高学歴なのにダメな人は、なぜダメなのか

プレジデントオンライン / 2019年3月21日 11時15分

社会とつながり、自分という資源を何に使うかの工夫が大切だ。(PIXTA=写真)

人間の能力を測る方法にはいくつかある。代表的なものとしてすぐに浮かぶのは、「知能指数」だろう。

「知能指数」を計算するためには、まず、標準的なテストを受ける。そして、その結果を他の人と比較して、計算式に従って算出する。

ここで求められているのは、とにかく、決められた時間の中で、できるだけ多くの問題を正確に解くという「処理能力」である。どれくらい集中できるか。問題解決という目標に向かって、脳の計算資源をどれくらい総動員できるかが求められている。

ところが、私たちの実際の仕事や生活の場における能力発揮のあり方は、このような「テスト」で求められる能力とは随分違っている。

1つには、「人格」ということがある。人格の評価の仕方にはいろいろあるが、1つのやり方は、本人が時間や集中力などの資源を、どのように配分するのか、その傾向で評価することである。

世の中には、もともとのポテンシャルは高いのに、なぜかサボってしまっている人がいる。あまり仕事ばかりに熱中しないで、プライベートを充実させたり、趣味に走っている人がいる。一方で、自分の能力を目いっぱい使って仕事をしている人もいる。プライベートは犠牲にして、とにかく仕事に尽くす。友だち付き合いもあまりしない。そんなタイプの人もいる。

一見サボりタイプの人と、仕事熱中タイプの人を部屋に閉じ込めて、「よーいドン」でテストをしたら、ひょっとしたらサボりタイプの人のほうが高い成績を収めるかもしれない。

しかし、私たちの生活は複雑で、毎日テストをしているわけではない。さまざまな方程式の中で、それぞれの人が人生を探っている。

仕事をサボっている人は、実はプライベートが充実していて、全体的な幸せ度は高いかもしれない。社内で昇進しなくても、ご本人は満足かもしれない。

しかも、プライベートの充実が、思わぬ形で新しいビジネスや生活の展開につながるかもしれない。会社での仕事だけに邁進することが必ずしも「最適解」ではない点に、人生の面白さがある。

私たちが人生で直面している問題は、テストの答案を効率よく解答することではなく、むしろ、生活の中の無限の可能性の中で、資源の配分を工夫することである。

そこに、自分の人格が出てくる。たとえば、リスクを取るのが得意かどうか。他人と共同作業をするのが好きか。趣味と仕事のバランスをどうするか。そのような数多くの人生の「経営課題」に、私たちは日々直面している。

鍵になるのは、自分の能力を部屋に閉じ込められての「テスト」の解答ではなく、周囲に開かれた「ネットワーク」の中で捉えること。

「単独脳」ではなく、「ネットワーク脳」としての働きが、仕事や生活においては成功や幸せの鍵になるのである。

学校の成績と仕事の成果が必ずしも関係しないのは、実社会は単独脳ではなくネットワーク脳が活躍する場所だからなのだ。

あなたの周りには、ネットワーク脳がすぐれた方はいないだろうか? もしいたら、じっくり観察して、参考にしたほうがよい。

ネットワーク脳は、転職や定年退職など、仕事環境の変化にも強い。ネットワークを活かして、うまくソフトランディングできるからだ。

(脳科学者 茂木 健一郎 撮影=横溝浩孝 写真=PIXTA)

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