全国37医師を訪ね「がんを消した」実話
プレジデントオンライン / 2018年12月24日 11時15分
■近所の耳鼻咽喉科は“扁桃周囲膿症”と診断した
夢を持つ人を応援する研修や講演などで活躍中の福島正伸さん(アントレプレナーセンター代表取締役)が、喉の不調に気づいたのは今(2016年)から3年前、54歳のときだった。
痛みや違和感が数日たっても消えず、ついには首のくびれがなくなるほど大きく腫れてきたのだ。近所の耳鼻咽喉科で診断された病名は“扁桃周囲膿症”。点滴治療を受け、「しばらくすれば治る」と言われたが、3カ月たっても腫れはおさまらない。福島さんは再び同じ医師のもとを訪れたが、診断は同じ。「これは何かが違う」と感じた福島さんは、「ほかの病院でセカンドオピニオンを受けたい」と医師に申し入れる。
実は福島さんは以前、3つの病院で問題なしと言われたあと、4つめの病院で胆石とわかり、緊急手術で一命をとりとめたことがある。それ以来、病気に関しては自分の感覚を大切にしていたのだ。
耳鼻咽喉科の医師の紹介状を持って訪ねた大病院で、福島さんはステージ1か2のがんと診断された。がんと言われた瞬間、福島さんは、「これからはもう無駄なことに費やす時間はない」とスッキリしたという。
大病院の医師は手術を勧めたが、手術後の社会復帰は不可能だという。福島さんは手術を拒否した。
「手術を断ったときは、医師から『あなたは頭がおかしい。半年か1年後には取り返しのつかないことになりますよ』と言われました」(福島さん)
手術に代わる治療法として選んだのが「陽子線治療」である。がんと診断されたときのために、奥さんが調べておいてくれたのだ。
■37カ所を訪ねた結論は「がん治療に正解はない」
放射線の一種である陽子線をがん細胞に照射する陽子線治療は、人体に負担の少ない最先端の治療法として近年注目されている。ただし大規模な設備が必要なので、治療を行っている病院は日本に10カ所しかない。
福島さんはそのうち5カ所から、「あなたのがんは陽子線治療には適さない」と断られてしまう。それでも福島さんは望みを捨てず、三大治療(手術、放射線、抗がん剤)はあくまでも最後の手段としてとっておき、陽子線治療をしてくれる病院や三大治療以外の治療法を徹底的に調べ続けた。「がんが急に大きくなることはない」と自分に言い聞かせつつ、訪れた病院・医師の数は37。
「これだけの数をまわりましたが、どの医師もみな言うことが違う。しかしそれも当然で、それぞれ専門とする治療法が違うからです。結局わかったのは、がん治療に正解はないということでした」(福島さん)
■サプリメントや食事療法などを片っ端から試した
がんは生活習慣病である。がんになった原因は人それぞれであり、体質が違えば適した治療法も違うのだ。それなら患者がみずから病気について調べ、自分で治療法を選び取るしかない。「つまり、がん治療は情報戦なんです」と福島さんは断言する。
はじめのうちはがんであることを周囲に伏せていた福島さんだったが、「がんになったので治療法を調べている」と自分から告げるようにすると、「実は私の家族もがんになって、そのときはこうでした」「いいお医者さんを知っています」というように、たくさんの情報が寄せられるようになった。想像以上に、がんを病む人は多かったのだ。そうやって得た情報をもとに、患部を温める温熱療法、サプリメントや食事療法などを片っ端から試した。
「どの治療法もすぐに明確な効果がなかったため、継続できる治療として、比較的費用が安いものを続けました」(福島さん)
■「探し続ければ『治せる』という医師は見つかる」
最終的に福島さんは鹿児島県の指宿にある陽子線治療センターで治療を受けることができた。がんと診断されてから6カ月がすぎていた。福島さんは陽子線の副作用が強く出る体質だったため、痛みと戦う壮絶な闘病生活となったが、おかげでがんは消え、今のところ再発はない。仕事も普通にできるようになった。福島さんは笑顔で語る。
「『このままでは助からない』とか、『あと◯カ月です』というような医師は信じなくていい。探し続ければ『治せる』という医師は見つかります」
(ライター&エディター 長山 清子 写真=GettyImages)
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