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高額治療費の"立て替え払い"しない裏技

プレジデントオンライン / 2019年1月26日 11時15分

医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第11回は「高額医療費制度」について――。(第11回、全11回)

■1度申請すると最長1年間使える

入院や手術、抗がん剤治療などの治療費が高額にかかる通院などが決まったら、すぐに加入している健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を入手しましょう。これがあれば、病院の支払いを高額療養費の自己負担限度額の範囲内にすることができます。限度額適用認定証を病院に提示すれば1カ月間に同一の医療機関でかかった費用(入院・通院別)を合算し、自己負担限度額に達した時点で医療費を支払わなくてよくなるからです。

限度額とは、健康保険の「高額療養費制度」による自己負担の上限額のことです。保険診療に該当する医療費が対象になり、限度額を超えた分は加入する健康保険が穴埋めしてくれるものですが、意外と知られていないようです。生命保険文化センター「平成25年度 生活保障に関する調査」によると、入院したのに高額療養費制度を利用しなかった人は35.5%もいます。

1カ月間の自己負担額の計算方法は年齢や所得によって異なります。70歳未満であれば、年齢に関係なく、年収額で5段階に分かれています。たとえば月収35万円の会社員が、胃がんで腹腔鏡手術を受けるために10日間入院した場合の医療費が100万円かかるとします。70歳未満の自己負担割合は原則3割なので、限度額適用認定証がなければ30万円の請求を受け、いったん窓口で支払わなければなりませんが、この制度を利用すれば、実質的な負担は8万7430円ですみます。差額の21万2570円は払い戻されます。また、高額療養費として払い戻しを受けた月数が直近の12カ月間に3月以上あったときは、4月目(4回目)から自己負担限度額がさらに引き下げられます。

しかし払いすぎた医療費を取り戻すには組合健保や協会けんぽなど、加入する医療保険に高額療養費の申請をする必要があります。ところが払い戻しを受けられるのは申請から3~4カ月後です。そこでつくられたのが患者の所得区分を証明する「限度額適用認定証」なのです。これを医療機関の窓口で提示すると、最初から支払限度額まででよくなり、オーバーした分の医療費は支払わずにすみます。最終的には負担する金額は同じでも、立て替え払いになるか否かでは、貯金を取り崩すなど家計のやりくりにも響きます。

写真=iStock.com/izusek

この認定証は、使うか使わないかわからない状態でも申請して入手することができます。入手理由を聞かれることはありますが、「時期は未定ですが、今後入院する可能性がゼロではないので」というあいまいな理由であっても発行してくれます。私が複数の国保、協会けんぽに確認したところOKでした。

限度額適用認定証は1度申請すると、最長1年間使えます。私が調べた限りでは、申請月の初日から初めて到来する7月末日まで有効とするところが多いようです。通院治療でも使えるようになっていますので、転ばぬ先の杖として、申請しておくと急な入院に対応できます。

高額療養費はその月の1日から月末までの保険診療費が対象になることは述べましたが、どうせ入院するなら入院期間がふた月にまたがらないようにするのがベスト。緊急入院などでは避けようがありませんが、予定の立つ手術や高額療養費の適用となる抗がん剤治療を行う場合も、できるかぎり月の初めになるように医師に相談してみるのもいいでしょう。

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窓口で提示すると最初から支払限度額まででよくなる

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柳澤美由紀(やなぎさわ・みゆき)
家計アイデア工房代表
CFP認定者。家計の見直し相談を中心にマネーコラムの執筆・監修、講演を手がける。『書き込み式 老後のお金の「どうしよう?」が解決できる本』など著書多数。

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(ファイナンシャルプランナー 柳澤 美由紀 構成=吉田茂人 写真=iStock.com)

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