質の悪い睡眠が肥満に直結するメカニズム
プレジデントオンライン / 2019年1月19日 11時15分
※本稿は、「プレジデント」(2018年7月16日号)の掲載記事を再編集したものです。
■食べすぎの元凶、コルチゾールとは
つい食べすぎてしまうのはストレスが原因です。脳科学で説明すると、ストレスホルモンであるコルチゾールが体内で分泌されているときに、人はストレスを感じていると言えます。
このコルチゾール、本来はストレスから守ってくれる物質なのですが、夜間も分泌され続けると、緊張した状態が続いて睡眠不足に陥ってしまいます。これが食べすぎになる元凶です。睡眠不足だと身体がエネルギーを溜め込もうとしてしまい、モノを食べると血糖値が急激に上昇し、脂肪を過剰に蓄積してしまうのです。そして、それが肥満につながるというわけです。
そうした食欲の増大を防ぐべく、質のよい睡眠を取るためにはどうすればよいのか。ポイントを具体的に説明しましょう。
まず、夜寝る2~3時間前から間接照明のついた部屋で、読書や家族と話すなどリラックスした時間を過ごしてください。こうすることで交感神経と副交感神経が切り替わり、リラックスモードに入ります。さらに、ペットと触れ合ったりすれば、オキシトシンというリラクセーションのホルモンが分泌され、なお効果的。オキシトシンは免疫力をあげて睡眠の質をあげることに貢献します。
質のよい睡眠を取るために体温も意識しましょう。体温が徐々に下がっていったほうが深い眠りにつきやすい。理想は午後10時までにぬるめのお風呂に入ること。1、2時間後には自然と眠くなり、この習慣を続けるとコルチゾールの分泌も減っていきます。逆に、遅くまで残業をするほか、蛍光灯のついた部屋でパソコンやゲームをするのはNG。脳が昼間と同じ状態になってしまい、睡眠に悪影響を及ぼします。
一昔前に流行ったレコーディングダイエットも効果的です。体重や食事内容を記録することで客観的に自分の習慣を把握でき、食事をコントロールできるようになります。ダイエットを決めたら、家族や周囲に宣言するのも効果的です。
質のよい睡眠。これがダイエットのキモだった!?
(1)周囲にダイエット宣言するダイエットは1人ではできません。周囲の協力がなければ同僚から「うまいラーメン食べにいこうよ」と誘われるかもしれません。黙々とやるのは無理です。宣言するということは心理学的に周りの協力が得やすくなります。
(2)毎日、食べたもの、体重を記録する
食べたもの、体重を記録していくことで、セルフコントロールしやすくなるのです。記録をせずに、何となく食べて、何となくダイエットしたつもりでいると、1週間を見返してみたら結構食べていたってこと、意外と多いのですよ。
(3)朝は7時前に起きて散歩
コルチゾールは朝一気に出て、午後になると低くなっていくのが正常。朝、日差しを浴びることで正常な状態を保てる。遅く起きるとコルチゾールもバラバラになる。朝10~15分散歩することで体内時計をリセットしましょう。
(4)残業を減らす努力を
残業で緊張した状態が続くと、コルチゾールの分泌も続きます。ダイエットでは上質な睡眠を取ることが大切です。蛍光灯を夜遅くまで浴びることは睡眠の質を下げます。その日の予定を朝書き出し、何時までに帰ると決めるのはおすすめです。
(5)のんびりする時間をつくる
上質な睡眠のためには、寝る前に1~2時間はリラックスした時間を取る必要があります。11時に帰ったらのんびりした時間が十分に取れません。その時間に家族と触れ合ってオキシトシン(幸せホルモン)を出してリラックスしましょう。
(6)お風呂は就寝の2時間前に
寝る2時間前に風呂に入ると、丁度寝るときに深部体温が下がり、深い眠りにつくことができます。とにかく寝不足はコルチゾールを増やす原因です。熱すぎる温度や長風呂もだめです。最高の状態で就寝を迎えましょう。
(7)運動は1時間を週2回
運動はストレスを発散し、コルチゾールを下げると証明されています。週に2回、1時間ほど、汗を流す運動をするのがいいでしょう。1日15分とか毎日運動するのもいいのですが、サラリーマンだとなかなか時間の確保が難しいでしょう。
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精神科医
1965年、札幌市生まれ。札幌医科大学卒。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。著書に『神・時間術』など多数。
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(精神科医 樺沢 紫苑 構成=鈴木俊之 撮影=横溝浩孝 写真=iStock.com)
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