二日酔いにウコン飲料&サプリは効くのか
プレジデントオンライン / 2019年2月3日 11時15分
■酒だけでなく、ソフトドリンクも飲む
お酒好きの人は経験したことがあるでしょうが、酔った状態で寝ると夜中に何度も目が覚めることがあります。
これはアルコールやその代謝によって発生するアセトアルデヒドによって睡眠の質が変わり、途中覚醒が起きやすくなるからです。だいたい4時間ほどで深い眠りから覚め、それからあとは眠れなくなるか、浅い眠りが続きます。
また、アルコールの利尿作用でトイレに行きたくなり、喉が渇いて水を飲みたくなることでも目が覚めます。お酒を飲んだらたくさん水を飲むのはいいことで、脱水症状を防ぐうえでも、肝臓のアルコール分解を助けるうえでも効果的です。しかし水を飲むとトイレも近くなり目が覚めやすいというジレンマがある。たびたび目が覚めれば、深い眠りに入りにくくなり、休息が妨げられます。
私自身も若い頃にはよく二日酔いを経験しましたが、最近は“二日酔いにならない飲み方”を意識しているのでほとんどなくなりました。
二日酔いの防止法というのは、特別な秘訣などなく、自分の適量を知ること、つまり肝臓が分解できるアルコールの量を知ることに尽きます。肝臓の機能に個人差はありますが、ひとつの目安は図表に示すとおり、体重が70キロの人が1時間に分解できる純アルコール量は7グラムです。ビールの中瓶でいえば3分の1程度と、かなり少ない量です。
これは純アルコール(エタノール)の量ですから、お酒の種類とは無関係です。よく聞く「ゆうべはチャンポンだったから悪酔いした」という話は、医学的な根拠はありません。たとえば、はじめにビールを飲み、酎ハイ、ウイスキーとお酒の種類が変わるうちに、つい飲みすぎてアルコールの摂取量が増えるためだと考えられます。二日酔いにならないコツは、摂取するアルコールの絶対量を減らすこと。同じ量のアルコールを摂取するなら、できるだけ時間をかけることだといえます。
ダラダラ続く飲み会は、深酒しがちな状況の代表でしょう。私はそういう飲み会では、途中でウーロン茶などのソフトドリンクに切り替えてインターバルを置くようにしています。乾杯からソフトドリンクでは、周りの人が「どうかしたの?」などと気にしますが、少しアルコールがまわった頃合いならさほど目立ちません。
■高カロリー食で、血糖値を上げる
アルコールの分解を助けるという意味では、ソフトドリンクよりも水を飲むほうが効果的です。日本酒でいえば、お酒の量と同じぐらいの水を飲むといい。ただし、飲みながら何を食べているかも重要です。お酒を飲むと塩辛いものを美味しく感じるので、つまみで塩分を摂りすぎた場合は、さらに多くの水分が必要になります。
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二日酔いの日は、強い眠気に襲われることがあります。これは先ほど説明した睡眠不足に加え、血糖値の低下が原因の場合も少なくありません。最近よくいわれる「血糖値スパイク」です。お酒を飲みすぎると肝臓がアルコールの分解にかかりきりになり、糖分をつくりだせなくなります。それで血糖値が下がると、脳の活動が低下してダルさや眠気をともなうなど二日酔いの症状が出てきます。ですから食欲はなくても、水分と一緒に炭水化物を多く含む、カロリーの高い食事をしっかり食べることで、血糖値が上がり眠気を抑えられることがあります。
■ウコン、栄養ドリンクは効く? 効かない?
本来は水分を充分に摂って眠るのが一番いい対処法です。しかし出社すればそうもいかないので、コーヒーやエナジードリンクでカフェインを摂って眠気を覚ます人も多いでしょう。個人差はあるものの、手っ取り早く眠気を覚ますにはカフェインはたしかに有効です。しかし、本来は眠りたがっている脳と肉体を強引に覚醒させるわけですから、脳や肝臓をはじめとする様々な臓器に負担をかけます。将来の健康を考えれば何回も繰り返して使いたい方法ではありません。重要な会議があるなど、やむをえない状況でとる手段だと考えたほうがいいでしょう。
二日酔いになると、ウコンを原料とするサプリメントやスタミナドリンクを飲む方もいます。ウコンがアルコールの分解を助けるかどうかは、実はよくわかっていません。炎症を抑える作用はあるので、頭痛や胃もたれに効くことは考えられます。ただし、ウコンで肝臓を悪くする体質の人たちもいます。生薬など自然のものが原料でも、効き目があるということは副作用もあり、万能なサプリとはいえません。
お酒を飲んで寝ると肝臓がアルコール分解に忙しく、脂肪の分解が抑えられて太りやすくなるなど、健康への悪影響はほかにもあります。やはり、自分の適量を知って飲みすぎないことが一番の対処法なのです。
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肝臓専門医
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。東京大学医学部卒業。現在はアッヴィ合同会社所属。監修書に『酒好き医師が教える 最高の飲み方』がある。
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(肝臓専門医 浅部 伸一 構成=Top Communication 写真=PIXTA)
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