家族の負担を劇的に減らす最新介護グッズ
プレジデントオンライン / 2019年1月20日 11時15分
■レンタルできるもの、買えるもの
高齢社会の必需品と言っていい福祉用具(介護用品)。足腰が衰えたときに、自分に合った杖や歩行補助車を選べば、楽に外出でき、転倒防止になる。
国際医療福祉大学大学院の東畠弘子教授は「福祉用具は、身体が不自由になった人にも介護をする人にも、どちらにとっても重宝で役に立つ」と言う。
介護保険では、多くの人が自己負担1割でレンタルできる福祉用具は13種類で、特殊寝台(介護用ベッド)や車椅子、歩行器、杖などだ。身体の状態が変わったときに借り換えできるよう、介護保険が適用される福祉用具は貸与(レンタル)が基本。ただし、介護保険では購入できる「特定福祉用具」もある。ポータブルトイレ、シャワーチェアなど直接肌に当たる排泄と入浴に関するものだ。年に10万円を上限枠として購入費用の9割が支給される。
2018年10月から厚労省によりレンタル料の上限が決まるが、貸与事業所によってレンタル料は異なるので注意しよう。選ぶ際には、福祉用具貸与事業所にいる福祉用具専門相談員に相談するといいだろう。保険適用外の用具でも優れものはたくさんあり、「上手に取り入れて、在宅生活に活用しましょう」(東畠教授)。
■初の男性向けデザイン
ここからは東畠教授おすすめの逸品を紹介していこう。まずは、加齢や長期の入院などで足腰が弱くなったときに役立つ歩行補助杖や歩行補助車だ。
補助杖にはステッキ型、T字型、L字型、松葉杖などがある。T字型は介護保険の適用外だが、自立歩行できる人に人気が高い。フレーム上部のグリップがT字型になっており、人さし指と中指の間にフレームを挟み、グリップに体重をかけて使用する。東畠教授のおすすめは、折り畳めてコンパクト、旅行や外出にピッタリな折り畳み伸縮杖「テイコブ折りたたみ式伸縮カーボンステッキ」。超軽量で(245グラム)、使ってみるとその軽さには驚く。丈夫なフルカーボン製で、杖先も地面に接地しやすい形状なので安定感がある。長さを5段階で調節できる。
日々の歩行が困難になると、つい外出が控えめになってしまいがち。そんなときに利用したいのが歩行補助車。年寄りくさいところがない「ミケーレ」は、男性向けの初の歩行補助車だ。前方の2輪がキャスターのロレーター型。軽量で、行きたい方向に進めて、操作性は抜群。人工皮革を使用したデザインも紳士用で、小休止には、かご部分の上にも座れて、とても便利だ。
▼足腰が弱ったら
軽量で折り畳み可、持ち運びやすい逸品
本体を折り畳むことができるので、コンパクトに収納できる。また、持ち手を含む本体すべてがカーボン素材で、245gと軽量。そのため、簡単に持ち運べる。
●介護保険対象外●価格:15,500円(税抜)●サイズ:76.5~86.5cm(5ポジション)●重量:245g●メーカー:幸和製作所
紳士用歩行車「ミケーレ」
「イタリア紳士に学ぶ遊びゴコロ」がブランドコンセプトのおしゃれなデザイン。5.9kgで軽量。折りたたむと横幅が23.5cmで、収納に場所をとらない。
●介護保険貸与対象品●価格:50,000円(税抜)●全国平均貸与価格:3,239円(税込/月)●サイズ(組み立て時):幅535×奥行605×高さ790~950mm●重量:5.9kg●メーカー:幸和製作所
■ファッション性の高い保護帽子
「年をとると体のバランスを崩しやすく、転びやすくなります。衝撃を吸収する緩衝材入りの帽子を着用すれば、転倒の際にも頭を衝撃から守ってくれます。室内用、防寒用、男性用、女性用とさまざまなデザインがあり、ファッション性にも配慮されています」(東畠教授)
「ターバンN」は、頭周囲のみに緩衝材が入ったアウターと全面に緩衝材が入ったインナーの二重構造。室内でも使用できるよう吸湿性のよい素材を使用。軽く、フィット感がある。
加齢によって足のつま先が上がりづらくなると、すり足歩行となるため、小さな段差などにつまずきやすくなる。履くと自然につま先がアップする転倒予防靴下「どんどんウォーク」を履いたところ、加齢で後ろ気味になっている体の重心が補正され、立つバランスもよくなった。「足の指先が上がって歩きやすいし、腰や膝の負担も軽くなった感じがする」(厚川花枝氏・92歳)。
自分で食べると、ごはんの美味しさも増す。グリップに「形状記憶ポリマー」を採用したスプーンとフォークの「ウィル・ワン」が役立つ。温めると形が変わるグリップはU字形で、握力が弱くても手を挟み込めば使える。
▼暮らしを支える小物
帽子も靴下も、一見すると介護用品に見えない
「ホーム ターバンN」はインナーとアウターの二重構造で、高い緩衝力がある。「シフォンターバン」は手術などで髪を剃った人のために考案、緩衝材はない。
「abonet+Noriko シフォンターバン」
●介護保険対象外●価格:5,800円(税抜)●サイズ:頭囲52~60cm●重量:約25g●メーカー:特殊衣料
「abonet ホーム ターバンN」
●介護保険対象外●価格:10,000円(税抜)●サイズ:頭囲56~58cm●重量:約220g●メーカー:特殊衣料
つま先アップ靴下「どんどんウォーク」
福祉機器コンテスト2007年度「優秀賞」受賞、広島大学大学院との共同研究で開発された、転倒予防靴下。履くとつま先が自然と上がり、つまずきにくくなる。
●介護保険対象外●価格:1,500円(税抜)●サイズ:22~27cmまで計6サイズ●メーカー:コーポレーションパールスター
変形自在スプーン「ウィル・ワン スプーン」
U字形のグリップが形状記憶ポリマーでできており、70℃のお湯に数分漬けると自在に変形可。グリップに手を挟み込んだり、手のひらを巻き込むことができる。
●介護保険対象外●価格:3,000円(税抜)●サイズ:長さ234×幅37mm●重量:51.5g●メーカー:青芳
デイサービスセンター「安心のおせわ~く広場」
要介護認定を受けている人が通える。身体や認知機能の訓練に注力。男性向けプログラムも充実。スタッフの方々に話を伺った。写真左から、ランダルコーポレーション介護関連事業部の本田卓也氏、神農笙子氏、庄司万純氏、中野宏美氏、本間美紀子氏、市場開発部の國谷昇平氏、藤原雅人氏。
■入浴、トイレなど重労働が一気に軽減
ベッドサイドに置けるポータブルトイレは便利だが、悩みの種は臭いや始末。「『ラップポン』は便座下に消臭ラップが仕込まれていて、排尿、排便を済ませてから電動スイッチを押すとラップが圧着され、排泄物が完全にくるまれて切り離されます。手間がかからず、臭いの心配もありません」(ウエル・カムサポートセンター・宮田沙織氏)。実際の座り心地もよい。
身体の自由に制限がある人にとって入浴は大仕事。バスボード「はねあげくん」は、浴槽の縁に差し渡す板で、この板に腰を下ろし、身体を横に移動するだけで浴槽への出入りが楽に。入浴後にはねあげれば頭を乗せられる。
車椅子も介護には欠かせない。「モデラート」は介護者が1本のレバー操作だけで座位姿勢を簡単に変えられる。
「これまでのフルリクライニング車椅子との大きな違いは、バックレストが倒れるのに応じて座面も傾く機構。バックレストを大きく後方に倒しても、体が前方に滑り出すことがありません」(ランダルコーポレーション市場開発部・作業療法士・國谷昇平氏)
介護用品は種類も機能もさまざまだ。福祉用具貸与事業所や百貨店の介護用品コーナーで事前に試してみよう。
▼家族の重労働を減らす
負担を劇的に減らすアイデア商品
熱圧着によって排泄物を1回ごとに密封するので始末が楽。特殊な防臭フィルムで臭いを外に漏らさない。やわらか便座で優しい座り心地。
●介護保険特定福祉用具●価格:92,500円(税抜)●サイズ:本体:幅480×奥行510×高さ800、830、860mm●重量:本体約21kg●メーカー:日本セイフティー
バスボード「はねあげくん」
グリップを両手で持ち、またいで1人で入浴できる。片方のグリップを外して腰掛けて、身体の向きを変えて1人で入浴も可能。壁付け手すりとぶつからないのも利点。
●介護保険特定福祉用具●価格:39,800円(税抜)●サイズ:[H-S]縦40×横76×高さ15cm●重量:[H-S]5.8kg●メーカー:アロン化成
リクライニング車椅子「モデラート」
食事、テレビ視聴、休憩などそれぞれの場面に最もふさわしい座位姿勢を、1本のレバー操作だけで簡単に実現。バックレストが倒れるのに応じて座面も傾く。
●介護保険貸与対象品●価格:220,000円(非課税)●全国平均貸与価格:9,168円(税込/月)●サイズ:座幅42cm●重量:20kg●メーカー:ランダルコーポレーション
福祉用具貸与事業所「ウエル・カムサポートセンター赤坂見附」
医療従事者および社会福祉機関と密接に連携。ストーマ(人工肛門・人工膀胱)装具や介護関連用具の販売店。執行役員・カスタマーサポートコールセンター長の宮田沙織氏に話を伺った。
(撮影協力=ランダルコーポレーション、ウエル・カムサポートセンター赤坂見附、幸和製作所、特殊衣料、コーポレーションパールスター)
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国際医療福祉大学大学院福祉支援工学分野教授
2012年から消費者庁「消費者安全調査委員会」臨時委員。『介護保険で利用できる 福祉用具』(岩波ブックレット)など著書多数。
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(ジャーナリスト 吉田 茂人 撮影=村上庄吾 写真=Getty Images、アロン化成)
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