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どんな相手とも10分雑談できる達人ワザ

プレジデントオンライン / 2018年12月18日 9時15分

写真=iStock.com/iryouchin

人事異動があったり新入社員が入ってきたり、春は社内外問わず初対面の人との会話が多い季節。そこで慌てぬよう、すぐに使える達人の雑談ワザを指南する。
ワザあり!【1】
「目を合わせる」ことで会話の土台づくりをせよ

よく知らない相手との雑談が難しいのは、「話しかけてもいいのか」「どのラインまで話しても大丈夫なのか」という不安が付きまとうからだ。そのため、人事異動で新しい部署に移った場合や、新しいメンバーが部署にやって来た場合などには、「雑談以前」のコミュニケーションをとる必要がある。それが「(遠くから)目を合わせる」という行為だ。

「おはようございます」などと言って入ってきた相手に対して、席についたまま優しい視線を投げる。ジロジロ見るのではなく、「はじめまして」「よろしくお願いします」という気持ちを込めて、軽く目礼する。この手順を踏んでおくだけで、会話のハードルはずいぶん低くなる。まだ話したことはなくても、「1度アイコンタクトをした(=コミュニケーションをとった)相手だから、今後何かあれば気軽に話しかけてもいいのだな」とお互いに安心できるのだ。

よく、部屋全体に「おはようございます!」と言って入室する人がいるが、これではコミュニケーションをとったうちには入らない。マナー違反でないだけである。雑談を円滑に進めたいなら、「個人に対して挨拶する」のが基本だ。

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もちろん、遠くからアイコンタクトするだけでなく、席まで「よろしくお願いします」と挨拶をしに行ってもいい。さらにお互いの安心感が増すだろう。

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ワザあり!【2】
軽い「私ネタ」を挟めばどんな話も盛り上がる

天気の話題はどんな人にも共通する便利なネタだ。しかし、雑談が苦手な人は「こんな話では盛り上がらないかもしれない」と怖がって、結局何も話さないことが多い。話が続かない原因は、情報のやりとりに終始して「私とあなたの人柄がわかる(興味深い)話」になっていないから。ネタの問題ではないのだ。

まず肝に銘じてほしいのは、「人は人が好き」という事実。人は無意識に「相手はどんな性格なのか」「どんな暮らしをしているのか」「どんな人間関係があるのか」を知りたがっている。そのため、注目の時事ネタでも天気の話でも、「いい天気ですね。だから私は……」に続く部分にどんな「私ネタ(パーソナリティー)」が垣間見えるかがカギとなる。

たとえば「~こんな日は仕事を早く切り上げてお花見にでも行きたいです」。もしくは、「~でも、晴れると花粉症がひどくて」。すると相手も、「私は昨日さっそくお花見をしましたよ」と答えたり、「実は私も花粉症で……」と共感したりするだろう。人柄に触れるたび、相手は親近感を募らせていく。雑談に「私ネタ」を織り込むのは、印象をアップする意味でも有効なのだ。

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コミュニケーションをとるための雑談では、難しい話は不要だ。うんちくを語るのではなく、プライベートな話題を織り交ぜよう。

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ワザあり!【3】
「リアルに想像」して相づちを打つべし

「相手が自分の話を退屈せずに聞いている」という感覚は、何より話し手を安心させる。そして、その安心感こそが次の話題を引き出す引き金になる。「心配せず何でも話していいのだ」「この人なら何でも受け止めてくれる」と感じさせるために必要なのが、「ちゃんと頷く」「いいリアクションをとる」という基本的な行為だ。注意して見ていると、「ふーん」「そうなんだ」などと薄い反応をする人はかなり多い。

この手の人たちには、「雑談を自分の力で盛り上げるのだ」という意識が欠落していると言っていいだろう。いいリアクションをとるために必要なのは、相手の話を「はっきり具体的に想像しながら聞く」ということ。

たとえば「ラーメン屋に15分もかけてランチを食べに行ったら休みだったんだよね」と言われたら、楽しみにしながら15分以上かけて歩く姿を想像する。さらに、店に着いたら「本日定休日」の張り紙があるシーンまでも思い浮かべる。すると、「せっかく遠くまで行ったのに残念でしたね!」「それは凹みますね~」という本心からの相づちが打てるのだ。「聞き手」には想像力が求められていると心得よう。

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相手がもっと話したくなるような「いいリアクション」は、単なるオーバーリアクションではない。想像力がカギなのだ。

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ワザあり!【4】
「オウム返し」は気持ちが動いたとき限定で

巷の雑談の本では「オウム返しが最良の相づち」かのように書かれているが、そうではない。興味もない話題に言葉だけ返しても、相手には「わかってもらえた」という実感がわかないからだ。また、オーバーにリアクションするほど白々しくなってしまう。人は、相手の表情や声のトーンから、思っている以上にいろいろなことを感じとるからだ。

とはいえ、すべてのオウム返しが悪いわけではない。本当に大きく感情が動いた瞬間のオウム返しであれば、相手は「わかってくれた!」と喜び、気分がよくなって、もっと話したくなるはずだ。たとえば、「最近ゴルフにハマってるんですよ」と言われて「ゴルフですか」とただオウム返しするのはNGだ。「実は自分も先月はじめたばかり」などタイムリーな共通点でもないかぎり、いささかやりすぎ感が出てしまう。

しかし、年配の男性から「最近お菓子作りにハマってて」と言われれば、「お菓子作るんですか!?」と素直に驚きの声が出てくるだろう。これがオウム返しのOKパターン。会話のテンポを乱さないためにも、「お菓子~!?」「ゴルフ~!」など、できるだけ短めにするのがコツである。

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オウム返しの多用はご法度。「ふんふん」「それでそれで?」「ホントに!?」など、相づちのバリエーションを用意しよう。

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ワザあり!【5】
相手の「人柄」が引き出せる質問をせよ

機械的に会話を続けようとすると、5W1Hで表せるような「情報」のやり取りに終始しがちだ。たとえば「映画を観た」と言われたら、「何を観ましたか?」「誰と行ったんですか?」「どこの映画館?」などなど。これらの問いには単語レベルで回答できるので、一問一答のように話がぷつんと途切れてしまう。もちろん導入はそれで構わないのだが、さらに相手の人柄に踏み込んだ質問をすると、グッと会話が続きやすくなる。

たとえば「映画を観て泣くほうですか?」「恋愛、シリアス、ファンタジー、どんな映画がお好きですか?」「映画館でのお口のお供はなんですか?」など。この手の質問には、「子どもができてから家族モノに弱くてね」「実はこう見えてファンタジーものが好きで、恐竜が出てくる映画は必ず観に行くんですよ」など、まとまった「エピソード」が返ってくる。

そこでいいリアクションをしたり、さらに踏み込んだ質問をしたり、時には「私の場合……」と私ネタやちょっとした感想を挟んでみたり。ここまでくれば、お互いの人柄に関する情報交換ができるので、心の距離もグンと縮まる。

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「相手の人柄を知る」ことを会話の目的にすると、自然といい質問ができる。雑談が苦手な人は、相手の人柄に一歩踏み込む勇気を持とう。

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ワザあり!【6】
「短いセンテンス」で想像力をかき立てよう

テッパンの「すべらない話」もあるが、重要なのはネタよりも話し方だ。話し下手な人の多くは一気にオチまで話してしまう。しかし、はじめてその話を聞く相手は、一息に話されると想像力が追いつかない。「イメージする」という行為には意外と時間がかかるからだ。すると、どんな面白い話も色あせてしまう。

面白い「話し方」の基本は次の3つだ。1.聞き手が情報を整理できるよう、出来事や場面を細かく区切る。2.話しはじめを2秒ほどあけるなど、「間」のとり方に気を付ける。3.相手がきちんと想像できているか、アイコンタクトをとって確認する。

営業マンの中にも「立て板に水」の話し方をする人がいるが、自信満々に見えて成績にはつながらないことが多い。それは、説明を聞くお客様を置いてきぼりにしているからだ。真のデキる営業マンは、お客様にも相づちを打たせる「間」をつくって、想像力をかき立てている。もし相手がこの手の話し方をはじめたら、「ここまではわかりました。ここから先の説明をお願いします」と交通整理をしよう。真剣に聞こうとしているとわかれば、相手も嫌な気はしないはずだ。

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1度に話していい事柄は多くても2個程度。早口でまくしたてれば「流暢に話すな」と感心されるかもしれないが、相手が話に追いつけなくなる可能性大。

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ワザあり!【7】
心の距離が縮まる「失敗談」を恐るるなかれ

失敗談など「自分を落として笑いをとること」に対して抵抗を覚える人もいるだろう。特に、雑談の相手が取引先や、自分を評価する立場の上司だったりすると「こんなみっともない話をしたら、自分の評価が下がってしまうのではないか」と心配になるのだ。

しかし、相手が引くほど突飛な内容だったり、犯罪に関係する話だったりしないかぎり、人は会話の内容だけで他人を評価したりはしない。たとえば、「地図が読めなくて、ここに来るまで3回も道を聞いちゃいました」と言われても、時間通りに到着していれば「しっかりした人だな」と感じるし、「奥さんに頭が上がらなくて」と言われても、仕事ぶりがきちんとしていれば「頼りない」とは思われないのである。

むしろ、失敗談には人の「かわいらしい一面」を引き出す力があるので、相手に「好かれたい」と思うなら積極的に話したほうがいい。相手の緊張をほぐし、親しみを感じてもらう意味でも有効だ。中でも、既婚男性の「奥さんの尻に敷かれている話」や、アラサー独身女性の「ちょっとモテない話」などは、共感を持って聞いてもらえるテッパンネタだと思っていいだろう。

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「この人がこんな失敗を!」という驚きは、好感を持って受け入れられることが多い。後輩に慕われたい上司も積極的に話そう。

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ワザあり!【8】
共感できる「プチ怒りネタ」で一体感を醸成せよ

「私ネタ」の中でももっとも場が盛り上がるのは、日常で感じた「ちょっとムッとした話」「悔しかった話」である。それらは「あるあるネタ」の中でも特に強い共感を誘う感情なので、いったん「わかる!」と共感されれば、相手からもどんどんエピソードが飛び出すだろう。「ひどいね」「悔しいね」と共感し合えば、興奮度も高まり、一体感も醸成される。

もちろん、あまりにも「プチ怒りネタ」ばかりが続けば、「割と怒りっぽい人だな」「愚痴っぽいな」と評価されてしまうかもしれないが、笑えるレベルさえ保っていれば、品格に傷がつくことはない。「ちょっと聞いてくださいよ。こんな腹の立つことがあったんです」と話しかければ、どんな「プチ怒り」で共感を誘ってくれるだろうかと、相手も期待して話を聞いてくれるはずだ。

ただし、途中で曖昧な相づちを打たれたら、それは「あまり共感できない」「これ以上踏み込んでほしくない」という相手からのサインだ。深追いせず、さっさと話を切り上げよう。雑談は、後味の良さが肝心。ある程度ネガティブな話題の場合、相手の反応には敏感に。引き際を見極めるのも大切なことなのである。

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家族や共通の知り合いの話は、共感を誘う「プチ怒りネタ」の代表格。逆に、同じ部署の人への愚痴などは控えたほうが無難だろう。

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野口 敏(のぐち・さとし)
グッドコミュニケーション代表取締役
TALK&トーク話し方教室主宰。著書に、90万部超のベストセラー『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方』シリーズほか、『誰とでもスッとうちとけて話せる!雑談ルール50』など。

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(グッドコミュニケーション代表取締役 野口 敏 文=大高志帆 撮影=藤木潤一 写真=iStock.com)

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