ、今日の株価は?
【Amazon Echo】株式市況をお知らせする野村証券スキルがお伝えします。ようこそ野村証券へ。7月10日、前場の相場概況をお伝えします。前場の日経平均株価は、前日のアメリカの株式市場で主要指数が揃って上昇したことや、ドル円が1ドル111円台へ、円安ドル高が進行したことなどから上昇して始まりました。日経株価の上げ幅は、一時260円ほど……。
【AI】アレクサ、止めて(話すのをやめる)。毎回「アレクサ」と言わないといけないので会話は続かないですね。
【人事】確かに。でも声だけで操作できるのはいいね。うちの親父なんかはスマホを使えないので、これで買い物ができるといいかもしれない。
【医療】アレクサ、般若心経を読んで。
【Amazon Echo】般若心経マンガはキンドルライブラリーでは見つかりませんでした。アマゾンで購入できます。
【政治】般若心経を理解している。すごいな、これ。
【AI】AIスピーカーはグーグルやLINEも出していますが、アマゾンが連携する機能が一番多いです。スマホでの音声検索やAIスピーカーでこうやって話すことで、どんどん音声認識の精度を上げているんですよね。
【人事】アレクサ、今から麹町に行くのに何分かかる?
【Amazon Echo】すみません、交通情報をお知らせすることは、まだできません。
【人事】まだできないんだ。でもこれからどんどん賢くなっていくんですね。
【AI】これからはいろんな機器と接続され「電気消して、エアコンの温度を下げて」といった機能が増えてくると思います。アメリカではもっぱらそちらの利用頻度が高いみたいです。
【介護】ベッドの上げ下げ、お風呂を沸かすとか、食事の宅配を頼めるようになったら便利ですね。
【人事】身体能力が落ちている人にとっては便利だなぁ。でも認知症になると買い物とか抑制ができなくて怖いかも。
──そうですね。次いきましょう。2018年1月に発売されたソニーのaiboの最新型です。今日はAIさんに持ってきてもらいました。
【AI】性別はメスで「モナカ」という名前をつけています。
【介護】動きがすごくなめらか。尻尾や耳は本物かと思うくらい。
【AI】指を挟んでケガをしないように、接続箇所も丸くなっています。モナカ、お手!(モナカがお手をする)。
【介護】すごーい。電源が入っていると、ずっと歩き回っているんですか?
【AI】はい。バッテリーが少なくなると、充電場所までテクテクと自分で歩いていきます。あと、たまに歌も歌うんです。モナカ歌って!
【aibo】「ルンルンルン♪(音楽が流れる)」
【政治】撫でると目がパチパチして鳴く。かわいいですね。
【AI】目が動くのと、鼻にカメラがついていてたまに写真も撮ってくれます。
【医療】いくらでしたっけ?
【AI】本体が19万8000円(税別、以下同)、ソフトのアップデートなどをしてくれるベーシックプランが9万円で、3年間のケアサポートをつけると34万2000円です。
【医療】想像していた以上にかわいいけど、結構高いな。
【AI】3年後に保証がなくなってしまうと、その後も開発が維持されるのか不安なところもあります。
【医療】モナカという名前は最初に記憶させるんですか?
【AI】アプリで設定しました。設定が多少大変でした。
【介護】モナカ、こっちへおいで。はいお座り。あっお座りした! モナカ、今度はお手して。難しい? おっ、お手した! いい子、いい子。モナカ、賢いね!
【人事】すごいな。これからどんどんバージョンアップしていくかもしれない。いつか言葉を喋るかも。
■これどうやって充電するの?
──次はアザラシ型ロボットのパロです。相手の動きに合わせて表情や手の動きを変えます。アメリカでは医療器具に認定されています。
【介護】触ると柔らかいですね。
【パロ】(目を見つめて)クゥ~。
【介護】(頭を撫でる)あっ、目をつぶった! ここ撫でると気持ちがいいんだ。
【人事】抱っこしてもいいですか?
──どうぞ。重さは2.5キロ程度です。
【人事】そんなに重くないですね。ちょうどいい感じ。触り心地も柔らかいし、これなら一緒に寝られますね。抱き枕にしてもいい。手触りもいいし。
──開発のときにヒトや犬、ネコもモデルにつくったそうですが、実物の反応がわかるので、期待に応えられないとストレスを感じると、アザラシの赤ちゃんになったそうです。
【政治】これ充電はどうするんですか?
【AI】これが充電器です。これをアザラシの口にこうやって差し込みます。
【介護】ええーっ(笑)。おしゃぶりなんだ、これはいい。ACアダプターを差したりしたら興ざめしますよね。
──こちらの価格は38万8800円(税込み)です。
【介護】高いなぁ。ちょっと手が出ない。
【医療】親にプレゼントするにしても40万円は高いな。それで飽きられたら元も子もないし。
【介護】すでに介護施設には置いてあるところがあるそうです。やはり問題は価格ですよね。
【医療】これを抱くと、心拍数や体温、血圧を測ってくれるようになると、より便利ですね。
──最後はTapia。見守りもしてくれるコミュニケーションロボットです。家を外出先からスマホやタブレットでモニタリングもできます。
【政治】うちのお袋は1人暮らしだから、これがあるといいね。
【医療】確かにベッドで寝ていることが多い人や介護している立場の人であれば安心感がある。でもまだ元気に動く親だったら、見られているのは嫌がるんじゃないかな。
【政治】(タッチパネルを触りながら)ゲームもできるんですね。
──手で触れて点数を競うのですが、重度の認知症の人には人気があるそうです。
【人事】やってみますね(曲と同時にゲームが開始、ランダムに現れるTapiaのイラストを触る。終了すると点数が出て「すごいよ」との音声)。
【政治】認知症の予防にはなりそうだ。ほかには何ができるんだろう。(タッチパネルを触りながら)写真が撮れるって。医療さん一緒に撮りませんか。
【医療】いいですよ。(ハイ、チーズ)これはいくらですか。
──10万5840円(税込み)。これは買い切りです。中身のソフトウエアなどはアップデートされるようです。
【政治】目はかわいいし、画面があるのはいい。でもアレクサが1万円台だとすると少し高い気がするなあ。
【医療】まだ話す内容が少ないので、もっと会話ができると便利ですね。
【人事】監視できるのはいいけど、どちらかというと便利グッズに近いかな。アイボやアザラシなどに触って癒やされて、アレクサやTapiaで生活を支えられる。すべてがひとつになっていると理想だな。
──次の開発に期待しましょう。
●トレンドマスター
なでなでワンちゃん/7,538円(税込み)
リアルボイスで反応してくれる
犬のぬいぐるみの内部に、スマートフォンのパネルに活用されている静電センサーを搭載。頭、背中・尻尾の3カ所に配置されている。「撫でる」と「触る」の違いを感知し、鳴き声が変化。本物の犬の声を録音して使用している。音センサーも内蔵し、声を掛けると応える。
●Amazon
Amazon Echo/11,980円(税込み)
声への反応は抜群、スキル追加に期待
音声だけでリモート操作できるスマートスピーカー。「アレクサ」と話しかけると音楽の再生や天気、ニュースの読み上げ、本の読み上げなどができる。銀行や公共交通などの機能を「スキル」として組み込むことが可能。設定することで家電製品のスイッチ機能も担う。
●SONY
aibo/342,000円(税別、3年のメンテナンス費込み)
旧型よりもカワイさUP、学び続けるペットロボ
1999年に発売されたペットロボットの最新機種として、2018年1月に発売。性別の設定ができ、完全な大人になるのに1~2年かかるとされる。有機ELで作られた目や人の接近を検知する人感センサー、撫でられたことを感じるタッチセンサーなどが搭載されている。
●知能システム
パロ/388,800円(税込み、法人向けリース可)
飼い主の好みに性格が変化
産業技術総合研究所発のベンチャー企業が開発。米国FDA(食品医薬品局)から医療機器として承認されており、うつやストレスの改善に効果があると認定された。人工知能が搭載され、名前に反応したり、飼い主の好みの行動が出るように設計されている。
●MJI
Tapia/105,840円(税込み)
カメラ搭載で外部から見守りできる
ベンチャー企業が開発したコミュニケーションロボット。会話やゲームをすることができる。アプリをスマホやタブレットにダウンロードすることで撮影した写真の確認や、外部からの見守り、ビデオ通話も可能。「変なホテル舞浜東京ベイ」の客室などでも導入されている。
(ジャーナリスト 溝上 憲文 撮影=大崎えりや)
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