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齋藤飛鳥が「本当に好きな本」を隠すワケ

プレジデントオンライン / 2018年12月20日 9時15分

(写真提供=毎日放送)

アイドルグループ「乃木坂46」のエースとして注目を集める齋藤飛鳥。女性ファンも多く、今年だけで20を超える雑誌の表紙を飾った。「人が多いのは得意じゃない」と語り、休憩時間は一人で読書をする齋藤が、グループ初の上海単独公演で見せた素顔とは――。

■「私でいいんですか」と控え目な初日

今やテレビ・映画・雑誌など各方面で見ない日はない大人気グループ、乃木坂46。白石麻衣・西野七瀬とともに人気3トップを形成し、グループのエースとして注目を集めるのが20歳の齋藤飛鳥だ。

ドキュメンタリー番組「情熱大陸」では、トップアイドルとして多忙な日々を送る齋藤の40日間に完全密着。これからのグループを担う胸中や、アイドルらしからぬ意外な素顔が明かされた。

(写真提供=毎日放送)

齋藤飛鳥はこの8月で20歳になった。その魅力はマスクで顔が覆われてしまうほどの小顔と、抜群のプロポーション。単独の活躍も目覚ましく、今年だけで20を超える雑誌の表紙を飾り、CMや映画にも進出している。

それでも取材初日の第一声は、「私でいいんですか?」と、あくまで控え目だった。

【齋藤】「高校は通信制だから通ってはいなくて、中学校と小学校は地元に行っていたけどほぼ通学はしていないです。小学5、6年生になって自我が出だした頃から、学校そのものが得意じゃないことがわかって行かなくなった」

■休憩時間は一人で読書

決して社交的ではなく、人の上に立つなんてもってのほか。だが今や乃木坂46の中心的存在だ。間近に迫った初の海外単独公演では、予定される31曲中、11曲のセンターを任されている。

リハーサル合間の定位置は決まって端っこの齋藤。「人が多いのは得意じゃない。すぐ端っこに行っちゃうんです」と笑う。休憩時間には一人で読書をしている。そんな齋藤は、同じメンバーの白石麻衣とCM撮影に臨んだ際も“らしさ”全開だった。

2人は共に結成当時からのメンバーだが、当初からグループの中で輝いていた6歳年上の白石とは違い、齋藤は遅咲きと言っていいだろう。

■謙虚すぎる発言は自信のなさの裏返しか

(写真提供=毎日放送)

尊敬する白石に、「これからの乃木坂を引っ張っていく存在になって行くのは飛鳥だと思うんですよ」と太鼓判を押されると、「う~ん……」と鈍いリアクションの齋藤。

【齋藤】「ありがたいんですけど、見る人が気になるのはこっち(齋藤)じゃなくて、こっち(白石)なんです」

【白石】「謙虚過ぎるんだよ……いい意味でね。めちゃめちゃ謙虚(笑)」

(写真提供=毎日放送)

「本当に好きな本は誰にも言わない」

この日、齋藤は乃木坂46の公式アプリ発表会見のため、台湾にいた。宿泊先のホテルを訪ねると、読書家の齋藤が読みかけの本を見せてくれた。本のタイトルを聞くと、「えーそれは言わないですよ、天才たちが落ちぶれていく話」とだけ言って笑顔でかわされた。

【齋藤】「好きな本を聞かれても、いつもパターンを決めてて、こういう人にはこの本、と答えるようにしている。本当に好きな本は誰にも言わない」

本当の自分は、明かしたくないのだ。けれど、アイドルとして走り続けてきた7年間を振り返ると、つい本音がこぼれる。

【齋藤】「アイドルらしいアイドルにならないといけないなと最初の数年間は思ってました。でもだんだん、選抜に入れないことが続いて、うっすら自分に問題があることにようやく気づいて、じゃあ別のキャラクターにならなきゃいけないなと思って、なんか毒舌みたいに言ったり、なんかちょっと“中二病”みたいなことを言ったりしてました」

「でもその頃には他のみんなもそれぞれのキャラが定着しているから選択肢がなくて、いいやと思って、頑張らなくというか、あまり無理しなくなった」

無理をしない自然体のキャラクターは、個性重視のアイドル界で、むしろ際立っているようにも見える。

上海公演で背負ったメッセージ

(写真提供=毎日放送)

そんな齋藤が中心となる、グループ初の海外単独公演(上海)が目前に迫っていた。齋藤はミャンマー人を母親にもつ。アジア展開を担う中心メンバーとしての期待がかかっていた。

だが、齋藤には自分が中心になるという喜びよりも先に、気がかりがあった。デビュー以来、7年間苦楽を共にしてきた西野七瀬が年内いっぱいでの卒業を発表しているからだ。重要な部分のトークや締めの挨拶は自分ではなく、西野にこそふさわしい。齋藤は珍しく、スタッフに自分の意見を伝えた。しかし、制作スタッフは首を横に振る。

【制作スタッフ】「このメッセージは飛鳥に背負ってほしい。われわれが海外に出ることで世界中にわれわれの文化を広げられるように努力したいということを、自分の言葉で飛鳥に語ってほしい」

個人の感傷を仕事に持ち込むべきではないことは自分でもわかっている。しかし自分の気持ちとは裏腹に、周囲の期待が膨らんでいく。期待されることはうれしいが、今回は素直に喜べなかった。

【齋藤】「いつもは何も意見は言わないんですけど、今回は大事な海外公演一発目だし、なな(西野七瀬)の最後が近いし……」

不安を拭うためだろうか、一人端っこで振り付けの確認に没頭する齋藤。「本当にお客さんが入るのかな」などと、つい弱音を吐いてしまう……。

■自分の言葉で気持ちを語った締めのあいさつ

(写真提供=毎日放送)

しかし、そんな心配をよそに、会場前には1万人を超えるファンが押し寄せ、熱烈な飛鳥ファンが渾身のエールを送る。

上海ライブの幕が開くとそこには本番前の自信なさげな彼女の姿はなく、乃木坂46・齋藤飛鳥としてステージのセンターで輝く姿があった。そして締めの挨拶では、自分の言葉で、今の気持ちを見事に表現してみせた。

ライブ終了直後の齋藤に近寄ってみると……

【齋藤】「すごく楽しくて、ライブ好きなんでいつも楽しいんですけど、きょうは特に楽しくて、なんか。うーん……ダメかもしれない」

言葉を詰まらせ、カメラに背を向ける。初の単独海外公演で予想を超える喝采を浴びたライブ直後の興奮。まもなく卒業する仲間のこと。齋藤飛鳥の胸の中にはさまざまな感情が膨れ上がっていたに違いない。

けれど、涙を拭い、振り返った齋藤は、もう笑顔だった。

【齋藤】「なんでもないです。なんでもない」

やっぱり本当の自分は内緒にしておきたいようだ。トップアイドルとして生きる齋藤飛鳥の第二章。そろそろ「私でいいんですか」なんて、言えなくなりそうだ。

「情熱大陸」はスポーツ・芸能・文化・医療などジャンルを問わず各分野で第一線を走る人物に密着したドキュメンタリー番組。MBS/TBS系で毎週日曜よる11時放送。MBS動画イズムで無料見逃し配信中。過去の放送はこちら。https://dizm.mbs.jp/title/?program=jounetsu

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齋藤飛鳥(さいとう・あすか)
乃木坂46・アイドル
1998年東京出身。日本人の父とミャンマー人の母を持つ。13歳の時に乃木坂46の1期生としてグループ加入。マスクで顔が覆われてしまうほどの小顔の持ち主で、その抜群のプロポーションで雑誌『Sweet』のレギュラーモデルを務めるほか、テレビ・映画・ラジオなど活躍は多岐にわたる。読書好きで好きな小説家は貫井徳郎と安部公房という文学好きな一面も。

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(「情熱大陸」(毎日放送))

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