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頭のいい子を育てる"ハグ"の正しいやり方

プレジデントオンライン / 2019年1月4日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Yagi-Studio)

自主的に勉強のできる子どもはどこが違うのか。ある大学の研究によると、親子コミュニケーションが良好なほど、子供の精神状態が安定し、勉強にも前向きになるという。教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏は「私はムギューッとハグすることを勧めています。ただし親都合ではなく、子どもが求めるタイミングが重要です」という。正しいハグのやり方とは――。

■「待つ、褒める、肯定する」が子供の学力を高める

筆者の元には、日々、子育ての相談が数多く押し寄せるが、母親を中心とする相談者の話をよくよく聞いてみると、結局のところ「頭のいい子に育てたい」という願望が見え隠れする。

これは親なればこその願いである。「這えば立て、立てば歩めの親心」は親になった者だけが味わえる特別な感情かもしれない。昔、よく聞いた「末は博士か大臣か」ではないが、わが子にはできるならば社会から強く求められる人材に成長してもらい、そして幸せに暮らしてほしいと親が願うのは無理からぬことだろう。

その際、必須なのは一定程度以上の学力や人間力だが、親が子どもにどう接し、どう育てたら、子どもの学力や人生に対して、より良い効果を与えることができるだろうか。

長年の子育て相談の経験を踏まえ、確実に言えるのは「待つ、褒める、肯定する」の3点だ。実は、後述するようにこれらの実践方法のひとつとして「ハグ」も入ってくるのだ。順番に効用を説明していこう。

1:「待つ」

とかく、人は人を待てない。例えば、家事分担で皿洗いの夫が夜遅くになっても一向にやろうとしないことに妻が怒り、夫は「今やろうとしていた」と態度を硬化させる。感情のこじれから共働きの家事の分担がうまくいかないという悩みはありがちだ。夫と妻のタイミングが合わず、妻が「待てなかった」ということになろう。

親子間でもこういうことは毎日のように起こる。そして大抵は親が「待てない」ことに端を発し、ケンカなどに発展する。子どもには子どもなりに飛ぶタイミングがある。子育ては、子どもの先回りばかりをせずに、上手に声掛け誘導をしながら、どこまで待つのかの長い目で見た「線引き」が必要なものなのだ。

「親」は漢字の成り立ちで見ても「木の上に立って見る」と書かれるように、俯瞰して状況を見ることを求められている。これは難易度が高い話だが、要するに「人には人のタイミング」があるということなのだ。

2:「褒める」

人間は誰しも「承認欲求」を持つ。何歳になろうとも、人は人から褒められたい。誰でも、褒められるとうれしいし、やる気が出る。子どもは、より純粋なので「褒め言葉」はダイレクトに「承認欲求」を満たすことに結びつく。

子どもを褒めることが苦手だという親御さんは多い。そういう場合は簡単なことから始めてはいかがだろうか。例えば、食事の際、「醤油を取って」とお願いし、それを取ってもらえたら、間髪入れずに「ありがとう(あなたが取ってくれたおかげで助かった)」と言う。たったそれだけでも、自分の存在意義を子どもは感じるはずだ。

3:「そのままを肯定する」

このハードルは高い。親は子に「もっと、もっと!」を望みやすく、わが子に対しては特に「足るを知る」ことは難しい。しかし「子育てがうまくいかないな」と悩みだした時が、逆にチャンスになると筆者は考えている。

とりあえず、「子どもの先行きの不安」はいったん置いておく。これは「あれもそれもこれもダメダメだけど、まっ、いいか」と親自身の「べき・ねば」思想を緩くするということだ。

お笑いタレントの明石家さんまさんが繰り出すフレーズの中に「生きてるだけで丸儲け」があるが、これに学び、子育てからもネガティブな気持ちをできるだけ排除する。これにより徐々にわが子の「自己肯定感」を引き上げるコツとなる。

■「親子間のコミュニケーションが良好」だと子供はよく勉強する

1~3の共通点は「親子間のコミュニケーションが良好」ということだ。

プレジデントFamily2017秋号の特集「東大生179人の小学生時代」では「東大生アンケートで実証、学力を伸ばすたった一つの親の習慣」を紹介している

雑誌「プレジデントFamily2017秋号」では東大生179人の小学生時代を調査している。記事によると、その9割が「親にしっかり自分の話を聞いてもらっていた」と答えている。東北大学加齢医学研究所長の川島隆太教授は、こう解説していた。

「『話をしっかり聞いてもらえている』と子供が答えたということは、家族のコミュニケーションがきちんと取れているということです。私はコミュニケーションが親子関係にどんな変化をもたらすのか調べました(2010年から7年間の追跡調査)。すると、親子の愛着関係が高まり、子供の精神状態が安定しました。こうした親子関係にある子供は、家で安心して暮らしているから、落ち着いて勉強に取り組めるのです」

川島教授によれば、親子のコミュニケーションがしっかりしている子は探求心など学習意欲が高まり、それが自主的な学習習慣にもつながるというのだ。

■ハグという愛情コミュニケーションでわが子が「頭のいい子」に

そこで、とりわけ小学生以下のお子さんをお持ちの親御さんに推奨したいのが「ムギュー」という「ハグ」なのである。言うまでもなく、ハグは愛情表現であり、良好なコミュニケーションを促す。甘やかすのではない。甘えさせることで愛情エネルギーを子どもの心にチャージする。そうした行為が、子どもの精神を安定させ、集中力や好奇心といったいわゆる「頭のいい子」に共通する部分を強化させる可能性が高いのだ。

筆者の友人に、ナニー(注:在宅や訪問でベビーシッターと家庭教師をする、英国発祥の職業)の仕事をしている女性がいる。彼女は先日、こんなことを言っていた。

「(親の代わりに)幼稚園にお迎えに行くんだけど、その子(3歳)は幼稚園ではものすごくお行儀も良い、いい子なんだけど、私に会うなり豹変するの。聞き分けがない、わがままなお嬢さまに大変身」

その理由を聞くと、こう教えてくれた。

「両親はステータスの高い仕事をしていて、すごく忙しい。あの子のわがままは『ムギューッが足りないよ!』っていう心の叫びのような気がする。私はナニーとして、たくさん話しかけるし、ハグもいっぱいするけれど、やはり親にはかなわない……」

私は再びこう問い返した。

「でも、ステータスの高い仕事に就く賢いご両親だったら、わが子にいっぱいハグしてあげてるんじゃないの?」

すると友人ナニーは首を横に振りながら、こう言ったのだ。

「それは、親のタイミングでしょ? あの子のタイミングじゃない。あの子が『今! 今、ママにムギューッってされたい!』って時に限って、ママはいない。彼女は自分の優先順位が一番じゃないことに心を痛めているのかもしれない。“仕事と自分”を天秤にかけて仕事を取らざるを得ない親をわずか3歳にして、思いやっているって感じ。子どもが小さければ、小さいほど“ムギューッ”は子どものタイミングでやらないといけないと思う」

もちろん、これは友人ナニーが担当している、その女の子の事例であり、すべての子どもに当てはまるわけではないだろう。そして、親の仕事や働き方は各家庭によってさまざまな事情があることも承知している。さらに言えば、365日、「ムギュー」を課せられるのは親としても正直しんどい。

■年末年始は親子の「ムギュー習慣」を始めるチャンス

しかしである。休日や、年末年始などの長期休暇は別だ。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/spukkato)

親のタイミングで「ムギュー」も大歓迎。けれども、わが子が「今、ムギューして!」というタイミングを逃してはならない。

筆者は、この「子どものタイミング」ということを意識した子育てが失敗したという事例を知らない。もっと言えば、このムギューというお務めさえしていれば、冒頭で申し上げた「わが子にはできるなら社会から強く求められる人材に成長し、そして幸せに暮らしてほしいという親の願い」は、ほぼ達成されると、多くの子育て相談の経験から断言できる。

たかが「ムギュー」されど「ムギュー」なのだ。

この年末年始、日ごろの忙しさから解放され、家族団らんを楽しんでいる家庭も多いだろう。わが子とゆっくりと向き合えるこの時期にこそ、「ムギュー習慣」を始めるチャンスなのである。

(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー 鳥居 りんこ 写真=iStock.com)

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