採用したい人したくない人で質問は変わる
プレジデントオンライン / 2019年1月28日 9時15分
■面接前に足を使って“生の情報”を得る
面接の前に、企業研究が必須であることは言うまでもない。しかし、5万人以上に話し方指導を行ってきた野口敏氏は、「多くの人が、企業研究が不十分なまま面接に臨んでいる」と話す。
「ネットで得た情報だけでは足りません。自分の足を使い、“生の情報”を得ることが大切です」
野口氏は、転職したい企業を事前に見に行くことを勧める。セキュリティが許すところまで入り、社員の服装や表情を観察。できれば会話を聞けるとよいと言う。中に入るのが難しい場合、玄関から出てくる社員の服装、表情、話しぶりを観察する。また、同業他社に勤める人にその企業の評判を聞くのもお勧めだ。
「会話が弾む一番の方法は、相手に興味を持つこと。その企業に興味を持って知ろうとしなければ、面接で話が弾むことはありません」
その企業の商品やサービスについても、生の情報を得ておこう。食品業界なら商品を食べる、建設業界ならば建築物を見に行くなど、できるかぎりの努力をしておきたい。これは志望動機でも同様だ。
「『業界ナンバーワンの御社に~』というより、『同業他社の方にお話を聞いたところ、御社のことをすばらしい企業だと話されていて』と言うほうが、面接官の心に強く残ります。そこまでうちに興味を持って調べてくれたのか、と思われますから」
では、実際の面接時には、どこを気をつければいいのか。第一印象をよくするコツとしては、「どうぞ、私の長所も短所も見てください」という気持ちで面接に臨むことだとか。
「面接の場では、短所を見せたくない、という気持ちが働くため、硬い印象を与えがちです。自分を見てください、という気持ちで臨めば、自然な態度でいられます。また、緊張しがちな人は、緊張したらダメだとは思わず、自分は今緊張しているな、と認めるほうが楽になれます」
第一印象の良しあしは、その後の質問内容にも影響する。
「面接官が、この人いいなと思えば、採用する方向の質問になりますし、逆の場合は落とす方向の質問になりがちです」
異業種からの転職を仮定しよう。前者の場合「異業種ですが、どんなことに挑戦してみたいですか?」という質問になり、後者の場合「異業種ですが、なぜうちに?」と、質問のニュアンスが変わる。やはり第一印象が大事なのだ。
また、野口氏は、聞かれている内容について、“ズバリと答える”ことが重要だと話す。たとえば「あなたの長所は?」という質問には「私の長所はコミュニケーション力です」と最初に簡潔に答え、具体例を短く付け加えるほうが印象がよい。
「多くの人が『私は7年間営業をやっていて、そこで~』といった具合に、周辺の情報から答えがちなんです。そうすると、だんだん質問からずれていったりしますし、何より最初に簡潔に答えると賢い印象を与えられます」
質問にズバリと答えるためには、企業研究と同じく、事前準備が重要になる。自己分析はもちろんのこと、仕事上のエピソードをどれだけ用意していけるかがカギを握る。
「面接では、とにかく具体的なエピソードを話しましょう。失敗やミスをしたときについての質問も、それにどう対応し、何を学んだかまで話すことです。こうすれば面接官の心にぐっと響きます」
自分を正直に語る人に、人は魅力を感じる。面接で失敗談を話すことにリスクを感じるかもしれないが、その後の行動がポジティブであるならば、印象はよくなる。また、アピールしたい内容は、ノートなどにまとめておくとよいと言う。
「頭で考えただけで面接に臨んでも、その場で言葉が出てこないもの。書いてまとめておけば、頭にインプットされるでしょう」
A.この会社にどんな魅力をお感じですか?
B.残業している人は多いのですか?
【答え】A
何も質問しないと熱意がないとみなされることもあるため、ぜひ聞いたほうがいいとされる「逆質問」。何を聞いたらいいのかわからないという人は、面接官自身が会社に対して感じている「魅力」を聞いてみよう。会社の意外な一面がわかることも。
面接の最後に聞かれる「何か、聞きたいことはありますか?」という質問が苦手な人も多いだろう。もし何も思い浮かばなかった場合、「(面接官の○○さんは)この会社にどんな魅力をお感じですか?」など、面接官自身に質問することを野口氏は勧める。その際に聞く力を発揮できると、面接の成功度が高まると言う。そのときに注意したいことが、自分が主体にならないこと。
「とくに男性は、相手の話の腰を折って、自分の知識を話したり、相手が話したいこととは違うことを質問してしまいがちです」
では、子供の受験時の面接はどうだろうか?
「子供の受験は、父親で合否が決まると言われています。たとえば、父子の目が合うか、父親が話すエピソードが具体的かなど、父親が本当に子供とコミュニケーションが取れているかを見られているんです」
妻に育児は任せきり、という人は、今日からでも子供と接する時間を増やしておこう。
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【実際に「見に行く」】
転職の場合も、子供の受験の場合も、必ずその企業や学校へ見学に行こう。セキュリティが許す場所までは入り、社員や生徒の表情や服装などを観察したり、できれば会話を聞けるとGOOD。
【「同業他社」に話を聞く】
ベストは、受ける企業の社員に話を聞くこと。それが難しい場合は、同業他社に勤める人に話を聞いてみよう。同業他社の人が褒めていた、業界内での評判がいい、といった話は面接官に喜ばれる。
【「社長の著書」を読んでおく】
社長の名前を検索するとさまざまな情報が得られる。社長の著書があれば、必ず読んでおこう。また、雑誌や新聞(とくに業界新聞)などで社長や企業自体が取材されている記事も読むとよい。
【「仕事上のエピソード」を用意】
仕事で努力したこと、失敗し、そこから気づき成長したことなどを、“感情”を含めたエピソードにして、いくつか用意しておこう。とくに感情の伴った話は、あなたの人となりが伝わり、好印象にもつながりやすい。
【「創立者の墓参り」に行く】
子供が受験する学校が私立の場合、創立者について調べておこう。創立者に詳しいことは、学校側から必ず喜ばれる。伝記や著書を読むのはもちろんのこと、できればお墓参りまで行っておくと完璧。
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シリーズ累計100万部超の『会話がとぎれない! 話し方66のルール』著者。TALK&トーク話し方教室代表。教室では、スピーチ・営業などさまざまな話し方を伝授。『誰とでも15分以上 ホントに! 会話がとぎれない! 話し方50のルール』(すばる舎)が2018年9月に発売された。
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(フリーランス編集・ライター 松本 史 撮影=熊谷武二 写真=iStock.com)
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