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40代はレーシック手術を避けるべき理由

プレジデントオンライン / 2019年1月11日 9時15分

写真=iStock.com/SIphotography

身近な病気でも、新しい治療法や薬が次々と現れている。いつも通っている病院での治療は果たして最先端のものなのか。医師に話を聞いた――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の特集「本当にいい病院は、どっち?」の特集記事を再編集したものです。

■「涙の量を目薬で補う」は誤った治療法になった

▼ドライアイ

二本松眼科病院の平松類医師は、日本のビジネスパーソンの多くが患っているといわれるドライアイの治療法も変化していると話す。

「瞳に潤いを」与えようと目薬を持ち歩き、頻繁に使っている人も多いだろうが、実はドライアイは「涙が少ない」病気というわけではないという。

「ドライアイの診断基準は2016年に変更になっています。涙の量ではなく、涙の質と症状で判断するようになりました。つまり、涙の質が悪い、もっと言うと涙がすぐ乾いてしまうのがドライアイの症状なんです。今までは目薬を一日複数回さすことが主な治療法でしたが、今は涙の質を改善させるほうに重きをおいている。具体的には、目薬も涙量を増やすのではなく質を良くするものになっています。さらに、まぶたを温めたりする治療がより大切になっています。しかし、診断基準が変わってもとりあえず目薬を処方するだけの医師はまだいるのが現状です」

■気をつけるべきは「古い目薬」を使わないこと

ドライアイは生産性を下げる疾患だ。14年の参天製薬の調査では、オフィスワーカー1人あたりの売り上げベースで年間約50万円が低下するとわかっている。ビジネスパーソンならば、最新の治療法をぜひ知っておきたい。平松氏によれば、市販の目薬を買うときにも注意すべき点があるという。

「具体的には塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤が入っている点眼薬はできるかぎり避けることをお勧めしています。この成分入りの点眼薬はむしろ目の傷を悪化させる可能性があることが最近の研究でわかってきたからです。短期的には問題なく見えても、長期的に目を傷つけてしまう。じつは多くの市販の目薬には防腐剤が入っています。ぜひ、成分をチェックして使ってください。防腐剤の入っていない点眼薬は容量あたりの値段は高くなります」

「ただ、一番気をつけるべきは、防腐剤に限らず古い目薬を使わないようにすること。目薬の使用期限は開封後防腐剤が含まれていないもので1~10日、含まれているものでも1カ月程度が目安です。蓋を開けてカピカピとした結晶のようなものが残っていたら、もう使ってはいけません。捨てて新しいものにしてください」

■注文するときに「前と同じので」は損をしている

▼コンタクト
新素材「シリコーンハイドロゲル」を使用した商品(写真上から)ワンデー アキュビュー(R) オアシス(R)(ジョンソン・エンド・ジョンソン)/デイリーズ トータル ワン(R) 遠近両用(日本アルコン)/マイデイ(R)(近視・遠視用)(クーパービジョン)

ビジネスパーソンの多くが使用しているコンタクトレンズ。ソフトやハード、2週間用や1日用、洗浄するものから使い捨てまで種類は多岐にわたる。近年は1日使い捨てのワンデイタイプを使う人が増えてきているという。新商品も次々と発売されているが、装用をはじめてから商品を変えずに「前のと同じで」と言っている人も多いのではないだろうか。そんな人は、実は損をしている可能性があると平松氏は指摘する。

「近年、使われる素材が変わったんです。ドライアイや傷を起こしにくい『シリコーンハイドロゲル』を使った商品が出てきています。含水率という水を取り込む能力と、酸素透過率という酸素を取り込む能力が、どちらも桁違いに高くなっている。現在の第三世代ハイドロゲルという良い素材になってきたのが7、8年前からで、ここ数年で製品も増えて安価に手に入るようになりました。ですので、3年種類を変えていないとすれば、次に買うときには注意してください」

■手術をしても、すぐに老眼がやってくる

▼レーシック

数年前から増えてきたレーシックには、近年大きな変化が2つ起こったと平松氏は語る。1つは老眼用のレーシックができたことだが、「正直に言うと、まだまだ発展途上」だと言う。

もう1つ、レーシック手術を受けた人が年齢を重ねることで、長期的なトラブルが起こることがわかった。

「短期的には感染症のリスクがあることがわかっていましたが、確率は高くはありません」。では、長期的なリスクとはなにか。

「レーシック手術を受けた人が緑内障になったときが問題です。緑内障では、目の圧力『眼圧』のコントロールが必要ですが、それが正確に測定できなくなるのです。血圧が測定できないのに血圧にかかわる治療をするのと同じで、非常に治療の難易度が高くなる。このリスクはまだあまり知られていません」

さらに、近年は40代でもレーシックを受ける人が増えているが、平松氏は「お勧めしません」と言う。

「もし40代でレーシックを受けても、すぐに老眼がやってきます。すると、4~5年で老眼鏡が必要になる。20代でレーシックをやれば20~30年は効果があるのでいいかもしれませんが、経済的に余裕のある40代になってからと考えていると、意味がないものになってしまう」

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平松 類(ひらまつ・るい)
二本松眼科病院勤務。昭和大学兼任講師。医学博士。眼科専門医。昭和大学医学部卒業。著書に『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』『老人の取扱説明書』など。
 

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(伊藤 達也 撮影=研壁秀俊 写真=PIXTA、iStock.com)

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