悪い遺品整理業者が親の家で堂々やること
プレジデントオンライン / 2019年1月2日 11時15分
■請求はざっくり。後で手のひらを返す
遺品は故人をしのぶ大事なよすがだ。しかしいつまでも所有しているわけにもいかない。だからといって自分たちで片付ける暇もない。そこで遺品整理業者に処分を依頼することになる。ところがこれは、さまざまなリスクをはらんでいるのだ。
よくあるトラブルは、「片付け一式◯◯万円」といったざっくりした見積もりしか出さず、実際の作業が終わると、追加で高額な請求をしてくるケース。こんな業者に、片付け当日になってから「これもついでにお願い」と見積もりにないものの処分を頼んだりしたら、格好の言い訳を与えることになる。見積もりは必ず明細を確認しておこう。親切な業者であれば、遺品ごとの処分費、一般廃棄物処理場の利用費、人件費など、詳細を提示してくれる。
遺品を片付けていると、通帳や現金が出てくることも少なくない。ほとんどは数万円程度だが、かつてヘソクリで隠していた4000万円の現金が出てきたこともある。悪徳業者であれば、それを遺族に黙って懐に入れてしまう可能性がある。また遺品のなかには、楽器、釣竿、骨董品など一見ただのガラクタにしか見えないものもあるが、このような趣味の品は買ったときに値段を「過少申告」していることも多い。家族が価値を知らないのをいいことに、これらを処分するための費用を請求しておきながら、実際は売り飛ばすこともある。
このようなトラブルを防ぐには、正式に依頼する前に、電話の応対、身だしなみなどで、業者の質を見抜くしかない。私は、「お宅に仏壇があれば、必ず仏壇に手を合わせるように」と指導している。遺族へのいたわりの言葉がない業者は論外だろう。
PCや携帯電話など“デジタル遺品”も処分に困るもののひとつだ。残ったデータから家族の知らない異性関係が判明することもある。これらの機器はデータを削除しても専門家の手にかかれば復旧も可能。信用できない業者の手に渡すわけにはいかない。
そこで増えているのが、業者による「デジタルお焚き上げ」だ。神棚、仏壇、写真、人形など、おいそれと捨てられないものと一緒に、お経をあげながらPCやスマホを燃やしてくれるサービスである。情報を完全に消したうえで焼却処分し、「お焚き上げ証明書」を発行してくれる。利用してみてもいいだろう。
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北海道小樽市生まれ。2011年、一般社団法人遺品整理士認定協会を設立、理事長に就任。現在に至るまで約2万人の遺品整理士を誕生させている。
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■▼【図表】一目でわかる! 実家の片付けリスク
(遺品整理士認定協会理事長 木村 榮治 構成=長山清子 写真=iStock.com)
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