女子高生がスマホよりプリクラを選ぶ事情

プレジデントオンライン / 2018年12月11日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/D76MasahiroIKEDA)

いまの10代は「写真」とどう付き合っているのか。全員がスマホをもち、どこでも写真を撮れるが、ときには「プリクラ」で撮影することもあるという。ITライターの鈴木朋子氏は「デバイスとともにSNSへの投稿内容が移り変わってきた。新しいデバイスに抵抗がない10代は、Instagram(インスタグラム)とプリクラをうまく使い分けている」という。最新事情を紹介しよう――。

■中学入学を機にスマホを手に入れる

10代のSNS写真というと、どんなイメージをお持ちだろうか。「インスタ映え」に興じてマナー違反を犯してまで自撮りをする女子、アルバイト先でハメを外した写真をTwitterに投稿する「バカッター」などが浮かぶかもしれない。

しかし、インターネットとともに育ってきた10代だからこそ、リテラシーの高さを感じるシーンもある。本稿では、10代のSNSと写真にまつわるカルチャーについてお伝えしたい。

肌身離さずスマホを持ち、24時間友人とネットでつながっている――それが今の10代だ。幼い頃は両親のスマホや家族のタブレットでYouTubeを見て、中学入学を機に自分のスマホを手にする。そしてLINEで友人とつながり、ツイッターやインスタグラムなどのSNSもスタート、という流れが一般的だ。

もちろん家庭の方針でスマホを持つ時期が遅かったり、SNSは高校生まで禁止だったりと、細かな違いはある。しかし、多感な青春真っ盛りの時期にインターネットに触れ、常に写真を撮れる状況にある人がほとんどだ。

■SNSは用途別に使い分け

ではどんなSNSが支持されているのか、総務省の「平成29年版 情報通信白書」の「主なSNSの利用率」を見てみよう。10代の利用率が高いSNSはLINE(男性10代70.8%、女性10代88.2%)、ツイッター(男性10代54.2%、女性10代69.1%)、インスタグラム(男性10代20.8%。女性10代41.2%)となっている。

こちらは2016年の調査なので、インスタ映えが「ユーキャン新語・流行語大賞」で年間大賞を取った2017年前後、インスタグラム人気は上昇しているはずだ(この調査ではYouTubeもSNSのひとつとして入っており、圧倒的な人気だが、動画サービスがメインなのでここでは割愛した)。

LINEとツイッター、そしてインスタグラムは用途別に使い分けられている。LINEは友人や家族との会話がメインだが、今の中学生はタイムラインへの投稿もよく利用する。1対1、またはグループでのチャットは終わりのきっかけがつかめず、いつまでも続くことが多い。また、通話やビデオ通話も無料で使えるため、特に会話もないままつなげている人もいる。

■ツイッターは3アカウントが基本

ツイッターは、いわば自分の公式アカウントのように対外的に広い交流をするために使われる。学校の友人や部活の先輩とつながる「本アカウント」は、誰に見られてもいい無難な投稿が多い。彼らは平均3つ以上のアカウントを持つと言われており、好きなアーティストやゲームのことをつぶやく「趣味アカ」、親しい仲間だけとやり取りする「裏垢」も作成している。学校の友人に自分が好きなアーティストのことをつぶやき続けても迷惑だと考えているからだ。

インスタグラムはフィードにキラキラした日常を投稿する場所だ。食べると中からチーズが伸びるチーズドッグやカラフルな綿菓子など、注目を集めやすい写真を投稿する。最近ではストーリーズというショートムービーが人気で、愚痴やふざけた動画はストーリーズに投稿される。メッセージ機能もよく使われていて、連絡ツールとしての役割も果たす。

ここで気づいた方もいるかもしれない。大人の使い方と10代の使い方は少し異なっているのだ。10代はSNSの特徴をよく理解し、シーンによって使い分けている。知り合いが多いSNSのみに集中しがちな大人よりも、受け手に合わせたSNSをその時々で選択する力にたけているのだ。

■メモを取る代わりにスマホで撮影

SNSへの投稿はデバイスの発達とともに移り変わっている。初期はテキストを投稿し、その後写真が中心になった。今は写真から動画への転換期といえる。この変化はいつでも写真を撮ることができ、すぐにSNSに投稿できるスマホが普及したためだ。

新しいデバイスに抵抗がない10代は、特に写真の使い方がうまい。メモを取りたいときはスマホのカメラで撮影、もしくはスクリーンショットで画面を残す。同様に、LINEの会話や友人のSNSもスクショ(スクリーンショットのこと)で保存している。つまり、「あの人があんなこと言ってたよ」という証拠が画像で残されてしまうのだ。

また、インスタグラムのストーリーズは24時間たつと自動で消えるため、「どうせ消えるから」と気軽な投稿をしやすい機能なのだが、こちらもフォロワーにスクショを撮られ、他の人にシェアされる可能性が大いにある。友達との関係が重要な10代だからこそ、うかつな発言が大問題に発展するかもしれない。そこで、たとえ1対1のLINEでも言葉に配慮したり、残したくない発言は「送信取消」で消したりする人が多い。今の10代は大変な時代を生きているのだ。

■加工でコンプレックス隠し

そして、スマホのカメラといえば自撮りだ。顔に動物の耳を付けたり、目を大きくしたりといった加工ができるアプリ「SNOW」は、2016年にリリースされ、その後爆発的な人気となった。

TT総研が2018年9月に発表した「10代のスマホサービストレンド」では、「10代がほぼ毎日使うライフスタイルアプリ」でSNOWが1位、3位に同じくSNOW社の「B612」がランクインしている。筆者の取材でも、「BeautyPlus」や「Camera360」といった自撮り加工アプリの人気は高く、自分の好みのアプリや好きな加工がそれぞれ決まっている。

人気のあるエフェクトは、目をくりくりと大きくする加工だ。また鼻をハート記号で隠したり、動物の鼻で口元を隠すなど、コンプレックスを感じやすい箇所にイラストが入るエフェクトもよく使われる。また、こうしたいかにも加工した自撮りだけでなく、さりげなく目が大きくなるとか、肌のシワやホクロが自動で消える美顔加工も支持されている。

■スマホのライトを“レフ板”に

ある女子高生は、自撮りをするときは友人たちで暗黙のルールがあるという。

「一人がカメラを構えたら、もう一人がスマホのライトを付けて、下から顔に当てるの。プリクラみたいに盛れるから」

つまり、スマホのライトをレフ板の役割にして、肌を美しく見せるのだ。これは彼女たちの間での常識らしく、違う学校の友人と撮るときに誰もライト係をやらないことに驚いたという。ちなみに、スマホにクリップで装着する自撮り用ライトも販売されているのだが、私の取材の限りでは女子中高生はそれほど利用していないような印象だ。

彼女たちは学校の休み時間や遊びの最中に何十枚も自撮りする。自撮り自体が遊びであり、どれだけ盛れたかが楽しいのだ。自撮りは友達とすることがほとんどなので、全員が盛れている写真を選び、SNSに投稿する。少し前にはやった「変顔」もいまだに健在で、わざと驚いた顔をしたり、アゴを引いて二重顎にしたりといった写真も撮る。

■プリクラは「ハレの日」の楽しみ

プリクラの人気もまだ衰えない。マイナビティーンズラボが発表した「【2018年版】10代女子が選ぶトレンドランキング」では、「流行ったモノ」の7位に「PINKPINKMONSTER」、8位に「これ以上可愛くなってもいいですか」とプリクラ機がランクインしている。無料で撮影できるスマホのカメラと違って、一回400円かかるプリクラは、「ハレの日」に撮影する。例えば、体育祭や文化祭ではおそろいの衣装を手作りするのだが、その全身を記録に残すために、衣装を着たままゲームセンターなどに向かって撮影するのだ。

なぜわざわざプリクラに行くのか問うと、「スマホでは全身が撮りにくいし、足も太く写る」からだという。筆者は女子高生たちのプリクラ撮影に同行したことがあるが、照明が強めに当たるブースで器用にポーズを取り、手慣れた操作で美顔加工を施していた。撮影した写真はシールになるが、それほどシールは重要でなく、メールで受け取る画像データでSNSに投稿している。

自撮りといえば女子のイメージだが、男子もSNOWなどの加工アプリを使って自撮りしている。男子の場合は、自分の友人だけを撮影して、「さらす」ように投稿する特徴がある。さらすというと陰湿に感じるかもしれないが、ふざけて踊っているところなどをみんなで笑おうといった主旨だ。

■カップル写真もSNSに

また、カップルでの写真もSNSに投稿される。ディズニーリゾートでの二人の様子や、プリクラなどが多い。付き合っていることを隠したいカップルは、自分の写真に異性の手を映り込ませるなど、「匂わせ」投稿をすることもある。匂わせ投稿は大人のSNSでも時々見かけるので、心当たりがある人もいるのではないか。

写真の撮影が日常的になっている彼らが次に楽しんでいるものは、動画だ。インスタグラムのストーリーズのように、ショートムービーを投稿できるSNSが流行し始めているのだ。ショートムービーSNSの中でも、音楽に合わせて口パクしたり、ダンスしたりする動画共有SNS「TikTok(ティックトック)」は、いま注目のサービスだ。10代の感度は高いので、SNSの移り変わりも早い。もしまだTikTokを知らない人がいたら、ぜひこの機会にのぞいてみてほしい。SNSが次のフェーズに移る転換期を目の当たりにすることができるだろう。

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鈴木朋子(すずき・ともこ)
ITライター
メーカー系システムインテグレーターのSEを経て、フリーのITライターに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代が生み出すデジタルカルチャーを追い続けている。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など多数。http://tomoko.chu.jp/

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(ITライター/スマホ安全アドバイザー 鈴木 朋子 写真=iStock.com)

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