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94歳現役パイロットは何を食べているか

プレジデントオンライン / 2018年12月8日 11時15分

医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第7回は「生活習慣」について――。(第7回、全11回)

■健康寿命は、心の問題が大きい

94歳の現役パイロット・高橋淳氏をご存じだろうか。70年以上飛行機に乗り続け、“世界最高齢パイロット”としてギネスにも認定。90歳を超えても新富士の飛行場を拠点に飛び回っている。その健康な体を支えるのが日々の食事だ。高橋さんは、ほぼ毎日同じ献立で決まった時間に食事を摂る。表を見てほしい。一見、普通の食事のようだが、この献立の中に「90歳を超えても病気知らず」の秘密が隠されているという。糖尿病など生活習慣病の食事療法を専門とする中島茂医師もこのメニューを絶賛する。

「まずバランスがいい。一日の食事の中で、肉・野菜・豆・果物・穀物をそれぞれ少しずつ摂取しています。数種類の野菜を摂ることで食物繊維やビタミン、酵素を摂取できるので、血糖値も上がりづらいし、消化の助けにもなります」

意外なのが肉。高橋さんは毎日、夕食に50グラムのステーキ肉を食す。肉好きといえばもう1人、95歳の現役ピアニスト、室井摩耶子さんも有名だ。彼女は80グラムのヒレステーキをはじめ、トンカツ、鶏鍋と毎日いろいろな肉を食べているという。

「肉を食べる人は、高齢でも元気な人が多い。年をとると筋肉の量が減少するため運動が大事ですが、タンパク質がなくては運動しても筋肉は増えません。骨をつくるカルシウムの吸収にもタンパク質が必要です。肉を摂ることで骨粗しょう症防止にもなります」(中島氏、以下同)

2人に共通するのが「腹八分目」。肉を摂っても胃が弱っていては消化できない。健康な胃を保つためにも、「腹八分目」を心がけることが大事だとか。

94歳の現役パイロット・高橋淳氏

「腹八分目」にはもう1つメリットがある。それは過剰摂取の防止。筋肉が減ると、代謝が落ちエネルギー消費量も減る。当然、摂取量も控えたほうがいいのだが、腹いっぱい食べて肥満になる高齢者が多いのだ。

「肥満になると運動もしなくなり筋肉が衰えます。肥満は糖尿病にもつながるし、血流が悪くなり、認知症になる危険もある。肉がいいからといって食べすぎず、ヒレ肉など低脂肪の肉を少量摂るようにしましょう」

高橋さんも室井さんもほぼ毎日、朝食にヨーグルトを食べている。これはどうなのか。

「ヨーグルトは腸内細菌の働きを助け、腸内フローラを改善します。腸内フローラが整っていないと悪玉菌が有害物質を生み出し、がん、糖尿病、認知症などの病気につながります。ただ、これも食べすぎは厳禁です」

そして最も大事なことが、「ストレスを感じない食事」だ。2人とも朝食はパン。高級店のパンに質のいいバターをぬって食べている。その理由は「好きだから」。

「パン食がいいということではなく、大好きなものをおいしく食べていることが長寿の秘訣でしょう。実は、健康寿命は心の問題が大きいのです。コロンビア大学の研究で“ストレスがないと思っている人”のほうが長生きするというデータがあります。大事なのは自分でそう思っていること。周りから見てストレスがなさそうなのに、本人はストレスがあると思っている人は長生きできません」

ご両人にストレスがあるか聞いたところ、「全くない」と即答。おいしいものを楽しく食べることが一番の良薬なのかも。

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肉とヨーグルトを少々。腹八分目が基本

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参考文献:『わがままだって、いいじゃない。──92歳のピアニスト「今日」を生きる』(室井摩耶子著、小学館)

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中島 茂(なかじま・しげる)
中島内科クリニック院長
専門は運動療法、心理療法。東京教育大学理学部理学研究科博士課程修了後、横浜市立大学医学部卒業。横須賀共済病院・内科部長、栄養部長を経て、同院を開設。
 

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(プレジデント編集部 高嶋 ちほ子 撮影=栗原克己)

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