"心筋梗塞・心筋症"は40代でも発症する
プレジデントオンライン / 2018年12月23日 11時15分
※本稿は、「プレジデント」(2017年1月2日号)の掲載記事を再編集したものです。
▼若年性心筋梗塞・拡張型心筋症
【循環器内科】
どちらも40代から発症。生死のカギは1時間以内の救急処置に
心筋梗塞は1979年からの調査では発症時の平均年齢は男性が65歳、女性が75歳だった。しかし近年、食の欧米化などを背景に40代、50代で発症する「若年性心筋梗塞」が増えているという。
「心筋梗塞は動脈内のプラーク(血管のコブ)が破れ、血栓(血のかたまり)になり、血管を塞ぐことで発症します。食生活が変化して若年で動脈硬化になるケースが増えた影響で、心筋梗塞の発症も低年齢化しているのです。高血圧や糖尿病などの持病をお持ちで、喫煙を継続している人はさらにリスクが高い」
心筋梗塞の主な症状は、胸部の激しい痛みや息苦しさ、冷や汗や吐き気。場合によっては呼吸困難も伴う。痛みが弱い場合もあるが、心臓に異常な症状が出て、それが30分以上続くようであれば、心筋梗塞の可能性が高い。50歳未満では、女性に比べて男性の発症率が10倍と高いのも特徴だ。
心筋梗塞は発症から1時間以内の救急処置が回復の鍵になる。心停止を起こす場合もあり、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)で蘇生施術の必要がある。
発症後は軽症でもカテーテル治療などにより、塞がった血管を開通する処置をとる。最近では、心筋梗塞とストレスの関連性も指摘されるようになってきた。
「ストレスがかかると、脳が刺激を受けて様々なストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンは血圧や心拍数を上昇させ、血液を送り出す心臓に負担をかけ、また血液の粘稠(ねんちゅう)度も上げるなどして、心筋梗塞を起こしやすくします」
ストレスによって悪化しやすい心臓の病には、「心筋症」も挙げられる。心臓が全身に血液を送る際に使う筋肉である「心筋」がうまく収縮や拡張ができなくなる疾患のことを指す。頻度が高いのは「肥大型心筋症」と「拡張型心筋症」だが、中年の男性の症例が多いのは拡張型心筋症だ。
拡張型心筋症は、心臓の筋肉の収縮する能力が低下し、次第に心臓が拡張する難病の1つである。症例の約7割は男性で、基本的には先天的に発症の要因を持っており、それに加えて高血圧や糖尿病などの生活習慣病が関わって症状が出るケースが多い。
「発症は40代や50代。しかし、心機能の低下自体は20代から始まっています。心機能が低下し始めた段階から内服治療を行うのが望ましく、心室細動などによって突然死のリスクが高い場合や心機能の低下が進んだ場合には、植え込み型除細動器や心臓再同期療法など医療機器による治療を行います。最も病状が重い場合には、心臓移植が必要になります」
一般的な健康診断では確認できないため、発見の難易度は高い。調べるには、血液中に含まれるBNP値(※)あるいはNT-pro BNP値を測り、心臓の健康度合いを見る方法がある。
これらの疾患を含め、心臓に関する病を発症した後は、内服による薬物療法や生活管理が必要になる。週3回30分以上の運動をし、塩分摂取量は1日6グラム未満に抑えること。また、動物性脂肪なども摂りすぎないようにしたい。
※心臓の状態を示す値
【初期の症状、予兆は?】
運動をした後に、動悸や呼吸困難が起こったら要注意。
【典型的な症状は?】
進行すると、就寝中に目を覚ますほどの息苦しさを覚え、手足の冷えが出る。
【最悪どうなってしまう?】
重症化すると食欲低下や不整脈が起こり、最悪の場合には急死。
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![](https://president.jp/mwimgs/b/e/-/img_be3cdc4f80e2f0b120732d2e084efddc13058.jpg)
国立循環器病研究センター病院心臓血管内科部門部長
慶應義塾大学卒業後、慶應義塾大学病院、カリフォルニア大学サンディエゴ校などで臨床と研究に従事。2011年より現職。
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(ライター 吉田 彩乃 撮影=松林真幸 写真=iStock.com)
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