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第一印象は0.2秒で決まり評価につながる

プレジデントオンライン / 2018年12月6日 9時15分

写真=iStock.com/Tomwang112

なにが「面接」の成否をわけるのか。雑誌「プレジデント」(2018年10月29日号)では「面接」に関する大特集を組んだ。今回、そこから3つの基本を紹介しよう。第1回は「第一印象をよくする心理学のテクニック」について――。

■“中身”より“見た目”、第一印象で面接は決まる

世の中には、面接ウケのいい人間がいる。転職や子供の受験など、面接が人生に大きな影響を与えるシーンは多い。面接ウケをよくするためには、どうすればいいのだろうか。

「最近の研究では、第一印象は0.2秒で決まる、と言われています」と話すのは、立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇氏。さらに、齊藤氏はニュートンの発見した「慣性の法則」と同じような一貫性の法則が人間の心にはあると続ける。

「ある方向に心が動き始めると、そのまま同じ方向に動いていくんです。面接官はあなたに対するイメージが真っ白な状態から、最初の0.2秒で“1つのイメージ”を抱きます。白い紙に赤のインクを落としたら、それを青に変えるのが難しいのと同じように、最初に与えた第一印象が、その後のあなたの評価につながっていくのです」

たった0.2秒で決まってしまうのでは何もできない、と思うかもしれないが、見た目、つまり服装や身だしなみに気を配ることは、事前にできるうえに効果が高い。

たとえば転職の面接。新卒と違い、チャコールグレー、ネイビーと、スーツの自由度は高い。しかし、ファッションだけで色を選んではいけない。色彩心理学というものがあり、色は自分の気持ちや相手に与える印象を左右すると言われている。以下に色の心理的効果をまとめてみた。

外向的で派手、新奇好き、目立ちたがりで刺激を求める
外向的で派手、新奇好き、挑発的で冒険心がある
外向的で清潔
礼儀正しく、知的、清潔、伝統的傾向がある
派手で成熟している。異性への関心が高い。目立ちたがりで見栄っ張り
清潔、上品、若々しい
黒:自己主張が強い、暗い
グレー周囲に溶け込みやすい。調和が取れて穏やか。控えめ

色彩心理学的にいうと、青系の色が知的さや礼儀正しさを感じさせる、面接にぴったりの色だという。

「服装などで自分のイメージをコントロールすることを、心理学的に『印象管理』と言います。また、服装や身だしなみは、相手へのリスペクトを伝える手段でもあります。汚れたワイシャツや靴、よれよれのスーツでは、リスペクトは伝わりませんよね」

■“いい印象”を、履歴書に仕込む

第一印象をよくするために、面接前にできることは多い。たとえば事前に提出する応募書類もそうだ。

同じ人物について、(1)「知的・勤勉・批判的・頑固」と表現した場合と、(2)「頑固・批判的・勤勉・知的」と表現した場合では、どちらが印象がよいと感じるだろうか。じつは(1)と(2)は並びを逆にしただけで、使っている言葉はまったく変わらない。しかし、(1)の場合のほうが、その人物への印象がよくなるという。これは「初頭効果」といい、最初に与えるイメージがいかに重要かを物語っている。

この初頭効果を狙って、自分の“好ましい印象”を履歴書に仕込んでおくのだ。たとえば、履歴書には必ずある「志望動機」を例にあげよう。「貴社の社風が自分に合うと思ったので」と書くより、「貴社の社風が外交的な自分に合うと思ったので」といった感じに、「外交的」という印象を入れ込んでおけば、面接官は最初から、あなたを外交的な人として見るだろう。

「とにかく、最初にプラスの印象を与えることが重要なんです。日本人は、自分を謙遜して表現しがちです。それが謙虚な姿勢として評価されていた時代もありましたが、今は積極的に自分の長所をアピールするほうが好まれると思います」

■笑顔と明るい声が、面接を突破するカギ

初頭効果を狙うために最も簡単で効果的な方法がある。それは「笑顔」。人は、進化上、知らない人に会うと敵対し、緊張してしまう生き物だといわれている。笑顔はその緊張を緩和させる有効な手段なのだという。第一印象をよくするためには、面接室のドアに入った瞬間から笑顔を心がけたほうがいいというわけだ。

とはいえ、なかなか自然に笑えないという人も多いだろう。その場合は、面接時には、せめて口角を上げることだけでも意識したほうがいいそうだ。

「対人魅力の心理学では『6・3・1の法則』というものがあり、好意を生むのは、6割は表情、3割は声の性質、1割が内容、つまり言葉だとされています。人は会話中に、意識的・無意識的に相手が自分に好意を持っているかどうかを測るものです。その好意を測る材料は、表情が6割で最も比重が高いんです」

たとえば、無表情で「好きです」と言われても、その言葉をそのまま受け取る人はいないだろう。表情が伴っていなければ、本心は好きではないのでは?と勘ぐってしまう。面接でも同じだ。どんなに意欲があろうとも、表情が乏しければ、あなたの意欲は面接官に伝わらない。同様に声も重要だ。面接時には明るい、はっきりした声で話すことを心がけよう。

「話す内容はどうでもいい、とまでは言いませんが、あなたの印象を大きく左右するのは、表情や動作、声の性質であることは意識しておきましょう」

1つ、テクニックとして覚えておきたいことに、手の動きがある。話の内容を強調したいとき、また自信をアピールしたいときには、握りこぶしをつくると効果的だ。ただし、多用は危険。ここ一番の手段として覚えておこう。

■面接官も、褒められたい

Q.効果的な相づちはどっち?
A.なるほど
B.さすがですね

【答え】B
「なるほど」よりも「さすがですね」のほうが、相手をよく知っているうえでのリスペクトを表すので、相手の自己重要感を満たす。「この人わかっているな」と、あなたへの評価も上昇する。

さらに齊藤氏は、相づちの重要さも指摘する。

「面接では、相手の話を受け入れている姿勢を見せることが大切です。うなずくだけではなく、『すばらしい』『そうなんですね』など、積極的に相づちをうったほうがよいでしょう」

とくに面接の場合、「さすがですね」という相づちが効くと言う。

「『すごいですね』もいいのですが、『さすがですね』という相づちは、相手をリスペクトしているからこそ出るフレーズです。人間は誰しも、自己重要感を欲しているんです。『さすがですね』は、相手のそういった欲求を満たします」

そうは言っても、おべっかを使っているように見えるのではないか?と危惧する人もいるかもしれない。しかし、齊藤氏は、褒められる側はそうは取らないと言う。

「人間の褒められたいという欲求って、強いんですよ。それに、業績や新商品、待遇、職場環境など、その会社が努力して出した結果を褒められて、嫌な気持ちになる面接官はいません。この人は我が社のことをよくわかっている、と好印象を持たれるはずです」

また、相づちは、コミュニケーション力のアピールにもなると続ける。

「コミュニケーション力は、話す力と思われがちですが、じつは反応する力が重要なんです。人は自分の話を熱心に聞いてくれる人に、必ず好意を抱きます。極端に思えるかもしれませんが、面接は自分をアピールする場ではなく、面接官の話を聞き、相づちをうつ場だ、と思ったほうが、うまくいく場合も多いと思います」

■緊張は面接官に好印象を与える!?

Q.印象がいいのはどっち?
A.緊張して、たどたどしい人
B.饒舌にしゃべり続ける人

【答え】A
緊張は相手をリスペクトしていることになり、好感を持たれる。たどたどしくても一生懸命さが伝われば、相手は誠実さを感じる。対して、自分の成功談などを一方的に話し続けてしまう人は要注意。「誇張しているのでは?」と怪しまれることに。

面接の場で緊張してしまい、思うように話せないという悩みを抱える人も多いだろう。しかし、意外なことに、緊張は面接官に好印象を与えると齊藤氏は言う。

「緊張するということは、相手を重要視しているということですよね。それは面接官に伝わりますから、緊張してもいいんです。案外、緊張してうまく話せなかった面接は通って、饒舌に話せた面接は落ちることも多いものです」

面接は最初が肝心と前述したが、同じくらい最後も大切だ。

「人は最後に見たこと、聞いたことが強く印象に残ります。これを『ピーク・エンド効果』と言いますが、どんなに面接がうまくいったとしても、最後のあいさつがおざなりだったり、ドアを乱雑に閉めてしまったりすると、それまでのよい印象が台なしになります。“ピークは最後(エンド)にくる”と覚えておいてください」

面接が終わったら、椅子の横に立ち「ありがとうございました」と一礼する。ドアの前でも「失礼します」ともう1度、一礼。エレベーターまで採用担当者が見送ってくれた場合は、背筋を伸ばして歩き、エレベーターのドアが閉まるまで頭は90度に下げる。意外と忘れがちなのが、椅子をテーブルの下に入れること。椅子が出しっぱなしだと、雑な印象を与えてしまう。

面接が終わるとホッとして、ついつい気が抜けがちだが、最後まで見られていることを意識して、スマートに退席したいもの。終わりよければすべてよしで、面接を必勝パターンに導こう。

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▼面接に使える心理学テクニック5
【スレッド効果】青い服で冷静かつ知的な印象を
被服心理学では「スレッド効果(服の繊維による効果)」という言葉があり、第一印象における服装の影響は大きいとされる。色彩心理学では、青い服は「冷静」「知的」という印象を与えるので面接に効果的。
【初頭効果】最初に笑顔を見せると効果大
最初に与えた印象が、後々の印象形成にも影響を与えてしまうこと。「第一印象は0.2秒で決まる」とも言われており、冒頭、コンマ単位で与えた印象が結果に与える影響はかなり大きい。最初から笑顔で。
【6・3・1の法則】言葉の内容より表情が心証を左右
人間は相手の自分への好意を、6割は表情、3割は声(話し方)、1割は話の内容で判断する。暗い顔でいい話をしても相手には響かない。志望動機は笑顔や弾んだ声で話したほうが面接官の心証がよくなる。
【好意の類似効果】自分に似ている人を好きになる
人は自分と類似点があったり、価値観が合う人に好意を持つ。「昔から御社の商品を使っている」「社長の著書を読んで共感した」など、共通点を探しておくことも大事。一緒に働きたい人だと思ってもらえる可能性大。
【ピーク・エンド効果】終わりも気を抜かない
人は最後に見たことや聞いたことが強く印象に残る。面接が盛り上がったとしても、最後の態度1つで印象が悪くなる場合も。「椅子の位置を戻し忘れる」「ドアをバタンと閉める」など乱雑な印象を残さないように注意。

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齊藤 勇
心理学者
立正大学名誉教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。人間関係の心理学者として対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究。『「スゴイ!ひと言」大全』(かんき出版)など著書多数。

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(松本 史 撮影=研壁秀俊 写真=iStock.com)

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