1年間お互いの通帳を隠し通す夫婦の末路
プレジデントオンライン / 2018年12月14日 9時15分
■年に一度だけ貯蓄状況をクロスチェックすべし
共働きの場合、それぞれの口座に給与が振り込まれるため、お互いに相手の口座残高を把握できないのが通常です。
しかし残高把握をしないまま何年も経過してしまうのは、良い状態とはいえません。どうしても貯蓄目標が達成できなかった年があっても、それを相手にカミングアウトできないまま何年もたつと、「本来は100万円残高が増えているはず」の口座にまったく残高が増えていないということもあり得ます。
どうしてもうまく貯められない時期があることは仕方がありません。残業代があまり出ない時期や景気が今ひとつでボーナスが少ない時期もあるからです。白物家電の買い換えなどのタイミングで出費がかさむこともあるでしょう。
ただ、問題の共有がされないまま時間が過ぎて、「貯めていたはずの100万円が今必要になる」ときがやってきたとしたらどうでしょうか。住宅購入の頭金のように、「準備額を減らして購入する」「購入タイミングを少し遅らせる」のような選択肢が取れればけんかだけで済みますが、子どもの入学金や予備校の費用のように「今、払わなければいけないお金の不足」として問題が顕在化すると、さらに話はややこしくなります。
貯蓄状況はときどき共有して、お互いの進捗状況を確認しあうことが大切です。
■年に一度はお互いの預金残高を開示しあう
毎月残高を見せあうのは現実的ではありませんが、年に一度くらいは確認したいものです。ベストなタイミングは年末だと思います。年末に会社からもらう源泉徴収票で「年収」がわかります。また、貯蓄額の未達があっても、冬のボーナスを使えばある程度カバーできるからです。「あなたはボーナスから使えるおこづかい枠が減るけど、毎月ちゃんと貯めていなかったんだから、しょうがないわね」というわけです。
家計簿アプリを継続して記帳している場合、各種口座と連携する機能を持っているならチェックは簡単です。起動画面から口座ごとの資産総額について表示された画面を見せあえばそれで終わります。口座が貯蓄専用口座になっているなら、昨年末との残高対比で確認するだけでもっと簡単です。もしそうでないなら、各金融機関のウェブページにログインするか、アプリからログインして残高を提示することになります。通帳を記帳しにいってもいいでしょう。
見せ方のルールは夫婦ごとに決めればいいと思います。履歴を残していくかはそれぞれの好みに応じて設定してください。ある夫婦は、簡単なエクセルシートを作って横軸を各年とし、縦軸に夫婦それぞれの「今年の年収」「貯蓄目標額(ないし率)」「昨年末貯蓄額」「今年末貯蓄額」「今年の貯蓄額」「今年の貯蓄率」をそれぞれ一列ずつ記入するような簡単な財産簿を作っています。
投資をしている場合は、口座の内訳を作って「銀行口座残高」「銀行口座への積立額」「証券口座残高」「証券口座への積立額」をさらにわけてもいいでしょう。
なお証券口座やNISA、iDeCoを使っている場合は、それぞれのサービスにログインすることで残高確認ができます。
■「貯蓄目標」実現したら夫婦でお互いを褒め合いたい
お互いに貯蓄目標を実現できたら、まずは夫婦でお互いにがんばったことを褒め合いたいところです。もし貯蓄目標が実現できていなかった場合は、未達になってしまった理由を説明し、相手の理解を得ます。
年収が昨年より減少した場合、「率」では達成できても「額」では未達になってしまうことがありますが、やむを得ません。一方で年収が大きく変化しなかった場合や増えていた場合、未達は本来おかしいはずで、原因を考えて対策(定期的な積み立ての増額がもっとも強力な対策になる)を立てます。
次に、翌年の年収についての見込みを検討します。年収が増えそうか減りそうか、また変化があまり想定されないのか、それぞれの予想を話し合います。昇給が見込まれる場合は貯蓄目標について額面ベースでは上方修正されることに注意が必要です。
また下がる可能性がある場合(例えば産休・育休に入るなど)、それはどのくらいの減少でどのくらいの期間が想定されるのかを考え、「貯蓄はストップするのか」「それ以上に下がるため取り崩しも考える必要があるのか」など課題を整理します。
翌年に大型出費が見込まれる場合は、そうした出費の時期と金額水準について話し合い、どちらの残高から捻出するのか(あるいは折半するのかなど負担割合)を相談しましょう。
■白物家電買い換えなど大型出費を見込んでおく
例えば、
・家賃の更新料
・引っ越しの諸費用
・住宅購入費用(頭金および諸費用)
・子どもの塾や予備校費用
・子どもの受験費用、入学金、学費
・旅行費用(時期、場所、予算規模)
・白物家電買い換えなどの費用
・冠婚葬祭等費用 ほか
以上のような出費を見込んでおくと、そのつど焦らずに済みます。大型出費がある場合は、貯蓄目標を維持しても貯蓄残高が減少することになるはずですから、「今300万円ある貯金額に月2.5万円の積み立てをするが翌年に60万円の支出が見込まれるので、年末の残高見込みは270万円くらいに落着すると思う」のような予測の数字があれば、残高が減っても焦らずに貯蓄計画を続けていけます。
■4月の年収増やボーナス増は貯蓄額に反映させること
年末のチェックだけでは反映できない要素もあります。
昇格昇給や年齢給の反映による賃上げなどは、4月(ないし数カ月後)に分かることが多いと思います。これについては月数千円程度であればあまり大勢に影響しませんが、月数万円以上の昇格昇給の場合、貯蓄目標が年数万円の単位でアップすることになります。年収が上がったほうは「昇格昇給のお祝い」をしたあと、昇給分を貯蓄額アップにも反映させておきたいところです。
ボーナスについても最近は変動が大きくなっています。企業の多くは個人の業績だけではなく、チームの成績や会社全体の業績にボーナスを連動させる傾向が強まっていて、景気によってボーナス額が大きく変動することも珍しくありません。
ボーナス依存で年間貯蓄額を実現しようとするのは危険だとすでに説明しましたが、最近の共働き夫婦はボーナスの激しい増減にマネープランが振り回されるようになっています。
ボーナスからの支出についてはどうしても必要な範囲にできるだけ抑えて、またボーナスがたくさん出たときは将来ボーナスが減る時期も考えて、お金を貯めていく意識を持ちたいところです。
特に住宅ローン返済にボーナスも組み入れている場合、「会社が赤字局面のためボーナスは給与1カ月分」などと発表されると、返済すらおぼつかないことになってしまいます。子どもの学費もボーナス依存を強めていると支払いに窮します。ボーナスを活用することは現実的に避けようがないのですが、依存の度合いを強めすぎないようにしておきたいものです。その他、転職をした場合も年収の増減が貯蓄目標の増減に直結します。転職前後の数カ月は貯蓄の余裕もなくいろいろな出費がかさむこともありますが、特に年収増の転職が実現した場合は貯蓄額のアップにもきちんと反映させておくといいでしょう。
(企業年金コンサルタント/ファイナンシャル・プランナー 山崎 俊輔 写真=iStock.com)
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